配付資料

別紙3

「司法の行政に対するチェック機能の強化」に関する審議の取りまとめ(案)

平成13年5月8日



1 行政訴訟制度見直しの必要性

○ 裁判所は、統治構造の中で三権の一翼を担い、司法権の行使を通じて、抑制・均衡の統治体系の中で行政作用をチェックすることにより、国民の権利、自由の保障を実現するという重要な役割を有している。

○ 当審議会の議論の中で、現行の行政訴訟制度に関しては、次のような指摘があった。

ア 現行の行政訴訟制度に内在している問題点
 …行政庁に対する信頼と司法権の限界性の認識を基礎とした行政庁の優越的地位(政策的判断への司法の不介入、行政庁の第一次判断権の尊重、取消訴訟中心主義等。)が認められており、その帰結として、抗告訴訟が制度本来の機能を十分に果たし得ていない。

イ 現行の行政訴訟制度では対応が困難な新たな問題点
 …行政需要の増大と行政作用の多様化に伴い、伝統的な取消訴訟の枠組みでは必ずしも対処しきれないタイプの紛争(行政計画の取消訴訟等)が出現し、これらに対する実体法及び手続法それぞれのレベルでの手当が必要である。

ウ 行政事件の専門性に対応した裁判所の体制に関する問題点

○ 21世紀の我が国社会においては司法の果たすべき役割が一層重要となることを踏まえると、司法の行政に対するチェック機能を強化する方向で行政訴訟制度を見直すことは不可欠である。

2 行政及び司法の垣根を超えた検討

○ この課題に関する検討は、事柄の性質上、独り司法制度改革の視点のみから行うことは適切ではなく、以下の諸点にも留意する必要がある。
ア 行政改革の動向との整合性の確保
イ 行政手続法、情報公開法、行政不服審査法等の関連諸法制との関係
ウ 国家賠償制度との適切な役割分担
エ 行政委員会の準司法的機能の充実

○ 行政作用のチェック機能の在り方とその強化方策に関しては、行政過程全体を見通しながら、司法と行政の垣根を超えて、それぞれの役割を見据えた総合的多角的な検討が求められる。

以 上