配付資料
別紙3
13.4.24
法曹養成及び法曹人口に関する審議の取りまとめについて(叩き台)
基本的方針
中間報告の記載を出発点とし、本年3月2日及び4月24日における審議の結果をこれに反映させて、所要の追加や修正を施す。
取りまとめの文書は、昨年10月31日に決定・公表済みの「『法曹養成制度の在り方』に関する審議の取りまとめ」のうち各論的部分を土台とする。
新たに記述すべき要素
○ 法学部教育との関係について(法学部の将来像)
○ 教育内容・方法について(具体的イメージ)
○ 実務家教員の確保方策について
○ 第三者評価について(外部有識者)
○ 司法試験について(受験資格、新司法試験の方式・内容、移行期間、丙案)
○ 法曹人口について(シミュレーション、法科大学院開始時期、1500人達成時期、3000人達成時期、5~6万人達成時期、上限ではない)
○ 裁判所・検察庁の人的体制の充実について(具体的な増員目標)
懸案
○ 関係諸機関による検討の場の設定
取りまとめ事項(案)
1 法科大学院制度の要点
(1) 設置形態
- 法科大学院は、法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院とする。なお、法科大学院の設置は既存大学を拠点としなければならないわけではなく、例えば、弁護士会や地方自治体など大学以外の主体が学校法人を作り、法科大学院の設置基準を満たせば、法科大学院を設置することができるのは当然である。
- 法学部に基礎を持たない独立大学院、複数の大学が連合して設置する連合大学院等の多様な形態を認める。
(2) 標準修業年限
- 標準修業年限は3年とし、併せて、法科大学院において必要とされる法律学の基礎的な学識を有すると法科大学院が認める者(法学既修者)については、法学部を卒業しているか否かにかかわらず、短縮型として2年での修了を認める。
(3) 入学者選抜
- 入学者選抜は、公平性、開放性、多様性の確保を旨とし、入学試験のほか、学部における学業成績や学業以外の活動実績、社会人としての活動実績等を総合的に考慮して合否を判定する。これらをどのような方法で評価し、また判定に当たってどの程度の比重を与えるかは、各法科大学院の教育理念に応じた自主的判断に委ねられるべきである。
- 法科大学院は、学部段階での専門分野を問わず学生を受け入れ、また、社会人等にも広く門戸を開放しなければならない。そのため、法学部以外の学部の出身者や社会人等を一定割合以上入学させるなどの措置を講じることとする。その割合は、入学志願者の動向等を見定めつつ、多様性の拡大を図る方向で随時見直されることが望ましい。
- 入学試験においては、全ての出願者について適性試験を行い、法学既修者として2年での修了を希望する者には併せて法律科目試験を行うという方向で、各試験の在り方を検討すべきである。その際、適性試験は統一的なものとすることが適切であるが、法律科目試験についても、統一的に実施することが考えられる。
適性試験や法律科目試験に加えて小論文や面接等を組み合わせるかどうか等は、各法科大学院の自主的判断に委ねられるべきである。
(4) 教育内容・方法
(5) 教員組織
- 法科大学院では、少人数で密度の濃い教育を行うのに相応しい数の専任教員を必要とする。
- 法曹養成に特化した高度な法学教育を行い、理論的教育と実務的教育との架橋を図るため、実務経験を有する教員(実務家教員)の参加が不可欠である。その数及び比率については、法科大学院のカリキュラムの内容や新司法試験実施後の司法修習との役割分担等を考慮して適正な基準を定める必要がある。
- 実務家教員の任用を容易にするため、弁護士法や公務員法等に見られる兼職・兼業の制限等について所要の見直し・整備を行う必要がある。
- 実務家教員の法科大学院への配置については、大学の教員採用の自主性を前提としつつ、所要の人員が継続的に確保されるよう、派遣のための法曹三者との協力体制の整備が不可欠である。
- 法科大学院での教員資格に関する基準は、教育能力や教育実績、実務家としての能力と経験を大幅に加味したものとすべきである。
- 法科大学院は法曹養成に特化した大学院であり、研究後継者養成型の大学院(法学研究科ないし専攻)と形式的には両立するものであるが、内容的にはこれらと連携して充実した教育研究が行われることが望ましい。また、法科大学院の教員は、将来的に、少なくとも実定法科目の担当者については、法曹資格を持つことが期待される。
(6) 学位
- 法科大学院の修了者に付与される学位については、国際的通用性をも勘案しつつ、法科大学院独自の学位(専門職学位)を新設することを検討すべきである。
2 公平性・開放性・多様性の確保
3 設立手続及び第三者評価(適格認定)
4 法学部教育の将来像
- 93大学にある法学部では、1学年約4万5千人が学んでおり、法曹以外にも社会の様々な分野に人材を輩出しており、その機能は法科大学院導入後も基本的に変わりは無い。法科大学院導入後の法学部教育については、法科大学院との役割分担を工夫するものや、法学基礎教育をベースとしつつ、例えば「副専攻制」の採用等により幅広い教育を目指すものなど、それぞれの大学が特色を発揮し、独自性を競い合う中で、全体としての活性化が図られるべきである。
