制度を活かすもの、それは疑いもなく人である。本意見で述べるような、新たな時代に対応するための司法制度の抜本的改革を実りある形で実現する上でも、それを実際に担う人的基盤の整備を伴わなければ、新たな制度がその機能を十分に果たすことは到底望みえないところである。
まして、今後、国民生活の様々な場面において法曹に対する需要がますます多様化・高度化することが予想される中での21世紀の司法を支えるための人的基盤の整備としては、プロフェッションとしての法曹(裁判官、検察官、弁護士)の質と量を大幅に拡充することが不可欠である。
まず、質的側面については、21世紀の司法を担う法曹に必要な資質としては、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力等が一層求められるものと思われる。
他方、量的側面については、我が国の法曹人口は、先進諸国との比較において、その総数においても、また、司法試験、司法修習を経て誕生する新たな参入者数においても、極めて少なく、我が国社会の法的需要に現に十分対応できていない状況にあり、今後の法的需要の増大をも考え併せると、法曹人口の大幅な増加が急務であることは明らかである。
1. 法曹人口の大幅な増加
|
我が国の法曹人口について、昭和39年の臨時司法制度調査会の意見は、「法曹人口が全体として相当不足していると認められるので、司法の運営の適正円滑と国民の法的生活の充実向上を図るため、質の低下を来さないよう留意しつつ、これが漸増を図ること」を求めた。この年は、司法試験の最終合格者数が戦後初めて500人を超えた年であったが、その後、その数は増えず、500人前後の数字が平成2年まで続いた。そして、平成3年からようやく増加に転じ、平成11年には1,000人に達した。法曹人口の総数は、平成11年の数字で20,730人となっている(ちなみに、国際比較をすると、法曹人口(1997)については、日本が約20,000人<法曹1人当たりの国民の数は約6,300人>、アメリカが約941,000人<同約290人>、イギリスが約83,000人<同約710人>、ドイツが約111,000人<同約740人>、フランスが約36,000人<同約1,640人>であり、年間の新規法曹資格取得者数については、アメリカが約57,000人<1996-1997>、イギリスが約4,900人<バリスタ1996-1997、ソリシタ1998>、ドイツが約9,800人<1998>、フランスが約2,400人<1997>である。)。
しかし、今後、国民生活の様々な場面における法曹需要は、量的に増大するとともに、質的にますます多様化、高度化することが予想される。その要因としては、経済・金融の国際化の進展や人権、環境問題等の地球的課題や国際犯罪等への対処、知的財産権、医療過誤、労働関係等の専門的知見を要する法的紛争の増加、「法の支配」を全国あまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正(いわゆる「ゼロ・ワン地域」の解消)の必要性、社会経済や国民意識の変化を背景とする「国民の社会生活上の医師」としての法曹の役割の増大など、枚挙に暇がない。
これらの諸要因への対応のためにも、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題である。司法試験合格者数を法曹三者間の協議で決定することを当然とするかのごとき発想は既に過去のものであり、国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上こそが本質的な課題である。
このような観点から、当審議会としては、法曹人口については、計画的にできるだけ早期に、年間3,000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があると考える。具体的には、現行司法試験合格者数の増加に直ちに着手することとし、平成16(2004)年には合格者数1,500人を達成することを目指すべきである。さらに、同じく平成16(2004)年からの学生受入れを目指す法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、新制度への完全な切替(詳細は後記第6「法曹養成制度の改革」参照)が予定される平成22(2010)年頃には法曹資格新司法試験の新規取得合格者数を年間3,000人とすることを目指すべきである。このような法曹人口増加の経過を辿るとすれば、概ね平成30(2018)年頃までには、実働法曹人口は5万人規模(法曹1人当たりの国民の数は約2,400人)に達することとなが見込まれる。
