司法制度改革審議会

第59回司法制度改革審議会議事録


  
  
日 時:平成13年5月21日(月) 9:30 ~12:15

場 所:司法制度改革審議会審議室

出席者

(委 員(敬称略))
  佐藤幸治会長、竹下守夫会長代理、石井宏治、井上正仁、北村敬子、髙木剛、鳥居泰彦、中坊公平、藤田耕三、水原敏博、山本勝、吉岡初子

(事務局)
  樋渡利秋事務局長

  1. 開 会
  2. 最終意見に関する審議(第1読会)
  3. 閉 会

【佐藤会長】 時刻がまいりましたので、ただ今から第59回会議を開会いたします。
 本日は、御承知のように最終意見の原案につきまして、意見交換を行うということにしておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速、意見交換に入りたいと思います。私と会長代理で最終意見の原案を作成いたしまして、既に委員の皆様にお送りしておりましたけれども、修正等に関する御意見をいただきましたので、そのいただきました御意見を踏まえまして、更に引き続き代理と二人でいろいろ検討させていただきました。本日は、その点も加味しまして、お手元にお配りしているような、最終意見の原案とさせていただいたわけであります。

【髙木委員】 お断りなんですが「各委員の意見」というのに綴じられている私の意見なんですが、ちょっと時間がなくてばたばたでやりましたもんですから、もう一度見直してみましたら若干直したいところもありましたので、直させていただきました。今日お配りさせていただきましたものに差し替えていただければと思います。
 それから、今日、藤倉先生から意見をいただいたもんですから、裁判員制度に関するペーパーでございますが、2枚物を一緒に付けさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【佐藤会長】 お断りしようと思っておったんですけれども、それぞれの委員の御意見の扱い方なんですが、何人かの委員から、あらかじめ委員の皆さんに配付していただいたらどうかという御意見もございましたので、お送りさせていただきましたが、その点、御理解いただきたいと思います。よろしゅうございますか。それも参考にしながら、御検討いただきたいと思います。
 非常に時間が切迫しておりまして、皆様には十分に御検討いただく時間が余りなかったかと思いますけれども、時の流れの中で、やむを得ずこういうことになりましたので、その点も御理解いただきたいと思います。にもかかわらず、貴重な御意見をちょうだいしまして、本当にありがとうございました。
 原案を修正した部分には、アンダーラインを引くなどしておりますので、その修正部分も含めて、最終意見の原案について、順次、御意見をいただきたいと思います。
 なお、最終意見の原案の審議としましては、本日と、明日の第60回会議を第1読会というように位置付けております。この2回の会議を通じて、原案全体の審議を各項目ごとに順次行いたいというように考えております。本日は申すまでもなく午前中だけの審議で、余り時間はありません。できるだけ効率的に議事を進めていきたいと思いますので、その点、よろしく御配慮のほどお願いいたします。
 御意見をいだたく順番としましては、全体的な構成につきまして、これまで既にこの審議会でいろいろ御議論をいただいたところでありますけれども、まず、その点についての御意見をちょうだいして、そして、その後、この原案の内容に関する意見交換に入りたいというように考えております。
 内容に関する意見交換につきましては、中間報告に関する審議の際には、総論に該当する部分の意見交換がやや時間が足りなかったというようなこともありまして、まず総論について意見交換をちょうだいしたいと思います。その後、各論に該当する部分について順次項目ごとに御意見をいただければというように考えている次第です。
 なお、意見交換では、できれば皆様から修正等に関する御意見を数多くいただいている部分を中心に行ってはどうかというように考えております。そんな感じで今日の審議を進めるということでよろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)

【佐藤会長】 ありがとうございます。それでは、まず、全体の構成でありますが、その前に、これは一番最後でもいいんですけれども、副題の部分について、若干の委員から御意見をいただいております。もう少し21世紀に向けての新しいものであっていいんではないかという趣旨の御意見です。鳥居委員、いかがでしょうか。

【鳥居委員】 私が申し上げました。もう少し夢があり、かつ方向が出てくるようにするために、私の例示としては、「21世紀の日本を支える新たな司法制度」というような副題ではいかがかという意見書を提出いたしました。

【佐藤会長】 御承知かと思いますが、5月10日に自民党の司法制度調査会の報告書がまとめられております。御参考のためにですけれども、そのタイトルが「21世紀の司法の確かなビジョン」、副題が「新しい日本を支える大切な基盤」となっております。

【髙木委員】 私もサブタイトルを直したらどうかという意見を出さしていただいておりまして、今の鳥居先生のような21世紀という時代を入れる書き方もあるでしょうし、それから今回の司法制度改革の一番のモチーフは何か、どれが一番かということではなく二、三あるんだろうと思いますが、その中でも、やはり国民的基盤の確立というのが大きなモチーフではないかなと思います。そういう意味で、この原文の「身近で利用しやすく」という部分は生かしながら、「頼りがいのある」というところを、「国民的基盤に立つ司法へ」ということを考えてみたりしたんですが、御判断いただきたいと思います。

【佐藤会長】 この副題のところは最終段階で、また御相談してもいいと思いますけれども、何か。

【吉岡委員】 私も髙木委員の意見に賛成で、やはり国民的基盤があるということが、今回の司法制度改革の中では大きな意味があると思います。

【中坊委員】 私は、具体的にどういう副題にすればよいかということは具体的には言っておりません。確かに、身近で利用しやすくて頼りがいがあるというのは、非常に分かりやすい表現だとは思うんですけれども、非常に言い古されたというか、少々食傷ぎみの言葉だと思うんですよ。我々がこの中で訴えてきたのは、司法改革をしたら、お役所の人にお任せではなく、国民みんな一人ひとりがやらなければいかぬことですよと、裁判員制度の導入といい、ありとあらゆる場合において言うんですから、私は、自らの手で司法改革へと国民に呼び掛ける、自らの手で司法改革をしようではありませんかというふうに呼び掛けるものが良いと思います。私は、副題というのは、そういうものであって、全体が出ているというよりかは、中心部分をいうもの、やはり受け身から脱却する、基本的に言えば、髙木さんや、今、吉岡さんがおっしゃったことと同じかもしれませんけれども、私もそういう意味における国民の主体性、「主体性」という言葉を使ったらちょっと固いから、そういうふうにみんなに呼び掛けるという副題にして、それの指針が書いてあるという意味にしたらどうかと、私はちょっと具体案を書いておきませんでしたので、補充かたがた述べさせていただきました。

【佐藤会長】 そうしましたら、この点、細部の段階まで明日できれば明日、明日できなければまたその次でもいいんですが、副題を付けるとして、原案よりもふくらみがあるといいますか、将来に向かっての視点が少し出るようにする方向で、それぞれお考えいただくということにしたいと思います。今日、これにしますと決める必要はないと思いますので、その点はそれぞれ少しお考えいただけますでしょうか。

【鳥居委員】 この自民党のが非常に参考になります。自由民主党司法制度調査会報告書となって、その後に、メインタイトル、サブタイトルがありますから、我が方もそのやり方を取るといろいろな意見がきれいに並べられるのではないかと思います。

【佐藤会長】 分かりました。審議会の中間報告があり、そして、審議会の最終意見ということになるかと思いますけれども、その点はちょっと考えさせていただきたいと思います。
 それで、次に、本題の方でありますけれども、最初に、全体の構成について少し御議論していただきましょうか。
 皆さん、それぞれの委員の御意見を御覧になって、いろいろな考え方が提起されているということは御承知のことかと思いますけれども、この点について最初に御意見をちょうだいできればと思います。

【吉岡委員】 前回のときに、国民的基盤の確立という項目がありませんで、刑事司法の中に国民の参加の問題が入っておりました。それを何とかしてほしいと申し上げまして、98ページ以降に新たに付け加えていただいたという経緯がございます。そのようにしていただいたことは大変ありがたいと思いますが、最後の方に、割合あっさりと触れられています。やはりこの審議会の中心的な柱の一つが国民的基盤の確立ということになりますので、これをもう少し前の方に移動していただけないか、具体的にはⅡの後に移動するということをお考えいただきたいと思います。

【佐藤会長】 ここに持ってくると、中間報告をまた変えるということになりますね。

【吉岡委員】 そうなんですけれども、やはりこの審議会の中では、国民的基盤の確立というのは非常に重要だと私は考えるものですから。

【髙木委員】 国民的基盤の確立のところは、吉岡さんと同意見なんですが、併せまして、私の意見書にも基本的な構成の問題について一緒に書かせていただきましたが、一つは、行政訴訟の扱い方、中間報告では民事、刑事、行政というふうに類別して書いていただいていたんですが、最終意見で、行政訴訟は民事の中の一番最後に書かれている。そういう意味では、中間報告後、行政訴訟の改善、改革の問題などの位置付けを変えちゃったように思えるので、この辺、少し、項目立てもお考えいただく必要があるのではないでしょうか。

【竹下会長代理】 司法の行政に対するチェック機能の強化は、中間報告でも民事司法の最後に入っていたと思います。

【佐藤会長】 中間報告では52ページですが、この最終意見の構成と余り変わっていないと思いますね。

【竹下会長代理】 中間報告の目次を御覧いただくとお分かりになると思いますが。「4.制度的基盤の整備」の中の「(2)国民の期待に応える民事司法の在り方」で、その中にア、イ、ウ、エ、オとありまして、オが「司法の行政に対するチェック機能の強化」とあり、それは中間報告と変わっておりません。

【佐藤会長】 中間報告では、むしろもっとあっさりしておったんですけれども、今回は議論を踏まえて中身が少し詳細に書いてあるということだと思います。

【水原委員】 項目の書き方ですけれども、これは私は原案でよろしいのではないかと思います。吉岡委員のおっしゃる、国民的基盤の確立という問題、これは重要であることは言うまでもございません。そして、設置法によると、その目的は幾つか柱があるわけでございます。その中の一つであると。この国民的基盤の確立というのが大きな柱なのか、それとも、他のものと同じ程度のものなのかという、その理解の仕方ではなかろうかと思うんです。それで、その設置法によると、「二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実・強化その他司法制度の改革と基盤の整備」云々となっておりまして、それぞれが重要でパラレルでという考え方でございますので、そういう意味においては、順番に従った項目の立て方でよろしいのではないかということになります。

【中坊委員】 その点は、私は、既に前回もるる申し上げて、あるいは語を重ねるようですが、今日も、毎日新聞の一面トップに、今回の司法改革に向けて財務省の横やりが入ったというふうに書かれておって、基本的に、裁判官、検察官増というような問題について横やりが入ったというようなことが書かれております。
 私は、確かに水原さんのおっしゃるように、設置法には、ちゃんと理由をおっしゃって、そういう順序で、今、水原さんのおっしゃったように書かれておるし、そのすべてが、三つが大事だということは、これはみんなの共通のことだと思うんですね。ただ、私は、この審議が一貫して、まず人だと、これは会長も本当に情熱を持って私たちの審議の最初に、制度よりもまず人なんだということを非常に説かれて、それが審議の経過にもなって、そこを突破口にして、法曹人口が増えてくるという中で、それを前提にして制度のいろいろな問題が展開していったと思うんです。私も、前回、それを言いまして、会長の方でも、中坊さんの言うこともちょっと配慮しようといって、確かに今日のこれを見ると、「はじめに」のところに、「質・量ともに豊かな法曹をどのようにして得ていくかという観点から、司法の人的体制の充実の必要性や法曹養成制度の在り方等の人的基盤に関する問題を先に検討し、それについて一定の方向性を得た上で」というふうには確かにお書きいただいておるとは思うんですけれども、やはり、このダイナミック性に欠ける点が問題であり、だからこそ、今、言うように、別に人のことを言うわけではないけれども、横やりが入ってくるというような問題も生じてくる。我々の最終意見の柱のところに、人的基盤の拡充の問題がこのような格好で議論が放り込まれてくるというところに基本的な問題点がある。
だから、我々の審議の最終意見をまとめるときには、やはり中間報告に書かれておった順序で、人的基盤の拡充、制度的基盤の整備、それから国民的基盤の確立、この三つの柱立ての順序がやはり一番ふさわしい。しかし、そこまで変えると、中坊さん、今更、こんなもの直らないとおっしゃるなら、せめてもう少し、今、言うように、言葉は1行で書けばそうだろうけれども、どれほど人的基盤の拡充ということを、我々がこの審議会において眼目のうちの眼目であるということを言っておったという趣旨が出るようにしていただきたい。私も妥協派ですから、みんなの言うことをよく聞く方ですから、みんなの意見を聞いて、今更、私が言うとおり直せというのは無理だとしても、だから「はじめに」のところをもう少し、特に会長などお得意のところだったはずですから、そこをもうちょっと思いを込めて、せめて「はじめに」のところに、いかに人的基盤の拡充ということが大切かと、それから確かに先に討議したというので終わるのではなしに、それは非常に重視して一貫して人の問題こそをやってきた旨を書いていただきたい。この発想を言わないと、我々の審議会が何となく制度論に終われば非常に歪曲化されたものになってくるので、その趣旨をできるだけもう少し、会長と会長代理におかれましては、お汲み取りいただきまして、ひとつよろしくお願いします。

