配付資料

別紙1

弁護士任官を推進するための具体的措置の提案について
(司法制度改革審議会からの照会に対する回答)

平成13年5月8日
最高裁判所事務総局
日本弁護士連合会




 弁護士任官を推進するための具体的措置の提案に関して司法制度改革審議会からなされた質問について、最高裁判所と日本弁護士連合会は協議の結果、現段階において下記の通り確認したので回答する。

1 はじめに
 最高裁判所と日本弁護士連合会は、裁判官の給源の多様化・多元化をはかるためにも、また、司法制度改革審議会が検討している諸施策を実施していくために判事を増員するうえにおいても、弁護士からの判事任官を大幅に拡大することがきわめて重要であるとの点で一致した。
 そして、そのためにも、双方が協力して任官することの魅力と任官しやすさを増しつつ、より多くの優れた弁護士が裁判官を希望するようになるための方策を講ずることが急務であると考える。
 さらに、判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるために双方の密接な協力が必要であることを確認した。
 以上の認識に基づき、最高裁判所と日本弁護士連合会は、互いに必要な措置を講じるため、率直な協議を重ねて弁護士任官推進等に関する要綱等を策定するなどして、協力してこれを推進することを合意した。
 なお、下記2以下は、「裁判官の指名過程に国民の意思を反映させるための機関」(第49回司法制度改革審議会)が設置されるまでの過渡的な内容を含むものである。

2 弁護士任官を推進するための実効性ある具体的な措置として考えられる方策

(1) 最高裁判所と日本弁護士連合会は、「弁護士任官等に関する協議会設置要綱」(末尾添付要綱参照)に基づき、協議会を開催している。

(2) 同協議会は、月2回程度の開催が予定されており、下記3に記載する事項につき速やかに協議を行い、一定の結論を得た後、弁護士任官推進等に関する要綱等を策定するなどして、協力してこれを推進する。

3 上記2の方策の実施のために両者が検討し、協議する必要があると考えられる事項
 協議ないし意見交換する事項は基本的には次のとおりとし、協議に当たっては、各項目に関連して弁護士任官希望の実状、任官の阻害要因、任官者の勤務状況等についても率直な意見交換をするものとする。

(1) 弁護士任官全般を推進するための具体的措置
 ア 弁護士任官の基準、任官手続の客観化、透明化(不採用理由の開示を含む)
 イ 弁護士任官者の研修のあり方
 ウ 弁護士任官後の配置のあり方
 エ 弁護士任官者の勤務条件(報酬、退職金、年金、転任等)
 オ 弁護士任官希望者の発掘による弁護士任官希望者名簿の整備
 カ 弁護士会によるより優れた弁護士の任官をすすめる調査推薦機構の設置
 キ 法律事務所の法人化、共同化の推進
 ク 弁護士任官推進基金の設置
 ケ 弁護士任官推進・援助のための公設法律事務所の設置
 コ 以上の広報・周知方法のあり方の工夫・改善

(2) 多様な任官形態
 ア 特定分野別の任官
 イ 短期弁護士任官
 ウ 非常勤裁判官制度

(3) 判事補が弁護士の職務経験を積む制度を実効あらしめるための方策

(4) 弁護士任官推進等に関する要綱等の策定と恒常的協力体制の整備

4 以上の検討・協議を行い、結論を得るに至るまでの大まかなスケジュールと、そのための体制
 以上の検討・協議を行うために、末尾添付協議会設置要綱のとおり、弁護士任官等に関する最高裁判所と日本弁護士連合会との協議会を設置し、現在、月2回程度の協議開催を合意している。今秋を目途にそれまでの協議結果をとりまとめ、その後速やかに弁護士任官推進等に関する要綱等を策定する。
 協議会の体制については必要に応じて強化をはかる。