なお、実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定されるものであり、新規法曹3,000人の養成は、あくまで「計画的にできるだけ早期に」達成すべき目標であって、上限を意味するものではないことに留意すべきである必要がある。
2. 裁判所、検察庁等の人的体制の充実
|
(1) 裁判官
裁判所の人的体制の現状を見ると、例えば、裁判官数が足りないことにより、裁判官の負担過多、大型事件等の長期化などの深刻な事態が生じているなどの指摘がある。
前記のとおり、①今後、民事訴訟事件の一層の充実・迅速化を図るため、その審理期間を概ね半減することを目指し、計画審理の推進や証拠収集手続の拡充等の方策を実施する必要があり、②刑事訴訟事件についても、国民参加の制度を新たに導入することとの関係で、審理の一層の充実・迅速化が求められることから、新たな準備手続を創設し、連日的開廷を原則化し、③また、裁判官制度に関する諸改革(第4参照)を実現に移さなければならず、④さらに、社会経済情勢の変化等により今後事件数の一層の増加が見込まれるところである。
こうした制度改革等に対応するためには、全体としての法曹人口の増加を図る中で、裁判官を大幅に増員することが不可欠である。
(注) 最高裁判所からは、この点に関して、今後、事件数がおおむね現状どおりで推移するとしても、向後10年程度の期間に500名程度の裁判官の増員が必要となり、更に事件数が増加すれば、それに対応する増員(例えば、事件数が1.3倍になった場合には、約300名ないし400名)が必要であるとの試算が示されている。
(2) 検察官
他方、検察庁の人的体制の現状を見ると、検察官数が足りないことにより、経済事件、警察等第一次捜査機関からの送致事件や告訴・告発事件に十分対応できないという弊害が生じたり、検事が扱うこととされている地方検察庁の事件のうち、比較的軽微な事案を中心としているとはいえ、その多数が副検事に委ねられ、かつ副検事が扱うこととされている区検察庁の事件を検察事務官が扱うという、いわゆる肩代わり現象が生じている旨の指摘もある。
検察が国民の期待に応えその機能・権限を適切かつ十分に果たしうるようにするためには、①前記の指摘を踏まえ、警察等からの送致事件や告訴・告発事件の捜査体制の充実・強化を図るとともに、②経済事件への対応を強化し、③また、前記のとおり、刑事訴訟事件について国民参加の制度を新たに導入することとの関係でも、今後、審理の一層の充実・迅速化が求められることとなり、新たな準備手続の創設、連日的開廷の原則化等に十分対応しうるよう、捜査・公判体制の充実を図る必要があり、④検察官制度に関する諸改革(第3参照)も実現しなければならない。
こうした制度改革等に対応するためには、全体としての法曹人口の増加を図る中で、検察官を大幅に増員することが不可欠である。
(注) 法務省からは、これらの制度改革等の実現のためには、1,000名程度の増員が必要となるとの意見が示されている。
(3) 裁判所職員、検察庁職員
裁判官、検察官が、十分にその機能・役割を果たしうるためには、いわばスタッフとしてこれ支える裁判所書記官等の裁判所職員、検察事務官等の検察庁職員の体制の充実・強化も不可欠であることから、これら関係職員の質、能力の向上を一層推し進めるとともに、その適正な増加を図っていく必要がある。
(4) その他の関係職員
また、全体としての司法機能の拡充のためには、裁判結果の実現、すなわち民事裁判の執行に携わる裁判所関係職員及び刑事裁判の執行に携わる矯正、保護関係の法務省職員並びに行政事件訴訟を直接支える訟務関係の法務省職員について、その人的体制の充実・強化にも十分な配慮を払うことが必要である。
国家公務員の総数についてはこれを削減することが行政改革の重要な課題であるが、先に述べた行政改革会議の最終報告の趣旨のとおり(前記Ⅱ「21世紀の司法制度の姿」の第3参照)、司法制度改革は行政改革の基本理念にも沿うものである。司法を支える人的基盤については、行政改革を円滑に実施する観点からも、その飛躍的な増大を図っていくべきであって、そのための大胆かつ積極的な措置を講じる必要がある。
1. 弁護士の社会的責任(公益性)の実践
|