【井上委員】 私も、一番最初に法曹養成というかなり重い問題についてレポートさせられた身として、今のお気持ちに同感するところが大いにあるものですから、総論のところで、制度論と人的基盤の整備の一体性というのを強調していただければと思います。  しかし、今、中坊委員が触れられました問題につきましては、最初に法曹人口増といったことがいきなり出てくるのでは、ちょっと弱いかなという感じもある。むしろ、全体としてこう変えていくのだ、新たな司法制度はこういうふうなところを目指すのだということを示した上で、そのために人的な面で質も量も拡充するのだと言った方が力強いように思います。その意味で、基本的な構成はこの原案の形にして、三つの柱の有機的な連関というのを強調する。
 国民的基盤の点も、吉岡委員の熱き思いはよく分かるのですが、これはどの順序で書くというよりは、3点目の中身の問題かと思います。この原案では、国民的基盤の確立のところは、それより前の方で実質はほとんど書いてしまっているものですから、それをおさらいしたような形になっていて、その意味でここだけ読むと非常にあっさりしていて、項目だけ並べたという感じになっている。全体として最終的な姿はどういうふうになるのかという形で、これは書いているのですが、国民的基盤の確立ということをより強調するとすれば、例えば、訴訟手続への参加の部分は後ろへ移すということも、考え方としてありうると思うのです。それは、どちらの形が、我々の思いというか、あるいは大きな柱の立て方として、力強いものになるのか、そういう判断になろうかと思うのです。

【吉岡委員】 おっしゃることはよく分かりますので、もう最後のところですから、余り強く言うのもいかがかと思っているんですけれども、そうであれば、国民的基盤の確立のところのあっさりさ加減のところを、もうちょっと刑事司法の改革のところの、どういう文章にとは言いませんけれども、もうちょっと肉付けをしていただきたい。

【井上委員】 私自身の感じを申し上げると、刑事司法のところを読んでみて、ちょっとすっきりしない。刑事司法一般のことに加えて国民的な基盤の確立の趣旨がここに入ってくるものですから、そこが複線化しているのですね。刑事司法として、本来こうあるべきだという書き方で来た上に、国民的基盤ということが加わるものですから。その意味で、さっきのような分離するという考え方もあるかなと思うのです。

【吉岡委員】 私が言いたいのは、要するに、国民の参加については、参加ということを方向として決めて、とりあえず刑事からとにかく入りましょうということだったという、そこのところをはっきりさせていただきたいということです。

【井上委員】 その点は、全く異論がありません。

【佐藤会長】 では、鳥居委員、どうぞ。

【鳥居委員】 今後の修正その他を考えていく上で基本的なことなので、瑣末のように聞こえるかもしれませんが、あえて申し上げますけれども、私は日銀法の改正で、先生と一緒に会長をやったり、介護保険法の報告書をつくったり、いろいろしてきたわけですが、お役所の方に、下案をつくってもらうと、文章に切れ目がないんですね。一例として申し上げますけれども、「はじめに」というところで、上から6行目、「当審議会は、発足以来、延べ60回を超える会議を開催してきたが、」と、「きたが、」と言う必要は全然ないので、「きた。」とおしまいにしておけば、この間に何でもまだ入れられるわけなんです。文章は全部切っておいてくれると、とても都合がいいわけです。そして、先ほどの中坊先生のところも同様でありまして、何々する「観点から、司法の人的体制の充実の必要性や法曹養成制度の在り方等の人的基盤に関する問題を先に検討し、」と言っているんですけれども、そこの問題を「最重要課題として考えて、最優先的に検討してきた。」と、ここで言い切ってしまえば相当な迫力が出るんですね。だから、そういう修辞法で片付けられることがいっぱいあるように思うんですね。

【藤田委員】 全体の編成はこれで結構だと思いますし、中坊さんや吉岡さんの熱き思いをどういうふうにするのかは、会長、会長代理にお任せいたします。

【中坊委員】 何か雰囲気が良くなりましたね。

【佐藤会長】 はい、今日は、非常に雰囲気がよろしゅうございます。

【藤田委員】 しかし、全体的事項について3点申し上げましたけれども、お読みいただいていると思うので、そうしつこくは申し上げませんが、「今般の司法制度改革の基本理念と方向」、これは中間報告にもあった内容でありますが、中身は大変格調が高いのですけれども、歴史認識となるとそれぞれ皆さんいろいろな認識であろうかと思われます。文部省の検討者会議から返ってきた御意見では座長所感というような形で、全般的な哲学といいますか、理念、方向が出されておりました。そういう形で、独立させた方がいいのかなという気がいたします。
 2番目は、大体が審議会全体としてこういう方向でというふうに公約数的にまとめられているわけでありますけれども、幾つかの点についてかなり意見の対立もありましたし、議論があったわけであります。例えば、国民の司法参加の裁判員の規模をどうするかとか、あるいは判事補制度等についてです。これについて公約数的なことで足りる事項もありますけれども、かなり激しい対立があった事項については、どういうような意見、議論があって、こういうような最終意見になったかということを、注記ででも結構でありますが、書くということが、次に具体的な制度設計をする実施本部なり改革本部なりへの申し継ぎという点で、有益なのではないかというふうに思います。
 3番目は、これも中間報告で、太字の部分をどうするかということがあって、結局、太字にしないことになりましたが、分かりやすくという趣旨でありましょうし、太字にしている部分に異議があるわけでありませんけれども、中間報告でそういう経過がありましたので、この点はいかがか、もう一遍議論したらいかがかということでございます。

【佐藤会長】 ありがとうございました。総論と今の点につきましては、後でまた御相談したいと思います。まず全体の構成について。

【中坊委員】 構成について、先ほどの人的基盤の拡充というところを先にということからいきますと、今度、「Ⅳ 司法制度を支える法曹の在り方」というところが、「法曹人口の拡大」の項から、2番目の「弁護士制度の改革」の項に移っていますね。ここはそういう意味で言えば、まさに2番目としては「法曹養成の改革」があって、ロースクール論があって、それで弁護士改革が登山口だと言っておったんだから、やはりその流れでいけば、「法曹人口の拡大」の次に、一番終わりに書かれている「法曹養成制度の改革」というのが2番目に入ってくるという筋合いのものではないか。そうでないと、法曹養成、ロースクールであれほど我々のすべての基盤になっておるところが最後の項になっていますから、これはやはり2番目に変えていただく必要性があるのではないかと思います。

【佐藤会長】 他にどうぞ。

【北村委員】 全体を通してのところに書かせていただいたんですけれども、この審議会の改革の中心なんですが、それは人によっていろいろと難しい部分があるかと思うんです。少なくともこの14ページの「国民の期待に応える司法制度」、要するに、司法制度改革なんですから、司法制度というものをどのような形に持っていこうとしていたのか、それを私はこの14ページの前文のところで入れていただければなというふうに思うんです。他のところは文章が入っているんですけれども、14ページは突然、民事司法制度というふうに入っていってしまうんです。そこのところで、我々は民事司法制度、刑事司法制度というものの改革の視点をこういう立場からというのか、何かそういうものが意見書だったら入るのかなと。改革の視点というか中心が何なのかということを表せれば一番いいのではないかというふうに思います。

【石井委員】 全体的なことなのですが、今度はきちんとした目次を付けていただきましてありがとうございました。ただ、ちょっと気になりましたのは、例えば、Iのところに、第1、第2、第3と書いてあって、中を見ますと、第1の中にまた1、2、3、4が出てきたり、その下に(1)(2)(3)(4)、それからアイウエオというふうに分かれているわけです。ですから、もし、そこまで見ようとすると、これだけではちょっと分かりにくいところがありますので、最初の目次としては、このままでも良いと思いますが、改訂版では、内訳がもう少し見えるようにしておいた方が、実際に読むときに非常に分かり良くなるのではないかと思います。
 それと、この前、お送りいただいた、これのもう一つ前の案のときと違って、章と章の間、これで言うと章ではなくて、Ⅰ、Ⅱと表現してある場所の間に1枚白い紙が入っています。それがこの前のときには色の付いた紙が入っておりましたので、これもなかなか良い考えであると思っておりましたので、今回のように白紙にせず色紙に戻し、しかも、色紙のところへ2次的目次としてア、イ、ウ、エ、オとかを入れられたら、大変分かりやすくなるのではないかという気がいたしました。
 それから、法律系の文章の書き方が、第1、第2とか、そういうふうに分けるのが最も普通のやり方であるのでしたら、それで良いのですが、一般的には、大きいIというのは、普通第1章とか第2章となっていて、それから、今のこの第1とかというのが、1、2とかというふうに分けるようなやり方なので、この第1、第2というのが、何となく目次にそぐわないかなという感じがいたしますので、どちらが正しいのかよく分かりませんが、一般的にみて分かりやすい方にしていただきたいと思います。

【佐藤会長】 その辺はまた最終的に調整させていただきます。分かりやすいようにということはやはり心掛けないといかぬことだと思います。ちょっと考えさせていただきたいと思います。

【石井委員】 よろしくお願いいたします。

【佐藤会長】 時間の関係で、ここばかりやっていますと何ですので、こんなところでいかがかということを申させていただいてよろしゅうございますか。
 中間報告と対比した場合、中坊委員がおっしゃったように、中間報告ではまず人的なものから入ったのが、こちらは制度的なものから入るということに大きく変わりました。けれども、井上委員もおっしゃったことなんですけれども、私の気持ちとしては、やはり人的な要素、人あっての制度ですから、そこからまず入って、そこの見通しが立つ、こういう形でやれば何とか手当てができるのではないかということを確かめた上で、制度の方に、具体的制度設計がどうあるべきかということに移ったと思うんです。こういう前提に立って、まず、こういう制度ができます、そして、それについてはこういう人の養成ということをやりますという順番でやっても、それで分かりやすい面があるのではないかということで、今回、このように作らせていただいたわけです。こうした順番については、いろいろお立場がありましょうけれども、御辛抱いただいて、ただ、先ほど御指摘のように、そして中坊委員もせっかく妥協しますとおっしゃっていただいたので、「はじめに」のところに、鳥居委員もおっしゃったことも含めて、もう少し我々の熱い思いをうまく表現できるように、書かせていただくということにしたいと思います。
 そこで、構成としては、「はじめに」と基本理念、制度、人、それから国民的基盤という順番にさせていただければと思うのですが。そして、2番目に、人のところなんですが、第6に「法曹養成制度の改革」とあるんですけれども、これを「第1 法曹人口の拡大」の次に持ってきてはいかがかと。井上委員の熱き思いからして、それでいいでしょう。