- さらに、学部段階における履修期間については、優れた成績を収めた者には早期修了を認める仕組み(いわゆる飛び級)を適宜活用することも望まれる。
5 関係者の責任
- 法科大学院は、21世紀の司法を担う質の高い法曹を養成するという重大な役目を担うものであって、その実りある実現のためには、教員、教育内容や方法その他の人的・物的な面で、相当の労力、時間及び資金を投入しなければならない。大学関係者と法曹関係者の責任は極めて重く、それを十分自覚しつつ法科大学院の設置及び運営に当たることが切に求められる。
1 基本的性格
- 「点」のみによる選抜から「プロセス」としての新たな法曹養成制度に転換するとの観点から、その中核としての法科大学院制度の導入に伴って、司法試験も、法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切り替える。
2 試験の方式及び内容
3 受験資格
- 第三者評価による適格認定を受けた法科大学院の修了者は、新司法試験の受験資格を有する。
また、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途が確保されることが必要である。このため、移行措置(4参照)の終了後において、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることの無いよう配慮しつつ、例えば幅広い法分野について基礎的な知識・理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることが考えられる。(この場合には、実社会での経験等により、法科大学院における教育に対置し得る資質・能力が備わっているかを適切に審査するような機会を設けることも考慮に値する)。
- 第三者評価による適格認定を受けた法科大学院の修了者の新司法試験の受験については、3回程度の受験回数制限を課すべきである。ただし、回数制限内に合格できなかった者が法科大学院の課程を再履修することを妨げるものではない。
4 移行措置
- 新制度への完全な切り替えに至る移行措置として、現行司法試験の受験者に不当な不利益を与えないよう、新司法試験実施後も5年間程度は、これと併行して現行司法試験を引き続き実施する。
- なお、現行司法試験におけるいわゆる合格枠制(丙案)については、
【1案:新司法試験実施と同時に】
【2案:現行試験合格者数が1,500人に達する年に】
廃止すべきである。
1 修習の内容
- 新司法試験実施後の司法修習は、修習生の増加に実効的に対応するとともに、法科大学院での教育内容をも踏まえ、修習内容を適切に工夫して実施する。
- 新司法試験実施後の司法修習のうちの集合修習(前期)と法科大学院での教育との役割分担の在り方については、今後、法科大学院の制度が整備され定着するのに応じ、随時見直していくことが望ましい。
2 司法研修所
- 司法研修所の管理・運営については、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを考えるべきである。
- 法科大学院は、【イ案:2003(平成15)年】【ロ案:2004(平成16)年】4月からの学生受入れを目指して、所要の制度的整備を進めるべきである。
- 現行司法試験合格者数の増加については、法科大学院の設立を待たずに着手すべきであり、合格者数1,500人は、2004(平成16)年に達成することを目指すべきである。
- 【A案:移行措置終了後の2010(平成22)年】
【B案:2012(平成24)年】
【C案:新司法試験実施後10年が経過する2015(平成27)年】
頃までには新司法試験合格者3,000人を達成することを目指すべきである。
- 上記のような法曹人口増加の経過を辿るとすれば、実働法曹人口は、
【A案:2017(平成29)年】
【B案:2018(平成30)年】
【C案:2018(平成30)年】
には5万人規模に達するものと予測される。
- 実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新規法曹3000人の養成は、あくまで「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではない。
- (裁判官、検察官その他関係職員の具体的増員目標…最終意見案の中で調整)
以上のような内容を骨格とする新たな法曹養成制度を可能な限り早期にかつ円滑に実施に移すことのできるよう、当審議会としては、中間報告でも述べたとおり、法科大学院の設置認可や第三者評価(適格認定)の基準の策定、新司法試験及び新司法試験実施後の司法修習の具体的な設計等を含む所要の措置について、関係機関において適切な連携を図りつつ、文部省検討会議の報告書を参考としながら、当審議会の最終意見を待たず速やかに検討を進めることを、引き続き期待する。特に、設置認可及び第三者評価(適格認定)のための基準については、法科大学院を設置しようとする大学等が公平な条件の下に十分な準備ができるよう、当審議会が内閣に最終意見を述べた後に遅滞無くその内容を公表し、周知を図ることとすべきである。