社会における弁護士の役割は、「国民の社会生活上の医師」たる法曹の一員として、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」(弁護士法第1条第1項)との使命に基づき、法廷の内と外とを問わず、国民にとって「頼もしい権利の護り手」であるとともに「信頼しうる正義の担い手」として、高い質の法的サービスを提供することにある。
弁護士の社会的責任(公益性)は、基本的には、当事者主義訴訟構造の下での精力的な訴訟活動など諸種の職務活動により、「頼もしい権利の護り手」として、職業倫理を保持しつつ依頼者(国民)の正当な権利利益の実現に奉仕することを通じて実践されると考えられる。弁護士は、国民の社会生活や企業の経済活動におけるパートナー、公的部門の担い手などとして、一層身近で、親しみやすく、頼りがいのある存在となるべく、その資質・能力の向上、国民との豊かなコミュニケーションの確保に努めなければならない。弁護士は、社会の広範かつ多様なニーズに一層積極的かつ的確に対応するよう、自ら意識改革に取り組むとともに、その公益的な使命にふさわしい職業倫理を自覚し、自らの行動を規律すべきである。
同時に、弁護士は、「信頼しうる正義の担い手」として、通常の職務活動を超え、「公共性の空間」において正義の実現に責任を負うという社会的責任(公益性)をも自覚すべきである。その具体的内容や実践の態様には様々なものがありうるが、例えば、いわゆる「プロ・ボノ」活動(例えば、社会的弱者の権利擁護活動など)、国民の法的サービスへのアクセスの保障、公務への就任、後継者養成への関与等により社会に貢献することが期待されている。
殊に、公務への就任に関しては、弁護士が今後一層積極的に裁判官、検察官等の他の法律専門職に就いて国民の期待と信頼に応えうる司法の運営に貢献することが望まれる。とりわけ、裁判官制度の改革の箇所(後記第4参照)でも述べるように、今後、弁護士からの裁判官への任官を強力に推進する必要があることを考えると、弁護士会は、適格者たる会員弁護士が進んで数多く裁判官に任官することを確保するために従来に増して大きな力を傾注しなければならない。弁護士会は、最高裁判所と協力・協働しながら、弁護士任官を推進するために必要な態勢等を早急に整備すべきである。
このような見地から、弁護士の公益活動の具体的な内容やその規範的な意義については、弁護士制度を含む司法制度全体及びこれに関連する諸制度の在り方などの検討を踏まえつつ、これその具体的な内容やその規範的な意義を明確化した上で、公益活動を弁護士の義務として位置付けるべきである。また、その活動内容については、透明性を確保し、国民に対する説明責任を果たすべきである。
2. 弁護士の活動領域の拡大
|
弁護士は、公職への就任が制限され(弁護士法第30条第1項)、民間企業に所属する場合には所属弁護士会の許可を必要とされている(同条第3項)。
今後は、弁護士が、個人や法人の代理人、弁護人としての活動にとどまらず、社会のニーズに積極的に対応し、公的機関、国際機関、非営利団体(NPO)、民間企業、労働組合など社会の隅々に進出して多様な機能を発揮し、法の支配の理念の下、その健全な運営に貢献することが期待される。
このような弁護士の活動領域の拡大を進める見地から、弁護士法第30条第1項に規定する公務就任の制限及び同条第3項に規定する営業等の許可制については、事前規制を廃止し、自由化すべきである。その際、兼職営業等を行う場合の弁護士倫理の在り方を検討し、兼職営業等の状況を事後的に把握のするため所属弁護士会への届出制を残した上で、倫理研修の充実、綱紀・懲戒制度の適切な運用等により、弁護士倫理の遵守を確保すべきである。
3. 弁護士へのアクセス拡充
(1) 法律相談活動等の充実
法律相談センター等の設置を進めるべきである。 |
現在、日本弁護士連合会・単位弁護士会においては、地域における法律相談活動等を充実させる見地から、「法律相談センター」や「公設事務所」の設置を進めている。また、各地方公共団体の住民向け相談窓口において、弁護士等を活用して法律面を含む相談に応じているところも多い。
国民の弁護士へのアクセスを拡充する見地から、弁護士人口の大幅な増加を図ることに加えて、弁護士過疎問題への対応の視点も含め、弁護士会の「法律相談センター」や「公設事務所」等の設置を進めるべきである。その際、弁護士、弁護士会の一層の自主的努力が期待されるとともに、地域への司法サービスを拡充する見地から、国又は自治体において一定の財政的負担を行うことも含め、これらの制度運営の在り方について検討すべきである。
(2) 弁護士報酬の透明化・合理化
弁護士報酬の透明化・合理化の見地から、例えば、
|