【井上委員】 私は別にこだわりません。最大の妥協派だろうと思っていますから。

【佐藤会長】 よろしいですか。水原委員は。

【水原委員】 別にありませんが、刑事司法で。

【佐藤会長】 次に刑事司法を申し上げます。

【水原委員】 「法曹人口の拡大」の次に、「法曹養成制度の改革」を入れるということですね。

【佐藤会長】 そうです。では、よろしゅうございますか。
 それから、国民的基盤のところですが、私も理論的にはこれですっきりしているとは思うんですけれども、リファーして、原案ですっきりしているようにも思うんですけれども、やはり一見して、少し薄すぎると言っては何ですが、ちょっとこれはと思われる向きもないわけではなさそうだということと、井上委員がさっきおっしゃったことですが、刑事司法の中にこれを入れることによって、何か焦点が少し分かりにくくなっているところもあるということで、刑事司法における訴訟制度への参加の問題を、基本的に国民的基盤の方に持ってくる、移すという方法をとったらいかがかと思いますが。特に井上委員、先ほどの御発言ですけれども。

【井上委員】 いずれに本体を置くにしろ、双方相互にリファーしないといけないと思うのですね。ただ、どちらから出発するのが良いかというと、国民的基盤の方からですと、その一番最初の取っ掛かりを刑事手続にする、そして、そうすることによって刑事手続がどういう影響を受けるかという順序になるはずですから、そういう筋を通すとすれば後ろの方に置いた方が分かりやすいかという感じがします。後ろを見てくださいとばかりいうのもどうかと思われるところがあり、この原案の形でもいいかなと思ったのですけれども、刑事司法のところを読んでいますと、流れが二つあって、それが微妙にクロスしているものですから、ちょっと分かりにくいかなという感じも逆にするものですから、今の会長の提案に私は賛成です。

【中坊委員】 私も、おっしゃるように裁判員制度の導入という問題が、国民的基盤の確立に入って、また、刑事司法のところにもやはり触れられていくというのはいいんだけれども、むしろ刑事司法が原案のままで行くと、何か目玉と言ったらおかしいけれども、目が裁判員制度の導入にばかり行っちゃってしまう。本来、裁判員制度は刑事司法の重罪でと非常に限定して導入を検討しているんだから、もっと刑事司法全体を充実させるということから言えば、ややそれに陰が隠れてきておる。だから、水原さんのおっしゃっておるように、両方に入れて分散した方がかえって良くなるというように私は思います。

【水原委員】 刑事司法のところに国民の参加、裁判員制度を導入するというのは、なぜそういう形になってきたのかということを考えてみますと、職業裁判官だけの裁判では十分に意を尽くした裁判ができないのではなかろうか、そこで、専門家と、それから一般の常識を得たものとの双方の合作によるコミュニケーションを取って、いい裁判をすればいいんだということが出発点だったと思うんです。違う考え方があることは承知しておりますけれども、そういう意味において、より良い裁判をやる一つの方法として、裁判員制度を導入すべきであるということで、ここに書いたわけですから、それはそれとして残しておいて、それとは別に、国民の司法参加、国民的基盤の確立、そこにもう一度、重複になるかも分かりませんけれども、エッセンス的なものをもう一遍組み込むということならば、よく分かると思うんです。中坊委員もおっしゃるとおりだと思います。私もそれならば賛成です。そういうことでございます。

【髙木委員】 そもそも、この裁判員制度なるものは、国民参加論あるいは国民的基盤の確立というところが議論の出発点で、いろいろな検討の上、第一歩は刑事の一定の類型の事件から始めようということになったものです。だから、民事等へあるいはその他の裁判の類型にも、将来は拡げることもありうる話であり、それはいつの将来か分かりませんけれども、このような国民参加型の裁判制度を導入する起点はやはり最初に国民の基盤の確立ありきだと思います。それでは、会長なり井上さんのセコンドされた御意見のように、両方にエッセンスは書かなければいかぬのでしょうが、やはり中心は後ろの方、国民的基盤のところで書いていただくべきではないかと思います。
 それから、ここで申し上げていいのかどうか分かりませんが、この最終意見なるものと、中間報告あるいはその前の論点整理は相互にどういう位置付けになるのでしょうか。この最初の「はじめに」のところに、中間報告とか論点整理には項目のみですが、リファーしてあります。最終的にはこの最終意見が単独のものだということなんですが、ただ、中間報告にはこういうことで記載されていたけれども、最終意見では、議論の結果、あるいは議論が及ばずという両面があるのかもしれませんが、ほとんどリファーされないものもある。そういう意味では、今後のこともいろいろあるんでしょうが、最初に私はその中間報告なり論点整理は、この意見とは勿論一体のものとは言えないかもしれないけれども、過程で出された審議会としての中間報告であり論点整理であったわけですから、少なくとも添付されるべきだと思います。その流れでずっと読んでいただくと、今、ここで議論をされておるような、例えば、基本理念のところなり、「はじめに」の書き方のところなり、そういう理念的なものも大分論点整理なり中間報告で補完ができるのではないか。それぞれについて委員の間に価値観の違い等、中にはあったんだろうと思いますが、そういう意味で、中間報告と論点整理をどう位置付けるかについて、場合によっては「おわりに」のところなど、どこかで、その位置付けについては何か触れていただくことの方がいいのではないかと、そんなふうに思います。

【佐藤会長】 その取扱い方をどうするのかということは、また最後のところで御相談させていただきたいと思います。順序としては、論点整理を行い、それを踏まえて議論し、中間報告に到達し、さらに、それを踏まえて議論して最終意見としてこうだと、その最終意見を内閣に提出するということになるわけですね。その経過の、御指摘の文書をどういうように扱うかという点については、全部議論が終わったところでまた御相談させていただきたいと思います。
 それで、井上委員が先ほど手を挙げておられますが。

【井上委員】 ちょっと、水原委員の御発言の趣旨を確認させていただこうと思っただけです。本体は刑事司法に書いて、エキスを後ろという、そういう御趣旨だったのですね。

【水原委員】 そうです。

【井上委員】 そうすると、会長の御提案とは違うのではないでしょうか。

【佐藤会長】 違うことになりますね。

【井上委員】 それと、もう一つついでに、細かい点かもしれませんが、検察審査会の問題もそれに連動しますので、もし移すとすれば、その辺も御配慮いただきたいと思います。

【佐藤会長】 これは連動してとらえる必要がありますか。

【井上委員】 国民の意思の反映ということで、司法参加の流れでも議論してきたわけですね。刑事司法の改革という面も勿論あり、両面ある。ですから、どちらに重点を置いて書いた方が我々としての意図が伝わり、また受け取る方も分かりやすいのかということで、その辺も御配慮いただければと思うわけです。

【水原委員】 例えば、裁判官の任命に関する国民の意見の反映、それも国民的基盤に入るようになる。そう持ってきますと、大変な問題になってしまいますので、やはり刑事司法のところで。

【竹下会長代理】 検察審査会の問題は、切り離した方がよろしいのではないですか。やはり刑事の方で書いて、裁判員制度の問題は国民的基盤の方へ移すということでどうでしょうか。

【井上委員】 具体的には個別の問題のところでまた検討するとして、大きな枠組みの問題としてそういう関連もあるということを御留意いただければ結構です。

【佐藤会長】 基本的なところは今のスタイルでいくのか、やはり訴訟参加のところを1番の方に持っていくのか、そこなんですけれども。それはよろしいですか。ありがとうございます。

【竹下会長代理】 会長がさっき言われた端書きのところに、少し各委員の御意見を踏まえて書き足す。北村委員の言っておられる制度的基盤についての基本的な考え方も、なかなか難しいとは思いますけれども、できれば、制度的基盤の冒頭に入れさせていただくということでどうですか。

【佐藤会長】 そうですね。それを入れていただく。14ページのところですが、それから刑事司法の方も同じように考えていらっしゃるんですか。

【北村委員】 私、本当は総論の方に入れていただきたいんです。今の私の真意は総論の方なんですが、この13人の委員の総意として難しければ各論でということなんです。ですから、もし入るんだったら、私は総論にきちっと、司法制度をこういうふうに持っていきますよというようなものがあれば、何かすばらしい意見書になるのではないかと思うんですが。

【佐藤会長】 そこは総論のところで御相談しますけれども、総論が長すぎるとか、重すぎるとかという御指摘もあって、今回はできるだけ簡潔にまとめさせていただいたわけです。それで、次に総論の方に入りますけれども、今の問題、引き続き御議論を。

【北村委員】 それともう一つ。これは総論が二つあるみたいな書き方になっていますね。

【佐藤会長】 それも申し上げようと思ったんですけれども、総論の基本的な理念、方向のところと、それから21世紀の司法はどういう姿になるのかというところとの関係ですね。司法制度改革基本法と言いますか、推進本部体制に関する法律を作ってもらわないといけませんですね。そのときのことも考えて、こういう姿になるということを分かりやすいようにしようということで、若干重複しているところもあるんですけれども、理念は理念、姿は姿というように分けて書かせていただいたらこういうことになったということなんです。だから、ちょっと重複していますけれども、将来、いろいろな段取りが進んでいくことも視野に入れてのことだということで、そこは御理解いただければと思います。
 それで、確認ですけれども、訴訟制度、国民の参加のところを基本的に国民的基盤のところに移すということでよろしゅうございますか。 (「はい」と声あり)

【佐藤会長】 ありがとうございます。そういうようにしたいと思います。事務局が大変なんですけれども、おそらく今日は刑事司法まで行くのは難しいと思いますので、もう既に1時間になんなんとしていますので、できれば明日それを移したもの、粗削りのものにならざるを得ないと思いますけれども、それを明日お示しして御審議いただきたいと思います。
 それでは、全体の構成については、「はじめに」というところに人的基盤の意味を少し強調するような文章を入れさせていただく、それから、刑事司法の中に入っております訴訟手続への参加の問題を国民的基盤の方に移させていただく。それから、「Ⅳ 司法制度を支える法曹の在り方」のところで、「第1 法曹人口の拡大」という次に、今、第6になっています「法曹養成制度の改革」を第2として持ってくる、そして、後は順送りということにさせていただきたいと思います。全体の構成については、それぞれいろいろな思いもありましょうけれども、こんなところでよろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
 それでは、理念と方向のところについて御議論いただきたいと思います。
 我々とか、我が国とか、いろいろあったのですが、統一上の問題を御指摘いただきまして、できるだけ御意向を踏まえて既に修文させていただいております。先ほど藤田委員の方から、基本的な問題として、所感というような扱いではいかがかという御指摘がございました。ただ、これまでの審議で、総論といいますか、今回の司法制度改革の精神みたいなものは、やはり書くべきではないかという御指摘がありました。さはさりながら、中間報告については、少し立入りすぎではないかという御指摘もあったということも勘案して、できるだけあっさりとまとめる、簡潔にまとめるということを心掛けて事務局で作っていただき、私が後で若干手を入れたわけですけれども、まあ、そういうようにいろいろ苦労して、苦労するというのは当たり前だと言えば当たり前かもしれませんけれども、その結果でございまして、この辺で御理解いただけないであろうかと思うのです。理念なしに報告書を書くのはいかがかと思います。自民党の報告書を見ましても、何かそういうのもあるような気がします。中身の点については、違憲審査どうのとか、御議論いただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。比喩についても御指摘をいただいていますが、比喩というものは、納得する人は納得する、分からない人は分からないという性格のものです。

【山本委員】 中間報告に比べて、最後の方があっさりしていて、いいのではないかと私は思います。

【佐藤会長】 思いが大分違いましたけれども。

【中坊委員】 私はやや不満です。とにかく、この期に及んでそう言っておっても仕方がないと思いますから、妥協はしますが、しかし、私はどこかにあれだけの思いを中間報告に書いたことが出てこないといけないなという気はするんですけれども、一体、何を我々審議会は国民に訴えるのかということですから、確かに今までの中間報告のあの部分はあったんだと思うんですけれども。

【竹下会長代理】 表現等で分かりにくいというようなところは、具体的な修文の御意見を出していただければありがたいと思います。

【藤田委員】 中間報告のときもいろいろ議論がありましたから、それを踏まえて、内容をお考えいただければということでございます。

【井上委員】 体裁の問題なのですけれども、1と2のところは一番冒頭に太字で要約のものが書かれていて、各論のところは括弧で囲んでいるのですが、これはどういう理由によるものなのでしょうか。

