配付資料

別紙2

検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与するための方策(法曹三者の意見の比較)

13.4.10



  
法     務     省
最     高     裁
日     弁     連
組織、権限、手続の在り方
  1. 検察官への必要的意見聴取、検察官の出席説明権
    • 検察審査会が検察官の不起訴の判断を容れず公訴に至る効力のある議決をする場合には、必要的に検察官から意見を聴取しなければならないものとすべき。
    • 検察官において、検察審査会の適正かつ充実した審査に資するため、証拠評価や不起訴処分の理由等を説明することが必要と考えたときには、会議に出席し意見を述べることができるものとすべき。
  2. リーガルアドバイザーの配置
    法律専門家をリーガルアドバイザーとして配置し、検察審査員が事実認定・法律上の問題点の適切な把握、必要な法律又は判例を理解でき、充実した審理に資するよう、適切な助言を行わせる。
  1. 組織
    検察審査会の委員の選出や規模については現行の枠組みを維持すべき。
  2. 配置
    現状は、都市部と地方とで事件数に著しい差があり、配置のアンバランスが顕著になっていることから、交通事情の変化等も考慮し、実情に合ったものに見直すことも検討する必要がある。
  3. 手続の在り方
    審査手続の面においても、被疑者の権利を保護し、できる限り訴追の公平を図れるよう、検察官への説明の機会の付与、被疑者からの事情聴取制度等の導入の要否が検討されるべき。さらに、検察審査員が十分に法律的な観点から審査することができるよう、現在の専門的助言者の制度とは別に、公平かつ中立的な立場から法律的助言を与える者を置くことも考えられる。
  1. 検察官に不起訴理由の明示義務を課する。
  2. 検察審査会に申立人や証人に対する尋問権のほか、一定の調査権限を付与する。
  3. 申立人の出頭陳述権を保障する。
  4. 被疑者の出頭陳述権を保障する(出頭義務はない。)。
  5. 尋問や法的助言などを担当するリーガルアドバイザーを設ける(1名以上。弁護士を充てる。)。
公訴に至る効力を認めるべき議決の範囲等 「起訴相当」の議決にのみ効力を認める。 「起訴相当」の議決や、検察審査員の全員一致で「不起訴不当」の議決がなされた場合には、議決に一定の拘束力を認めることが考えられる。 「起訴相当」の議決に法的拘束力を付与する。起訴相当の議決の要件は構成員の3分の2以上の特別多数とする。
公訴提起・訴訟追行の主体
  1. 公訴提起
    検察官が公訴提起や訴訟追行を強制される制度を導入することは適切ではなく、検察審査会の起訴相当の議決自体に公訴提起の効力を認める制度をとることも考慮しつつ、十分な検討が必要。
  2. 訴訟追行
    検察官以外の法律家(刑訴法268条の指定弁護士や、上記のリーガルアドバイザーなど)が訴訟追行に当たるものとする制度をとることをも考慮しつつ、十分な検討が必要。
公訴の提起は検察官が行うことが刑事訴訟法の原則であることからすれば、法的拘束力のある議決を検察審査会がした場合に検察官が公訴の提起や訴訟の追行を行うことが直ちに不適当となるか否かは更に検討を要する。
  1. 検察官に起訴義務を課する。ただし、準起訴手続対象犯罪(公務員の職権乱用等)については弁護士が検察官役を務める。検察官役を務める弁護士は、検察審査会が、弁護士会の意見を聴き、指定する。
  2. 訴訟は、1.の区別に従って、検察官又は検察官役が追行する。
その他 審査対象事件について
検察審査会の議決に公訴に至る効力を認めることとする場合には、例えば、専門性の高い事件、検察審査員に不当な害が及ぶおそれのある事件など、その審査対象から除外するのが適当である事件があるかどうかについても十分検討する必要がある。