弁護士報酬については、利用者に目安が付きやすくする等の見地から、透明化・合理化を図ることとし、具体的には、個々の弁護士の報酬情報の開示・提供の強化、報酬契約書の義務化、依頼者に対する報酬説明義務等の徹底を行うべきである。
一方、弁護士会が報酬規定で目安となる標準額を定めること、弁護士法第33条において「弁護士の報酬に関する標準を示す規定」が必要的会則事項とされていることについては、競争政策上の問題も指摘されており、こうした側面からも更に検討すべきである規制改革3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)において「報酬規定を会則記載事項から削除する」と定められていることを踏まえ、適切な対応がなされるべきである。なお、報酬に関し、引き続き弁護士会が何らかの規定を策定する目安を設ける場合には、その策定過程を透明化すべきである。
(3) 弁護士情報の公開
|
平成12年10月より、弁護士広告が原則自由化されたところであるが、さらに、利用者による選択の便宜に資する見地から、弁護士の専門分野や実績等についても広告対象として認める方向で、第三者評価の導入の要否等につき検討すべきであるを加え、必要な措置を講じるべきである。また、弁護士に関する情報の開示を一層推進すべきである。
4. 弁護士の執務態勢の強化・専門性の強化
|
弁護士は、その職務活動の質が、複雑・多様化・国際化する社会のニーズに十分に対応し、かつ不断に向上していくように、自ら最大限の努力を傾注すべきである。
弁護士の執務態勢に関する制度としては、第151回国会での弁護士法改正法案の[成立]により、弁護士法人制度(弁護士法第30条の2以下)の導入、これに伴う弁護士法人についての複数事務所の設置禁止(弁護士法第20条第3項)の例外の容認等の立法措置が行われ[たところである。]
弁護士の執務態勢を強化し、更なる職務の質の向上を図る見地から、今後とも、法律事務所の共同化・法人化、専門性の強化、異業種との協働化・総合事務所化(ワン・ストップ・サービス化)等を実効的に推進するために必要な方策を講じるていくべきである。その際、異業種との収支共同型や相互雇用型等の形態などいわゆる異業種間共同事業の容認の可否については、国際的会計事務所との関係の在り方にも留意しつつ、更に検討すべきである。
また、弁護士の専門性強化等の見地から、弁護士会による研修の義務化を含め、弁護士の継続教育を充実・実効化すべきである。
5. 弁護士の国際化/外国法事務弁護士等との提携・協働
|
6. 弁護士会の在り方
(1) 弁護士会運営の透明化等
|
弁護士会においては、「弁護士の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士事務の改善進歩を図るため、弁護士の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的」(弁護士法第31条)とした様々な活動を行っている。
こうした弁護士会の活動の公益性にかんがみ、弁護士会運営の透明性を確保し、国民に対する説明責任を実行することが重要である。具体的には、例えば、会務運営について弁護士以外の者の関与を拡大するなど広く国民の声を聴取し反映させることが可能となるような制度の拡充や、その意思決定過程の透明性の確保、業務、財務等の情報公開の仕組みの整備などを行うべきである。
また、弁護士の社会的責任(公益性)の実践、活動領域の拡大、弁護士へのアクセス拡充、弁護士の職務活動ことに適正かつ迅速な裁判を実現するための訴訟活動の質の向上、国際性・専門性の強化、執務態勢の強化、更に本意見で述べるその他の諸改革について、これを円滑に具体化し、その適正な運営と発展を確保するためには、一人ひとりの弁護士の意識・技能の抜本的な改革とともに、それを援助・促進するために、弁護士会が、諸々の改革課題に専門的・系統的に責任をもって対応することが強く求められるところである。弁護士会においては、本意見で述べる諸改革を円滑に具体化し、その適正な運営と発展を確保するため、それに必要な態勢等を整備すべきであるの整備がなされることを期待する。
(2) 弁護士倫理等に関する弁護士会の態勢の整備
|
国民と司法の接点を担う弁護士の職務の質を確保、向上させることは、弁護士の職務の質に対する国民の信頼を強化し、ひいては司法(法曹)全体に対する国民の信頼を確固たるものにするために必要であり、これにより国民がより充実した法的サービスを享受できるようになる。