【佐藤会長】 気持ちとしては、各論のところは囲み的なものなんですけれども、ここで言っていることはかなり大きなこと、理念とか、そういった性格のものなのですね。まあ、要旨みたいなことなので太字に。

【井上委員】 総論の部分で囲みに入れると、ぎらつきすぎるということですね。分かりました。

【佐藤会長】 各論のところは、こうだという明快なステートメントを出して説明するというスタイルなんです。そんな趣旨です。

【藤田委員】 この趣旨でお任せいたします。

【鳥居委員】 細かい多くの修文はいつやるんですか。今日やるんですか。

【竹下会長代理】 もし、具体的な御提案があれば。

【鳥居委員】 では、まず3ページなんですけれども、2行目の左の方にある「設置法」というのは、やはり前を読んでいないでここを読む人もいますから、「司法制度改革審議会設置法」と。

【佐藤会長】 「はじめに」に出てきたものですから、すぐ「設置法」にしちゃったんですけれども、丁寧に書けば。

【鳥居委員】 それから4行目の右側でございますが、「一体何をなさなければならないのか」というのがよく分からなくて、「一体」というよりは、「日本国民が」と。要するに、これは主語がないんです。それから、そこから3行下の、その段落の一番最後「を明らかにすることにあると設定した」というのは、いかにも法律家の用語で、一般の国民にはよく分からない。「を明らかにすることにあると考え審議を行った」とか、何とかということを言っているのではないかと思いますけれども。以上です。

【佐藤会長】 分かりました。文章、言葉遣いについても御指摘いただきたいんですけれども、時間の関係もあり、どうしましょうか。

【鳥居委員】 ですから、先ほど言ったように、語句の修辞をどうするか、簡潔に提案があれば出す、結論が出ない提案はしないというルールにしちゃう。

【竹下会長代理】 内容と関わりがない部分ですね。

【井上委員】 私が申すのは僣越かもしれませんが、時間との関係で、実質に関わる問題を中心に審議をして、私も「てにをは」に類する修正案をいっぱい出していますけれども、そういった類のものはできればメモの形にして提出をして、それで調整していただく。そうしないと時間が多分足りないと思うのですね。

【山本委員】 細かい点は簡潔にやっていただいて、取るべきを取る、取らないのは取らない、これでどうだと、そうやってもらった方がいいような気がします。ここで一つひとつやっていると、大変ですから。

【佐藤会長】 報告書は100ページ以上にわたっていますので。

【中坊委員】 私も総論の部分についても意見を言っています。例えば、この3ページの下から5行目ぐらいの、要するに、例えば、私たち、中間報告の中では、公共空間は決して官の独占物ではないと、こういうアピールをすることによって、非常にエンカレッジしたと思って、私は非常に喜んでおったところなんですけれども、字句が「最後のかなめとして位置付けられるべきである」と、それ自体同じようなことが書かれている部分はあるんだけれども、このようないわゆるキャッチフレーズになるような言葉が、かえってこの最後のところには抜けておる。私たちは、どうしても公共空間というのは、全部官の独占物だというふうに思っているということが正されなければならないこと、すべての司法参加にしろあらゆる場合に、全部が参加していかなければいけないということが抜けておったということをアピールしていく、これが法の支配にもつながる理論だというふうに思っています。そういう点、私自身は、その下にもまた権利主体とか統治主体とかいろいろ書いておるんで、もう一遍修文というか、軸だし、やはりキャッチフレーズになるような、国民に直接訴えたいような言葉は、もう一度私も今回の読会用の意見書の中に書いていますので、御再考をいただきたいと、このようにお願いいたしておきます。

【佐藤会長】 それは一応修文として受け止めまして、さっき井上委員からおっしゃっていただいたように、既にいただいたものもそうですけれども、更に、これからも、ここはこうしたらいいじゃないかというものを提出していただいて、29日になりますか、6月1日になりますか、文章、表現の面で、最終的に御相談させていただきたいと思います。そこのところは、今のような取扱い方でよろしゅうございましょうか。

【髙木委員】 どこがどうだというものは何か出せというならそうさせていただきますが、全体的に基本理念ということで、国民主権だとか、国民的基盤だとか、これは読み方にもよるんでしょうが、中間報告等に比べたら、その辺の記述が総体的に弱くなっているという感じがしてなりません。
 それから、例えば、7ページのところの「『国民の社会生活上の医師の役割』を果たすべき存在である」という表現がありますが、勿論、法曹がそういう役割を十分果たしていただくことが国民にとっての大きなメリットであるわけですけれども、法による支配は、法曹による支配ではないというニュアンスが出てこないですね。
 それから、利用者である国民というんでしょうか、そういった視点も、国民的基盤のところとも関わりがあるんですが、全体的にそういう表現が、全くないというわけではございませんが、そういう面が少ないのではないかという印象があります。どこに具体的に言ったらいいか私も考えてみますけれども、そんな感想がございます。
 それから、後、個別修文みたいなことに類するのとは違うと思うので申し上げたいと思うんですが、6ページの行政訴訟制度の関係のところ、行政に対する司法のチェック機能、これは「行政訴訟制度を見直す必要がある」と書かれている。広義で言えば、行政実体法もこの中に含まれているからとは思いますが、ここは実体法という表現を入れていただいた方がいいのではないかと。

【佐藤会長】 細かく書きますといろいろあると思います。総論のところでは、実体法の問題も含めて、全体的に行政訴訟制度と言っているんですけれども。もう少し考えさせてもらいますけれども。

【髙木委員】 工夫ができたらしていただきたいです。

【佐藤会長】 今の御指摘の点ですが、既に髙木委員の御意見を拝見しておりまして、検討させていただきました。ただ、それぞれ入れていきますと、総論がふくらんでくるものですから、こういう形になりました。しかし、できるだけコンパクトにまとめたいという中で、どのぐらいなら取り入れられるかということを、最終版までに更に考えさせていただくことにしたいと思います。
 ただ、一つ気になったのは、藤田委員の方から触れられた、違憲審査についてなんです。立法に対するチェック機能について、裁判所はこの期待に必ずしも応えていないのではないかという点、それから、違憲審査についてここまで立ち入っていいのか、余り議論しかなったのではないかという御指摘のところが気になったんですけれども、ただ、この程度は最終的には触れておかないとと考えました。私が会長でなかったらもっと違憲審査のところを強烈に主張したと思うんですけれども、ただ、制度論と結び付けて考えると、5月8日に提示させていただいたようなところなのかなと、そして、総論でこの程度は書かせていただけないかと思ったんですけれども、その点は。

【藤田委員】 憲法学者に反論するようになって大変おこがましいので反省はしておりますけれども、違憲立法審査制度を更に改善強化しようということに反対しているわけではなくて、その違憲立法審査制度は今までどういうような評価をされているかという点についてはいろいろな言い方がありますし、司法積極主義、消極主義についての議論がありますから、仮定的にお書きになっているんですけれども、そこら辺はまだ十分議論していないのではないかという趣旨で申し上げたわけです。

【竹下会長代理】 おそらく6ページの上の辺りのことだと思うのですが、これは「評価も少なくない」という、ここまでは客観的な事実なのですね。やはり客観的な事実としてはこう言わざるを得ないのではないか。しかし、審議会としては、そのような批判にコミットをしているわけではなくて、当審議会としては、その前の比喩で、静脈の規模及び機能の拡大・強化ということが必要だと言っておりますので、客観的にそういう事実があって、それをそのまま我々も認めるということではなくて、前の静脈の規模・機能の拡大の必要という文章を受けて、機能を拡充する方法を考えましょうと、そういう文章の構成ですので御理解を願います。

【藤田委員】 だから、司法消極主義の立場に立って、本来、憲法判断をすべき場合にそれを回避してきたという趣旨の批判とすると、ちょっとそこは何か言いたいところがあるという趣旨でありますので、そこら辺の表現について、もう一遍御検討いただければということで申し上げました。

【鳥居委員】 同じ表現ですけれども、今、髙木委員が提起されたお話から、違憲立法審査権の方に移っちゃったんですけれども、髙木委員のお話の行政訴訟の問題は、その次の段落の3行までは直す必要がない立派な文章だと思うんです。そこで言い切った上で、「このことは個別の行政過程への不当な政治的圧力を阻止し」云々という文章は、いろいろなお互いの思いがこもっていて4行にもわたっているんですけれども、もう少し簡潔にすれば2行ぐらいで私は済むと思います。その2行ぐらい削ったというかスリムにしたところで、先ほど来、髙木委員が言っておられる、実体法を直さない限り、国民の本当の不満は解消しないという問題を書き込むこともできるのではないかというふうに思いますので、髙木委員も御案を出されると思いますけれども、私も案を出しておきたいと思います。

【佐藤会長】 ここのところは、実は相当きつい表現として入れているつもりなんです。行政改革では内閣機能の強化とか企画と実施の分離とか、相当大きな仕掛けを作ったんです。そして、法律の執行というものはきちっとやっていただかないといかぬ、企画と実施がごちゃごちゃにならないようにしないといかぬ。内閣機能の強化は追求しなければならないけれども、執行過程に変な圧力とかそういうものが掛からないようにしなければいけない。ですから、ここのところは相当きつい表現だと私は思っているんです。

【中坊委員】 それから、これも総論の部分で、10ページの2段落のところ。

【佐藤会長】 一応、Ⅰまでやって、今、実体法の話も出ましたけれども、それも含めて御意見を更にもう一遍考えさせていただく、取り込めるかどうかは保証できませんけれども、更に再考させていただいて最終文案を作りたいと思いますので、基本的にこういうことでよろしいということで御了解いただけますでしょうか。
 では、Ⅰは一応終わったこととにして、休憩を10分間挟みまして、52分に再開します。

(休  憩)

【佐藤会長】 それでは、再開させていただきます。
 先ほどは、御議論をさえぎりまして失礼しました。「Ⅱ 21世紀の司法制度の姿」、これはエキスみたいなものを簡潔に書いているわけですけれども、中坊委員、どうぞ。

【中坊委員】 10ページの一番最初、審理期間を半減することを目標としてということで、この点は私の方もこの前申し上げたのは、審理の一層の充実と迅速を目指すために審理期間をおおむね半減するということであればいいんじゃないかなというふうに思いますので、そういう字句をそこに挿入していただけましたら、私が述べていた部分も一応片づくのではないか。

【佐藤会長】 ここのところは、審理も。

【中坊委員】 後からまた各論のところに出てきますけれども。

【佐藤会長】 審理の内容を充実させて、もうちょっと。

【中坊委員】 だから、「現在の審理期間を概ね半減する」という前に、「審理の一層の充実と迅速化を目指すために半減を目標とする」と書けば、私の言うている趣旨も活きてくるんじゃないかと思うので、これもまた建設的な意見です。

【竹下会長代理】 原案でも、「審理の内容を充実させて」とお断りしてあるのですけれども。

【佐藤会長】 迅速を明確に。

【中坊委員】 これから将来のことですから、このようにしたらどうかということです。充実だって本当は目指すためなんです。だから、目指すために充実させて、目指すために審理期間を半減することを目標にするんだということです。

【水原委員】 11ページの人的基盤の充実のところですけれども、11ページの第2パラグラフですが、「法曹人口については、2004年には現行司法試験合格者数1,500 人を達成した上、新たな法曹養成制度の整備状況等を見定めながら、2010年には新司法試験の合格者数を年間3,000 人」とする。こういうふうに2010年にはというふうにはっきりお書きになっていますれども、これは新司法試験の合格者数の3,000 人の目標達成時期については、必ずしも委員間で意見の一致は見られていなかったように思います。そういうことで、幅を持たせた表現にしたらどうだろうかというのが私の意見でございます。殊に、新たな法曹養成制度の整備状況だとか、他にいろいろな要素が法曹の量には関わってるわけでございますので、それらの状況を見定めないと確定的な目標設定時期をするのはいかがなものであろうかと。そういう意味で、これは決して妥協するわけじゃございませんけれども、「2010年から2015年の間には」という、5年くらいのアラウワンスを持たせたらどうだろうかというのが私の意見です。同じ趣旨で、57ページにもその点が出てまいりますので、同様な修文をお願いしたい。

【北村委員】 これみんな後のところに関わってくるところですので、後のところをやってから。各論をやってから。

【水原委員】 分かりました。

【佐藤会長】 それでは、このⅡのところは、姿を簡潔に示すということで。修文の必要はまだあるかもしれませんけれども、基本的にはこれでよろしゅうございますか。

【吉岡委員】 11ページのところで2番目のパラグラフから3行目のところまでで3,000 人増やすと書いてありますね。後ろから4行目のところから「法曹養成制度については」となっているんですが、この法曹養成制度のところの4行を上へ持っていった方が読みやすいのではないかと思います。

【佐藤会長】 そうですね。それでは、さっきの順番との関連がありますので、ちょっと工夫させていただきます。

【吉岡委員】 それから、13ページのところですけれども、上から6行目に「人員・予算の確保には、これまでの経緯にとらわれることなく」と書いてあるのですけれども、ここのところは、行政の他の分野とは異なる取扱いとすべきで、司法制度は、行革の一律10%マイナスに合わせられてしまいますと、本当の意味での改革が進まないのではないかと思います。

【佐藤会長】 ここのところも、実は後で出てきますので、後の方で実質的な御議論をいただくということにして、そこが変わればこちらの方の表現も変える必要があるかもしれませんので、そういうことで御理解いただけますか。
 では、Ⅱのところは、一応、そういうようにさせていただいて、「Ⅲ 国民の期待に応える司法制度」の方に入らせていただいてよろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

【佐藤会長】 まず、最初に代理、北村委員の御発言ですけれども、最初の14ページのところで何か。

【竹下会長代理】 ちょっと考えさせていただくということでよろしゅうございますか。

【井上委員】 さっきの北村先生の御発言は、民事司法制度の改革の項の前のところに、全体を通じる総論みたいなものが必要だという趣旨ですか。

【北村委員】 総論の一番最初のⅠのところに本当は入れていただきたいんです。というのは、この司法制度改革ということで、いろいろ国民的基盤とか、いろんなことが書いてありますけれども、一体それで何を最も改革したいと思っているのかというところが、いろいろなものが並んでおりまして、ちょっとはっきりしないかなと。
 本来は初めの方に入れていただきたいんですけれども、もしそれがかなわなければということで、こちらの方に。

【竹下会長代理】 9ページの「国民の期待に応える司法制度の構築」というところに、我々が考えている今後あるべき司法制度の姿がまとめて書いてあるのですが、これでは不十分でしょうか。

【北村委員】 不十分ということではなくて、十分すぎるということなんです。要するに、いろんなことが書いてある。

【竹下会長代理】 ポイントはどこかということをはっきり示せという趣旨ですか。

【北村委員】 そうなんです。そこなんですよ。

【鳥居委員】 北村先生の御意見に近いんですが、9ページまでのところと、14ページ以下のところを切ってしまって、上二つが総論で、理念が上二つのうちの1番に書いてあって、上二つのうちの2番に今回の提案がすべて列挙されている。そして、14ページ以降が各論というか、そういうふうにはっきり頭が分けられると読みやすいだろうということがまずあるんじゃないでしょうか。

【井上委員】 章立てを総論、各論と分けてしまうということでしょうか。

【鳥居委員】 そういう方法も考えられて、そうすると、北村先生のおっしゃるのはとても分かるようになるんです。

【竹下会長代理】 そうすると、このローマ数字のⅠとⅡとを合体させて、言わば総論とし、21世紀の司法の姿というのは、その総論の中に入れるということですか。

【鳥居委員】 このままでいいんですけれども、これは総論で、ここに二つ書いてあって、それから詳論というか、また1番から始まって書いてあると。読まされた国民は頭の整理が必要になる。

【竹下会長代理】 それはちょっと工夫をいたしましょう。今のことと関係するかもしれないのですけれども、民事司法の中も、場合によりまして、一番この審議会として訴えたいのは、やはり審理の充実、迅速化ですね。23ページの2.から始まるのです。「民事裁判の充実・迅速化」ということなので、これを前に持ってくるということもありうるかなと考えています。アクセスの問題も重要なのですけれども、いきなりアクセスの拡充というところから始まるというのが、北村委員の言われるポイントはどこかということを分かりにくくさせている一つのファクターかもしれないので、その辺はちょっと考えさせていただきたいと思います。

【北村委員】 やはり14ページの初めは何かないと、突然「第1」というのはおかしいですね。

【竹下会長代理】 ここは各論ですからこうなっているのですが。

【北村委員】 他のはⅣとかにはちゃんと書いてあるんです。こんなふうに全然触れていないところはないと思ったんです。何か書いてあるんです。結局、それが何かあって、そして入っていくんじゃないかなと思うんです。

【竹下会長代理】 なるほど。

【北村委員】 ここだけがぽんと。

【竹下会長代理】 ちょっと考えさせていただきます。今、ここですぐどうやったらうまくいくかを申し上げるのは難しいので、他と重複するようなことになるかもしれませんが、工夫してみます。

【中坊委員】 そういう立場から言えば、この民事司法制度の改革の中で、人的な基盤が著しく拡充されることが柱になって、アプローチも何もかも利用しやすく充実するようになるわけですから、人的基盤の拡充の問題がここに関連しているということが、民事司法改革の中のどこかの部分にちょっと入っていると、分かりやすいんではないかと思うんです。
 それを北村さんのおっしゃるように前に書くかどうかは別問題にして、非常に総合的な中における民事司法制度の改革なんだということが、もう少し鮮明に出てきた方が良いと思います。これですと、アプローチとかはすぐ分かるんですけれども、それが実現していくためには、まず人的な飛躍的な拡大があって、初めて全部可能になるんだから、何かそれが出てきてということが一つじゃないかという気もするんで、そういうことも踏まえて、表現をお考えいただくということでいかがでしょうか。

【佐藤会長】 その大前提をどこかにうまく書けるかですね。

【竹下会長代理】 それぞれのところでは入っているのですけれどもね。

【中坊委員】 入っているんですけれども、今の北村さんの言うように、そこも一緒に入っていると、より一層分かりやすいのかもしれないということを言っているんです。

【石井委員】 先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、目次の件なのですけれども、今みたいな御意見が出るというのは、目次のところが本当にきちんとしていないというところからも出てくるのではないかと思うのです。実際に付けるときの目次はこのままで結構なのですけれども、今、ここで議論するためには、例えば、最初にお話のあった各論と総論みたいな分け方と、第1章なら1章で1、2、3、4で、ア、イ、ウ、エ、オがあったら全部入れていくと、スケルトンがはっきりしますので、こっちがこの辺にあるのがおかしいのではないかとか、そういうことが少なくなってきて、きちんとした筋道が通るのではないかという気がしますから、冊子を作るための別の目次をお作りいただけると大変分かりやすくなるのではないかという気がいたします。

【佐藤会長】 今の趣旨を含めて、構成を少し。

【吉岡委員】 14ページの下の方に「裁判所へのアクセスの拡充」というのがございます。「利用者の費用負担の軽減」ということが書いてございまして、その中で弁護士報酬の敗訴者負担について、中間報告では基本的に導入する方向で考えるべきであるとしまして、その中間報告が発表されてから、相当大きな反響がございました。その反響のほとんどは、この制度が導入されたならば、弱い立場の人たちは訴訟ができなくなるという内容の反響でございました。「弁護士報酬の高さから訴訟に踏み切れなかった当事者」という表現が使われておりますけれども、民事訴訟利用者調査によりますと、裁判に対するアクセス障害というのは、費用の高さだけではなくて、予想がつかないということにあるということが報告されています。問題は費用が高いから訴訟に踏み切れないということではないと思います。もう一つ、基本と例外のような書き方で、労働訴訟、少額訴訟が敗訴者負担制度が不当に訴えの提起を萎縮させる恐れがある例として挙げられていますが、少なくとも少額訴訟の場合には、必ず弁護士が付くわけではありません。本人訴訟の場合にどうなんだ。相手の費用だけを負担するということになるので、その点は少しおかしいのではないかと思います。それから、費用化するという考え方になりますと、これは基本的には敗訴者負担の導入ということになってしまいます。そこのところをお考えいただきたいというのがもう一点です。そういうことで反対が多いということと、今までの審議会の議論の内容、その他を考えますと、やはり「実情を見定めながら将来の課題として引き続き検討すべきである」というような形で、先送りというあれでもないんですけれども、そういう修正で、もう少し検討するということをお考えいただきたいと思います。もっと言いたいことはあるんですけれども。

【竹下会長代理】 一旦ここで切っていただいた方が良いと思います。この問題は何度もここで御議論いただいて、中間報告前もそうですし、その後も、最近では第54回の会議で議論いただき、今、おっしゃったことも全部そのときにも伺いました。その結果として、会長が第54回の議事録でまとめをしておられますけれども、そこの中で基本的にという言葉はここに入っておりませんけれども、そちらの方向で考える。しかし、どこの国でもそれで生ずるいろいろな不都合を是正する仕組みを考えている。だから、そういう仕組みを採り入れることを前提として、訴訟費用化をする方向で考える。その訴訟費用化というのも、弁護士報酬全額ということではないというのは、初めから前提として言っていることでございます。ただ、この制度の本来の趣旨は、訴訟費用の壁のために訴えを起こせない人たちに、訴えを起こしやすくしましょうということですから、そのことをはっきり示して、逆効果になることはないようにしようというので、冒頭の囲みで、「裁判所へのアクセスを拡充する見地から」という表現に直したところなのです。ですから、そこは何とか御理解をいただけないかと思います。それから、タイトルでございますけれども、弁護士報酬の一部ですけれども、訴訟費用にしないで、負けた人に負担させるという仕組みはちょっと考えられないのですね。

【吉岡委員】 いえ。

【竹下会長代理】 それはどういうことなのでしょうか。

【吉岡委員】 要するに、それも含めて、もう少し議論してからやるべきではないかということで、今、ここで弁護士報酬の訴訟費用化にしろ、敗訴者負担にしろ、同じことですから、そこのところを考えていただきたいということです。だから、もう少し検討して決めてほしいということです。

【竹下会長代理】 しかし、ここでの御議論で、皆さんが基本的にはこういう御意見だったですからね。

【吉岡委員】 ただ、あれだけ反響があって、ここにいろんな意見が来ただけではなくて、あちこちで集会があったり、いろいろな場所で大勢の人たちが集まって、それで反対と言っているんです。中間報告を出したときに、この中間報告を出すことによって、広く国民の意見を聞くということを言っておりますので、これだけ反対の声があるのに、拙速に決めるべきではないということです。

【竹下会長代理】 それを踏まえて、第54回会議で、改めて議論したわけです。会長のまとめですと、外国の諸制度を見ると、基本的な考え方はこうだけれども、それで不都合が生ずる場合には配慮がなされておって、国によっていろいろ是非はありますけれども、そう違わない配慮がなされている。それが中間報告を書くときの前提であって、一応、「原則として」という言葉は使わないで、「基本的に」と言いながら、「例外」という言葉を使ったため、原則、例外と受け取られて、私どもが意図するよりも、ややカテゴリカルに受け取られた感じがある。考え方の出発点は、アクセスを拡充することに配慮しなければならないということであったのに、私どもの趣旨が中間報告の表現で必ずしも十分正確に受け取られていないとすれば、書きぶりをもう少し考えてさせていただくと言われているのです。
 そこで書きぶりを、このように、冒頭のところを、「アクセスを拡充する」と、我々の意図はそこにあるのだということをはっきさせて、その「基本的」という言葉が、どうも原則と受け取られたので、それも除いたと。そういうことなのです。
 ですから、ここでまたこの問題を蒸し返すということになりますと、いつまでも決められないことになります。

【吉岡委員】 これだけ反対の声が挙がっているんですよ。確かに投書が多かったのは、後はロースクールだと思いますけれども、ロースクールそのものに反対ということではなかったと思うんです。そういうことから言えば、これだけが突出して反対なんです。それを強引に踏み切っていいのかということで、私はもう少し考えなければいけない問題だと思っています。

【竹下会長代理】 私はこれまとめただけですので、皆さんの御意見を伺ってください。

【鳥居委員】 私もこの問題については、投書の多さというので、俗な言葉で言いますと、びびりまして、いろいろ考えたり、勉強したりした結果、私の意見書ではここのところが一番長いんです。長いのを全部読みますとあれですから、結論的なことだけを申し上げますと、最終意見の書き方としては、多少アプローチの修正になるかもしれませんけれども、こんなふうにしてはどうかなと思っています。
 敗訴者負担を一般的に導入するのではなく、それにふさわしい類型や場合には導入するべきものであることを明示した上で、差し当たり、導入しても問題がない類型や場合について、その要件を検討して適用する旨を表示するという書き方に変えて、意見書では書いてありませんが、本文15ページのイの「弁護士報酬の訴訟費用化(敗訴者負担)」というのを、「弁護士報酬の訴訟費用問題」という程度の書き方にとどめるというようにしてはいかがかと思って私は意見書を出しました。

【竹下会長代理】 それは拝見しております。

【藤田委員】 弁護士費用が訴訟に関する経費の中で一番大きいという点から言うと、それを勝訴しながら取れないというのは、完全な権利救済にならないというのが理念としては言えるわけでありまして、そこで大陸法諸国では、原則的には敗訴者負担にしている。確かに反対の意見が数多く出ているんですが、その反対の理由等を拝見しますと、必ずしも審議会の方で打ち出している具体的な方向付けというものを完全には理解しないで、一般的に敗訴者負担になるのではないかということでの危惧というのが多くを占めているように思うわけであります。  前に申し上げましたけれども、かつて民事訴訟の運営改善を弁護士会、司法書士会の人たちといろいろ協議したときに、相談に来た人に弁護士費用は勝った場合でもあなたの負担になりますと言うと、提訴を断念するというケースがかなりあるという話を聞いておりますし、そういう意味では、具体的に敗訴者負担にするのが適当でないという事件の類型とか、具体的な事件において、裁判所の裁量によって負担させないとか、あるいはこの意見にも書いてありますけれども、ドイツ法のように定額化するというようなことで、不都合な結果が生じないようにするということにするならば、全体的な方向としてはこの審議会の意見でいいのではないかと考えます。

【髙木委員】 吉岡さんが心配されている議論の受け止め方みたいなものは、うまく真意が伝わっている、伝わっていないという面は仮にあるにしても、この敗訴者負担問題に際立って懸念する意見が多いこと、そのことはやはり留意しておく必要があるのではないか。
 そういう意味では、ここは「導入すべきである」という書き方を、「導入について検討すべきである」という、そんな書きぶりももう一度検討してみる必要はありはしないかと思います。ただ、今までの議論の経過があるからという竹下先生の御説明ですが、そういったものにおもんばかるとしたら、確かにタイトルも「訴訟費用化」と言ったら、ぱっと見たときに、最初に弁護士報酬を負担することありきで、例外だけ作りますという受け止め方になる。まず、何々ありき、そして、これこれ例外なりというパターンです。訴訟費用化という言い方ではなくて、鳥居先生がおっしゃったような表現ぶりが良いと思います。
 私は、強いて言えば、適用しないというのを、適用する訴訟の範囲というアプローチもあるのではないかと思います。よく言うネガティブ・リスト、ポジティブ・リスト。そういう意味ではプリンシプルが書いてあって、それに対してネガティブの方がこうだというのではなくて、最初からこれを適用する範囲はここまでですよという括り方です。ある種の知恵でしかないかもしれませんが、多くの方々の懸念されるという反応がこれだけ強くあるんですから、それに対して留意する必要があるのではないでしょうか。
 私ども労働組合の世界でも、ここにまいりまして、急激に反対論の回状が回ってまいりまして、私も吉岡さんほどではないけれども、いろいろ懸念する意見を言われています。そういう意味では、「裁判所へのアクセスを拡充する見地から」と書いていただいたんだけれども、多くの人たちは、どこまで制度のことをお考えになって言っておられるのかという面はあるかもしれませんが、要するに、訴えの提起の萎縮だというふうに受け止めているんです。ですから、今のようなこういう反応がある中で、ここまで審議会で走っちゃっていいのかというのが率直なところです。

【中坊委員】 先ほど藤田さんのおっしゃったように、私たち審議会では何もそんなことまで考えていないにかかわらず、社会一般ではそういうふうに、弱者いじめの審議会だという位置付けをして、吉岡委員のところにはたくさん抗議がいっているんだろうと思うし、そういう形でこの審議会そのものの在り方までが問われる大事になってきている。
 私たちは、先ほど竹下会長代理のおっしゃったように、何もそういう意思はなかった。むしろ訴訟へのアクセスを拡充して、より起こしやすくする。そのときには目減りするじゃないか。だから、目減りしないような視点も必要じゃないかということで、我々はここのところに入ったはずであります。
 私たちとしては、その意見は確かに中間報告をして、それから非常に世論から反論があって、それでは、もう一遍考え直しましょうということで、例外という字を抜いて、基本的に導入するというものを止めて原案を作ったわけです。

【佐藤会長】 「基本的に」ということだったんです。

【中坊委員】 原則、例外と受け取られていたから、そこを直して、これで私らは収まったというふうに思っていたにかかわらず、なおかつ批判がある。また、新聞の見出しやら見ても、我々のところに敗訴者負担導入とぼんと見出しで書かれていますね。私たちが見る新聞の中には。

【竹下会長代理】 京都新聞に書いてあるという話は聞きました。

【中坊委員】 私は、京都ですから京都新聞を見たら見出しがあって、取りまとめが強引な司法制度改革審議会とか書かれていて、そういうところまでいろいろ批判が来ている。
 要するに、私は我々の審議会の意図は決してそうではなかった。また、我々も、この間、会長も、そういう誤解を招かないように書きぶりを考えましょうということはしたと思うんですよ。その結果、こういう案になったわけです。ところが、その書きぶりであったにかかわらず、なおかつこういう批判が非常に出てくるというところに、一つの大きな問題点があると考えなければいけない。そういう意味で言えば、訴訟費用化と、本来は竹下さんのおっしゃるように、訴訟費用化にならなかったらどうなるんですかということはありますよ。しかし、弁護士報酬の訴訟費用化と書いたところに、訴訟費用化になるということが問題になってきたので、だから、私たちがこの問題を討議するときには、確かに、訴訟費用化の過程を経ないと問題なんだけれども、問題設定としては、もっと大上段的に弁護士報酬の敗訴者負担問題をどうするかということで、我々は考えてきたことだろうと思うんですよ。
 だから、先に結論がありきというような見出しになっていることが、今、藤田さんもおっしゃるように、反対の人が誤解したというか、それでもう聞く耳持たぬという話に受け取られてきているわけですから、我々としてはそういう人の誤解を避ける書きぶりを考える必要がある。それには、今、言うように、見出しそのものを「弁護士報酬の訴訟費用(敗訴者負担)」と書くのを止めて、「弁護士報酬の敗訴者負担問題」とストレートに書いて、それを今検討していますよと、その検討の内容がまさに敗訴者負担をさせて目減り論をやることがアクセス拡充になるときもあるし、逆にそうでない場合もあるし、あるいは片面的だという場合もあるし、いろいろ問題もあるということで、この文章を収める、いわゆる書きぶりを直すというのはどうでしょうか。
 私も、歯がゆいというのは、私らが言っていることに、何でか知らぬけれども、そういうふうに反対反対と言ってくるということなんですよ。
我々は終始一貫、別に変わっていないと思うんですよ。だから、変わっていないことを書きぶりの中で、そういうふうな、私が、今、言ったように、京都新聞にそういう見出しでばんと一番に書かれてしまうということは、やはり私らとしては素直に、これは彼らが分からないんだ、理解しておらへんのやとばかり言えない、客観的な情勢を考えないといけない。そういう意味では、まず見出しそのものを「弁護士報酬の敗訴者負担問題」と変えてしまう。確かに民事訴訟費用等に関する法律を直さないといけないのかもしれない。しかし、それはそうとして、まず訴訟費用化と書いてしまうと原則として弁護士費用が訴訟費用になってしまうんだと見るから、見出しを「弁護士報酬の敗訴者負担問題」と言えば、理解されやすくなるのではないか。「弁護士報酬の敗訴者負担問題」で、一定の場合には負担させないといけない事件もあるし、一定の場合はむしろ負担させるわけにはいかぬという事件もあるとパラレルに書いてあれば、我々の趣旨、ここで議論している結論が理解されるのではないか。私たちはここで議論していると確かにもどかしさを感じるんですよ。我々がここで何も言っていないのに、そういうふうにいろいろ御意見がたくさん寄せられるというところをなんとかする必要がある。まさに言葉としては会長がお引取りになった書きぶりを考えましょうということになる。その書きぶりの中に見出し問題も入れて、そして内容をもう少し、一定の場合にはこういう場合もある、一定の場合はこういう場合もあるというふうにさえ書き分ければいいと思うのです。我々が従来言っていた趣旨は何も変わっていない。しかし、書きぶりにおいて、誤解だけはこれで避けられるのではないかと思うんです。

【山本委員】 同じような意見なんですけれども、そういう意味で、この四角の中に入る字句の中の「アクセスを拡充する見地から」というのは、ちょっと分かりにくいんだろうと思うんですよ。なぜアクセスを拡充することになるのかというのは、その説明が要るんだろうと思うんですね。ですから、下のところに書いてある、報酬の高さから訴訟に踏み切らなかったケースがあるというようなところを、少し表現を工夫して四角の中に入れてしまう。決して訴訟を起こさないようにするという趣旨ではなくて、もっと訴訟を一般化して起こしやすくするということが目的で、欧米でも一般的に行われているんですよと、原則はこうなんだということをまず明示することが大切ではないか。不当に萎縮させてはいけないということを、言い訳みたいに先に書いちゃうのではなく、むしろ積極面をもう少し前面に書いたら誤解もそんなに生じないと思うんですね。

【竹下会長代理】 中坊委員の御意見、それから山本委員の御意見を伺いまして、どういたしましょうか。タイトルは、例えば、それだったら、はっきり弁護士報酬の一部の訴訟費用化問題でも、敗訴者負担問題でもいいのです。

【中坊委員】 訴訟費用という言葉を「化」と書くからなっちゃうので、まず見出しを変えましょう。

【竹下会長代理】 いや、私は要ると思っています。

【中坊委員】 私だってそう思っていますよ。本心は何で私らがちゃんと議論しているのに、そういうことを言うんだと思いますけれども、しかし、やはり外部の人が我々の議論をどう取るかで、「訴訟費用化」と書くと、この前、京都新聞だけれども、見出しにぼんと書かれて、それが決まったというふうに書かれてしまうから、その言葉はやはり避けて、今言うように「弁護士報酬の敗訴者負担問題」と書けばいいのではないでしょうか。

【佐藤会長】 真意は、私は代理と全く一緒です。従来から、何か我々の考えていることと違って受け取られたところもあって。まあ、それ以上は言いませんけれども、非常にもどかしさを感じております。今回、かなりその辺の書きぶりを工夫させてもらったつもりなんですけれども、にもかかわらず、むしろ違うように受け取られると。

【竹下会長代理】 この表現はまだ表に出ていないから、この表現について別に批判があるわけではないのですね。

【佐藤会長】 よく分からぬのですけれども。

【竹下会長代理】 ですから、山本委員がおっしゃるように、アクセスを拡充するというのは分かりにくいかもしれませんから、その表現はもっと分かりやすくしましょう。

【山本委員】 マイナス面だけが強調されているということですね。

【佐藤会長】 だから、先ほど来、いろいろ御意見が出ていますので、その辺の趣旨を含めて、我々の真意が伝わるように工夫するということでしょうか。基本的な考え方は間違っていないと思うんです、我々が考えてきたことは。ですから、書きぶりを更に少し検討させていただいて。明日は間に合わないと思いますけれども。

【竹下会長代理】 なるべく早い期間に皆さんに見ていただくように。

【佐藤会長】 大きな宿題ですけれども。

【藤田委員】 Ⅱ全体について、他の問題についても意見を申し上げてよろしいんでしょうか。

【竹下会長代理】 その前に、ちょっと原案で一部パッセージが落ちてしまっているところがあるので、それを申し上げます。24ページの一番下の「・人的基盤の拡充」というところがございます。その前に、ちょっと長くて恐縮なのですが、そこの冒頭に、「審理の充実を図りながら民事訴訟事件の審理期間を半減するためには、法曹の人的基盤を拡充することによって、期日の間隔を短縮すること等が必要となる。そのために、」と入れて、後は本文の方に続けます。

【井上委員】 ちょっと長いものですから、そこの部分だけでもコピーをして配付していただけませんか。

【佐藤会長】 ちょっと待ってください、そこに行く前に。鳥居委員が手を挙げられたのは、先ほどの敗訴者負担問題でしたか。

【鳥居委員】 それは、もし御修文なさるのであれば、私の4ページ目に修文の提案が書いてあります。「そこで」という部分です。

【佐藤会長】 では、中坊委員からも他の委員からも出ていますので、それを受けて、さっき申したようにちょっと考えさせていただくということにしたいと思います。吉岡委員、今の問題についてですか。

【吉岡委員】 関連なんですけれども、15ページの囲みの中の最後のところが、「検討すべきである」と書いてあるので、非常に強く感じると思うんですね。ここのところちょっと書きぶりを工夫していただければと思います。
 私は、「実情を見定めながら、将来の課題として引き続き検討すべきである」、というペーパーを出しております。やはりこれだけ世論がある中で、強引に決めてしまったということではないという、そのニュアンスが出る必要があるように思います。

【佐藤会長】 ただ、吉岡委員がおっしゃっていることと皆さんがおっしゃっていることとではちょっと違うんですね。吉岡委員が今おっしゃるようなことになると、ちょっと私どもの考え方の基本を変えてしまうことにもなりかねません。それはちょっといかがなものかという思いを私はします。表現ぶりのところで工夫させていただきたい。明日までには間に合いませんので、29日、多分そうなると思いますが、そこで案をお示しして、更に御理解を得るというようにしたいと思いますけれども。それで、吉岡委員、よろしいでしょうか。

【吉岡委員】 それから、16ページのところで、「労働訴訟、少額訴訟など」、となっているのですが、その少額訴訟の中には、いろいろな中身があるんですね。それで、そこのところが。

【竹下会長代理】 例示が適当でないとおっしゃるのでしたら、髙木委員からもそういう御趣旨の話があったかと思いますし、二つだけ例を挙げるとかえって誤解を招くということであれば、例示を止めることにしてもよろしいかと思います。

【佐藤会長】 それも含めて考えることに。

【髙木委員】 考え方の中で、例えば労働訴訟を中間報告の中で例示していただいた趣旨が含まれるように整理していただいたら、それで結構です。

【佐藤会長】 では、それも含めて。
 司会者としては、まだ16ページですので、それはそういうように処理させていただくことにして、他の論点に移りたいと思うのですが。

【藤田委員】 22ページの「被害救済の実効化」の中の「ア 損害賠償額の認定」なんですが、損害賠償額の認定について意見を申し上げましたが、「全体的に」という表現に修正していただいたんですが、「全体的に低額に過ぎるとの批判」というのはちょっとどうかなと思います。例えば、交通事故ですが、これはこのごろ非常に高額化していまして、任意保険は大抵1億、2億、3億という額になっておりますし、高額化の反映であります。それから、医療過誤の関係で言いますと、私は、現在、医師賠償責任保険審査会の委員をしていまして、月間40件近くの案件の審査に参加しているんですが、これが8,000 万、9,000 万、場合によっては億というような裁判所の和解の提示額、あるいは判決の額となっていて、これは低額というような批判は余りないのではなかろうか。一方、株主代表訴訟で、大和銀行で数百億円の判決があって、余りに高すぎて非常識だと言われていますが、私は制度がそうなっているので、非常識ではないと思うんですけれども、そういうようなことがあります。
 低額の批判が一番顕著なのは、名誉毀損なんですけれども、それ以外にもあるかもしれませんから、全体的にというのを、「例えば、名誉毀損の分野等について」というようなことでやっていただいたらいかがかなと思うんですが。

【竹下会長代理】 「全体的に」というのはちょっと舌足らずで、「全体的に見れば」の趣旨であったのです。確かに、全体的にと言うと、全部が低いというように読めてしまうので、ちょっと舌足らずでした。

【藤田委員】 そういうふうに読んじゃったものですから。

【竹下会長代理】 要するに、適正な金額を認めている例もたくさんあるというか、その方が多いのかも知れませんが、全体的に見ると低すぎる傾向にあるということだったのです。今の藤田委員の修正意見を含めて少し考えさせていただきます。

【藤田委員】 よろしくお願いします。

【佐藤会長】 今の点、よろしゅうございますか。
 そうしたら、他の論点に移っていただいて結構でございます。

【吉岡委員】 23ページの「少額多数被害への対応」というのがございます。これについては、私もう既に何回か意見を申し上げているんですけれども、少額多数被害というのが、今の場合には、クラスアクションとか団体訴権というのはないんですね。そういうことから考えまして、やはり少額多数の被害が起きたときに、少額の被害者一人ひとりが訴えを起こすということはほとんどできません。そういうことから言うと、必要な場合には、個別の実体法で法律を決めようということを言っているのですが、個別実体法になると、なかなか取り上げられないということがありますので、方向として団体訴権の導入をまずうたい上げていただきたい。
 これも以前に申し上げましたが、私ども、消費者団体としていろいろな訴訟に関わっておりますけれども、被害が少ないから訴えを起こさなくていいかというと、そうではなくて、むしろ政策提言といいますか、そういうことから言って、どうしても訴えを起こす必要があるということがたくさんあります。それは公害問題でも環境問題でもあります。そこのところがここではちょっと読めないんです。そういうことから、例えば、「一般に、被害が多数に及ぶ」という23ページの本文のところですけれども、ここを例えば、「消費者被害の場合のように」というような書きぶりで修正していただけないかということがあります。

【竹下会長代理】 今の点は、一般的に導入すると言っても、結局、意味がないのですね。それぞれの法律で検討してもらわなければならないので、お気持ちはよく分かりますし、個別の法律でというとまた大変だという、それもよく分かるのですけれども、ただ、団体訴権制度を入れますよと言っても、結局、それは宙に浮いているだけで、それぞれの法律で検討していただかなければならないわけです。この部分は、これまでに比べると最終意見としては随分前向きになっていると私は受け取っているのです。これまでは何となく全般的な検討事項だったのを、これを入れる方向でそれぞれの法律分野ごとに検討してくださいというわけですから。

【吉岡委員】 入れる方向でというのは、私は分かっているつもりなんですけれども、「導入の可否」という表現ぶりになっているので、その可否をどこで決めるのかという、そこのところが明らかになっていないという問題があるわけです。そこのところは、専門家が読めば十分分かるということかもしれませんが、一般の国民が見た場合に、十分に分からない。やはり自分たちが訴えることができないけれども、非常に問題がある、そういう場合に、やはりその問題に適した団体に団体訴権を付与する。そういうことで個別の法律で決めるというのは分かるんですけれども、基本的なところで団体訴権の付与が可否になってしまっているものですから、なかなか分かりにくい。消費者団体の中では、これだと、団体訴権導入ということが言えないのではないかという心配があるわけなんです。

【中坊委員】 ちょっといいですか。竹下さんのおっしゃっているとおり、せっかく突っ込んで我々が書いたにもかかわらず、今、吉岡さんのおっしゃるような評価があるということだとすれば、率直に言って、団体訴権の導入については各法分野ごとにとさえ書けば、「導入の可否、導入する場合の適格団体の決め方等については」と、これを抜いて、団体訴権の導入については、各法分野ごとに検討されるべきであると書けば、今の吉岡さんの危惧は少なくともなくなるのではないかと思うし、一方、前進したという趣旨も出てくるから、その文書のそこだけをちょっと直せば良いと思うんですけれども。

【竹下会長代理】 「については」で、その後、修文は「決め方等は」となるのですか。

【中坊委員】 それで、法分野ごとに実態を見直さないと分からないんだから。そういうふうに直せばいいと思う。

【佐藤会長】 そこは少し工夫ということですか。

【竹下会長代理】 そこは少し修文を工夫してみましょう。

【佐藤会長】 では、そこはそういうように。

【中坊委員】 それから、私の方の意見書に書いてあると思うんですけれども、21ページの簡裁の事物管轄問題ですね。一応、裁判所との役割分担などを考慮してと。

【竹下会長代理】 これは消しました。

【中坊委員】 それはできていますか。

【事務局長】 消してあります。

【竹下会長代理】 これは先生の御意見を尊重して消したものです。

【中坊委員】 そうですか、それはどうもありがとうございます。

【佐藤会長】 最新版では消えているはずです。

【竹下会長代理】 これは他の何人かの委員の方からも、そういう御意見が出ました。

【佐藤会長】 この23ページの「少額多数被害の対応」、ここまで来たとして、その後の方で、先ほど代理の方から修文の指摘がありましたね。

【竹下会長代理】 お手元にコピーがあるかと思います。髙木委員から御提案いただいたところです。

【佐藤会長】 他のそれ以降の論点について、いかがでしょうか。

【水原委員】 審議の進め方ですけれども、これは何時ごろまで、どの部分まで本日はやるかということですが。

【佐藤会長】 率直に申しまして、明日のことを考えて今日は36ページの行政訴訟制度辺りまで行っておかないとと思っているのです。そうでないと、明日がしんどいだろうなということなんです。ただ、できれば、長くとも12時10分、15分前には終わりたいと思っているんですけれども。

【吉岡委員】 25ページで「専門的知見を要する事件への対応強化」について触れてございます。それで、ここも、私、何回も言っておりますのですが、専門的知見が必要だということは重々分かっています。ただ、一部の被害者というか、例えば、医療事故の場合には、今の日本の場合は、事故が起こったということははっきりしていても、証拠は病院側が持っているにもかかわらず、今のところは刑事は別として、民事訴訟で訴えを起こすと、証拠が十分に入手することができないので。

【竹下会長代理】 それは分かっておりますので、26ページの真ん中のところに、わざわざ「なお」として医事関係事件の導入については慎重に検討しなさいと書いてあります。ですから、もし、お分かりにならないという方がおいでになったら、ここにちゃんと書いてある。だから、直ちに医事関係訴訟に入れるということを考えているわけではないと御説明いただければよろしいのではないでしょうか。

【吉岡委員】 それから、26ページの専門委員制度の具体的なことですけれども、具体的には、「例えば、争点整理のサポート」となっているのですが、そこのところをサポートなどと、「など」を入れていただいて、それで「和解の担当・補助、専門的知見を要する問題点に関する」云々という、そこのところを削除してはどうでしょうか。幅を広げるような書きぶりの問題ですけれども、そのように。

【竹下会長代理】 本文の方ですか。枠の中ですか。

【佐藤会長】 括弧の中で、本文の方ですね。

【竹下会長代理】 これは、吉岡委員だけではなく、何人かの方から御指摘があったように、専門委員を入れると、当事者に分からないところで裁判官とだけ意見交換をするということになって、当事者に反論の機会がなくなるのではないかという疑問がありえますので、むしろそういうことにはなりませんよ、必ず専門家の意見が分かるような形の使い方をするのですよという意味で、「和解の担当・補助」とか、「専門的知見を要する問題点に関する調査・意見陳述、証拠調べへの関与」というように書いたわけです。ですから、「等」にしてしまいますと、後で、どういうように使われるのかが分からなくなってしまうのですね。

【吉岡委員】 ただ、具体的に和解の担当とか、補助を専門的知見を要する問題点云々という書き方にしていますと、やはり争点整理など手続の必要な局面だけに関与するという読み方もできてしまうわけですね。ですから、やはりその辺のところの、これも書きぶりの問題で、そういう意味では、法律の専門家から見れば、そういうふうには読めないということかもしれないんですけれども、そうではない人から見た場合には、そういう読まれ方もしてしまうということなんですね。

【竹下会長代理】 そうですか。しかし、それを消してしまって、「等」にするとかえって御趣旨に沿わないのではないかという気がするのですけれどもね。全くどう利用するかは裁判所が裁量的に決められるという話になってしまいますよね。ここに書いていますのは、和解の補助ですから、必ず両方の当事者に言わなければ和解のあっせんになりませんし、それから、調査をして意見陳述をするというのも、これも前に申し上げたように、両方の当事者にその専門的意見が分かるように言ってもらう。証拠調べは必ず両方の当事者の立会権が保障されていますからその場で言ってもらう。

【髙木委員】 私の意見書の6ページに、同じようなことが書いてあったと思いますが、要は、今、吉岡さんがおっしゃっておられることに絡むんですが、専門委員とか、専門家の方の関わられる部分が、専門家と裁判官の間のやり取りの中でブラックボックスにならないようにという御心配が中心だろうと思うんですが、そういう意味で、手続の透明性みたいな表現を入れていただくなり、26ページの真ん中辺に、ここは文章がちょっとあれなんですが、「裁判所の中立・公平性を損なうこと及び裁判官の判断のために提供される資料を知り、これについて意見を述べるという当事者の権利を不当に害することのないよう」と、こういう趣旨のことをちょっと入れていただくと、この点を御心配の方々も少しは納得のレベルを上げてくださるのではないかと思います。

【竹下会長代理】 分かりました。そうしましょう。全くそのままになるかどうか分かりませんけれども、御趣旨を活かすようにします。

【佐藤会長】 では、今の点はよろしいですか。
 それでは、先を急ぐようですけれども、ここはそういうようにさせていただいて、その後の点、いかがでしょうか。

【中坊委員】 27ページの知的財産権関係の件で、とにかく東京、大阪の両地方裁判所に専属管轄化、当面はこれはいいんですけれども、しかし、同時に、東京、大阪しかないというのも、最終的におかしな話ですから、どういう表現を使うかは問題にして、当面の間とか、とりあえずとか、何かそういうことをちょっとうたっておいた方が、いいのではないかという気がします。

【竹下会長代理】 これは前に取りまとめをやりましたときに、弾力性を持たせるようにという御意見をうかがいましたので、御趣旨は分かりました。

【中坊委員】 だから、括弧書きのところに、本文の方にちょっとだけそういう字句を1字か2~3字入れてもらえればいいのではないかと思いますが。

【竹下会長代理】 分かりました。当分の間というと、時限立法みたいな感じがしますので、別の修文を考えます。

【中坊委員】 ちょっと考えてもらいたい。

【竹下会長代理】 分かりました。

【藤田委員】 他の裁判所でも処理できる場合というのが括弧書きに28ページにあるんじゃないですか。

【中坊委員】 だから、見出しのところに出していただいて、括弧のところには入っていない。だから、そういうことを踏まえて、そういう趣旨だけちょっとはっきりして書けばいいんじゃないですか。

【佐藤会長】 全体に出ていくみたいな感じで、このままでもいいのかもしれない。

【竹下会長代理】 結果的に、これでも書いてあるということになったら、そこは御勘弁ください。今日の先生の非常に協力的なお言葉に感謝します。

【佐藤会長】 では、今のところよろしいですか。

【髙木委員】 別の項目でいいでしょうか。新しいバージョンの29ページ以下に、労働の問題をいろいろ書いていただいているんですが、一つには、これも私の意見書の7ページをちょっと参照いただきたいと思うんですが、その箱の中を、そこに記載したように修文をお願いできないかと考えています。「ことを目標とし」、その後に「労働関係事件の特殊性・専門性を踏まえ」、「民事裁判」と書いてありますが、「労働裁判の」、これはそういうことで、そう御異論はないのではないかと思います。
 それから三つ目の(マル)を一つ作っていただきたいと。それは30ページの方の一番最後、「また」以下で労働参審制の問題に触れていただいておりますが、その趣旨をこの箱の中にも是非入れていただくべきではないかと考えています。
 2番目の(マル)に労働調停のことが書いてあり、裁判のことにも触れていただきたいということです。「労働事件についても」、「雇用・労使関係に関する専門的な知識経験を有する者の関与する裁判制度の導入について、検討すべきである」という趣旨で、この表現ぶりについては、特に3番目のところは、他にまだ若干デリケートな部分が残っておりますから、具体的な表現ぶりをもう少しトーンダウンするなり、その辺の書きぶりについてはまた御相談に乗っていただけたらと思いますけれども、こういう趣旨を是非枠内にも入れていただきたいということでございます。どうぞよろしくお取り計らいいただきたいと思います。

【竹下会長代理】 これですと、専門委員制度ですね。

【髙木委員】 だから、参審型とか参与型については、率直に言って日経連と合意ができておりません。山本さんも退席されましたが…。

【佐藤会長】 ちょっと急用で。

【竹下会長代理】 そういう順に書いてしまうと、ちょっと具合が悪いのですが。

【髙木委員】 ですから、そのどちらかの選択も含めてというニュアンスが出るのは最後はしようがないと思うんですが。

【竹下会長代理】 ここでは素直に読むと、先ほどから問題になっている専門委員制度を使って労使慣行についての専門家に参加してもらうという趣旨に読み取れますね。

【髙木委員】 もしくは参審制もありますし、それから、いわゆる参与型、専門委員型もあるんでしょうと、その辺の形態の選択を含めて検討をすべきであるというふうに入れていただいたらいいのではないかと思います。

【竹下会長代理】 「国民的基盤を強化するという観点に立ち」という、これは絶対に必要ですか。これだと司法参加ですね。

【髙木委員】 それは余りこだわりませんが、要は、参審制、あるいは参与制とどちらにするか含めて検討しましょうという趣旨をこの中に入れていただきたいということです。

【竹下会長代理】 本文の方には触れてありますけれども、この枠の中でも何かそういうことについて触れておいてほしいという御趣旨でございますね。

【髙木委員】 この中には入っていないじゃないかと、大分やられましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

【藤田委員】 髙木委員にあえて反対するというわけではないんですけれども、労働委員会でもこういう議論をすると必ず労働側委員と使用者側委員が対立して、公益委員は態度の表明が困難になるという状況でありまして、労働調停の導入という話もしたんですが、使用者側委員からは、それはどういうことだというようなことがありました。囲みの中に入れるのに反対するわけではありませんけれども、いろいろ意見の対立が激しいということをお含みいただいて、表現にはひとつ神経を使っていただければというふうに思います。

【佐藤会長】 今日は難しい宿題ばかりですね。

【中坊委員】 私は別に第三者でもないけれども、せっかくここにいて、労働裁判についていろいろ問題があるんだから、できれば検討課題として囲みの中に入れてあげるという方がやはり温情ある措置だと思いますね。

【髙木委員】 どうもありがとうございました。

【藤田委員】 たまたま、一昨日、国学院大学で民事訴訟法学会が開かれまして、ボン大学のエーベルハルト・シルケン教授が「ドイツにおける裁判手続の素人及び専門家の関与」という題で講演をされまして、労働裁判所の制度についても御紹介がありました。

【髙木委員】 先ほど、前との関係があるということだったんですが、司法制度の姿のところに、労働関係の状況に関する記述が全くないですね。

【佐藤会長】 10ページの辺りですか。民事訴訟のところですね。

【髙木委員】 特にとかいうことで、知財権事件等のことがいろいろ触れられているわけですが、10ページの、新しいバージョンでは、「さらに」というパラグラフの前辺りに、雇用労働紛争が非常に増加しておったりして、これからの日本の社会にとって、労使紛争等の円滑な解決システムをきちんとすることが非常に大切なことであるぐらいの趣旨をちょっと書いていただくといいと思うんですが。

【竹下会長代理】 これは言わば後ろに出てくることのサマリーのような意味を持っていますから、そこにも入れましょう。

【佐藤会長】 「機能させる。また」のその間なんでしょうね。

【竹下会長代理】 その辺りですね。

【佐藤会長】 民事執行制度の前ですか。

【竹下会長代理】 民事執行の前でしょうね。

【佐藤会長】 そうだと思いますね。
 次の32ページ、ADRの辺りは。個別的にいろいろ御意見があれば何ですけれども、大体このようなところでいかがでしょうか。

【竹下会長代理】 余り御意見がなかったと思います。なるべくこの辺りはこれで御承認いただければ、次は、行政に対するチェック機能の強化が控えていますから。

【佐藤会長】 では、最後でよろしゅうございますか。行政訴訟、今、代理が触れられたチェック機能のところですが、ここは非常に多くの御意見を寄せていただいているところですが。

【竹下会長代理】 これはいろいろな立場から御意見がたくさん出されたところで、ちょっと念のためあらかじめ申し上げておきますが、この枠の中の、2行目の冒頭に、「『法の支配』の理念の下に」を入れました。
 それから、36ページの本文ですが、下から6行目のところにアンダーラインがございまして、「国民の権利救済を実効化する見地から」という文章を入れました。会長と私とで協議をしたところでは、いろいろいただいた御意見をこの2点に凝縮させて取り込ませていただいたと理解しているのでございますが、これで何とか御了解いただけないでしょうか。

【中坊委員】 私は了解します、今日は物分かりがいいから。

【竹下会長代理】 狙っておられる御趣旨はこれで表したつもりなのです。

【中坊委員】 趣旨は行政に対する司法のチェック機能の強化ということをどれだけ全面に出すかということですから、おっしゃっていただいているところで、いろいろな立場もありましょうから、そういうことで修文なされるならそれでいいと思います。

【藤田委員】 前回、いろいろ申し上げましたけれども、行政訴訟制度に関する問題点の指摘というふうに読めますので、これまた了解いたしました。

【佐藤会長】 今日は、皆さん、物分かりがいいので。
 行政訴訟のところはよろしゅうございますか。

【鳥居委員】 私は意見書を出しまして、司法の行政に対するチェック機能の強化の点は、相当考えてきたはずだったんだけれども、ちょっとやはり書き方が弱いという感じのことを申し上げてありまして、今日は髙木委員の方から出た案がありますね。

【竹下会長代理】 今、鳥居委員が席を外しておられている間に申し上げたのですが、35ページの枠の中の2行目の冒頭に「『法の支配』の基本理念の下に」というのを入れさせていただきました。
 それから、36ページの下から6行目でございますが、そこにアンダーラインがありまして、「国民の権利救済を実効化する見地から」とこの二つで、いろいろな方向からいろいろな御意見が出ましたけれども、こういう形に凝縮させていただいたと、それで御了解をと言いましたら、中坊委員は結構だと言ってくださったので、いかがでしょうか。

【鳥居委員】 結構です。肝心のところで今電話で中座してしまったので、すみません。

【佐藤会長】 こういう表現からいろいろな考え方を引き出せるのではないかと思っているんですけれども。いろいろな考え方がモザイクのように入っていて分かりにくいところがあるんですけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、細かなところについては、いろいろ御意見がおありでしょうけれども、大きなところとしては、今日、予定しておりました36ページまでたどり着けたということでございます。修文や何かは、先ほどから申していますように、明日にはちょっと間に合わないと思いますので、今日の宿題を踏まえて検討させていただいて、29日にお示ししたいと思います。明日以降は、この37ページから全体を御審議いただきたいと思っております。
 局長の方から配付資料について。

【事務局長】 本日の配付資料につきましては、特に説明することはございませんが、先日来、自由民主党及び民主党から司法改革に対する意見書が提出されて、既に、新聞で報道されておりますので、皆様の方には郵送させていただきました。どうか御参考にしていただきたいと思います。

【佐藤会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、明日ですが、1時30分から5時まで、この審議室で行いたいと思います。
 本日の記者会見はいかがいたしましょうか。では、代理と二人でということにしましょう。
 どうもありがとうございました。時間をオーバーして失礼いたしました。