弁護士倫理の制定、弁護士倫理に関する教育、弁護士に関する苦情の処理、綱紀・懲戒に関する諸手続など、弁護士の職務の質に関する指導・監督等については、弁護士会に自律的権能(いわゆる弁護士自治)が認められ、国家機関の監督に服さないこととされている。これら弁護士会の自律的権能を実効的かつ厳正に行使し弁護士自治を一層実効あらしめることは、弁護士会の国民に対する責務と言うべきである。
また、弁護士会が自律的権能を行使する上で、手続の透明化、国民に対する説明責任の実行、それらの運営・運用への国民参加等、国民の意思を適切に反映させる方策を講じることも必要である。
このような見地から、弁護士会は、弁護士への社会のニーズの変化等に対応し、弁護士倫理の徹底・向上を図るため、その自律的権能を厳正に行使するとともに、弁護士倫理の在り方につき、その一層の整備等を図る行うべきである。また、弁護士会による綱紀・懲戒手続の透明化・迅速化・実効化、苦情処理の適正化、倫理教育・研修の強化等について、以下のような改革を行うべきである。
綱紀・懲戒手続の透明化、迅速化、実効化の見地から、少なくとも、綱紀・懲戒手続を通じて、これらを担う機関の委員構成の見直し(弁護士以外の委員の増加など)、綱紀委員会の弁護士以外の委員への評決権の付与、懲戒請求者が綱紀委員会の議決に対する異議申出を棄却・却下された場合に、国民が参加して構成される機関に更なる不服申立ができる制度の導入、弁護士の調査・審査への協力義務の明確化等による職権調査の実効化、標準審理期間設定等による迅速化、懲戒委員会の決定に少数意見を明示する等による透明性の向上、懲戒請求者の手続参加の拡充やこれに対する情報提供の強化等の一層の配慮、懲戒処分の過程・結果等に関する公表の拡充等を行うべきである。
依頼者等の利益保護の見地から、弁護士会の苦情処理を適正化すべきである。例えば、苦情相談窓口の整備と一般への周知、苦情相談担当者の育成、苦情処理手続の適正・透明化、綱紀・懲戒手続等との連携強化を図る等を行うべきである。また、弁護過誤に対する救済を強化するため、弁護士賠償責任保険の普及等を図るの方策を検討すべきである。
法曹養成段階での倫理教育、継続教育段階での倫理研修を強化すべきである。
弁護士の職務の質の確保・向上を図るため、弁護士会は、法曹養成の全過程において、所要の貢献を行うべきである。
7. 隣接法律専門職種の活用等
|
弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことなどを業とすることを禁止している。一方、司法書士、弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士などのいわゆる隣接法律専門職種は、それぞれの業法に定められたところに従い、限定的な法律事務を取り扱っている。
弁護士と隣接法律専門職種との関係については、弁護士人口の大幅な増加と諸般の弁護士改革が現実化する将来において、各隣接法律専門職種の制度の趣旨や意義、及び利用者の利便とその権利保護の要請等を踏まえ、法的サービスの担い手の在り方を改めて総合的に検討する必要がある。しかしながら、国民の権利擁護に不十分な現状を直ちに解消する必要性にかんがみ、利用者の視点から、当面の法的需要を充足させるための措置を講じる必要がある。
このような見地から、訴訟手続においては、隣接法律専門職種などの有する専門性を活用する見地から、少なくとも、司法書士の簡易裁判所での訴訟代理権(なお、簡易裁判所における調停・即決和解事件の代理の範囲等については、検討が必要)、弁理士の特許権等の侵害訴訟(弁護士が訴訟代理人となっている事件に限る。)での代理権については、信頼性の高い能力担保措置を講じた上で、これを付与すべきである。税理士について、税務訴訟において、裁判所の許可を得ることなく、補佐人として、弁護士である訴訟代理人ととともに裁判所に出頭し、陳述する権限を認めるべきである。
行政書士、社会保険労務士、土地家屋調査士など、その他の隣接法律専門職種などについては、その専門性を訴訟の場で活用する必要性や相応の実績等が明らかになった将来において、出廷陳述など一定の範囲・態様の訴訟手続への関与の在り方を個別的に検討することも、今後の課題としては考えられる。
また、ADRを含む訴訟手続外の法律事務に関して、隣接法律専門職種などの有する専門性の活用を図ることも重要である。具体的な関与の在り方については、後述する弁護士法第72条の見直しの一環として、職種ごとに実態を踏まえて判断すべきである。その際、当該法律事務の性質と実情、各職種の業務内容・専門性やその実情、その固有の職務と法律事務との関連性、法律事務に専門性を活用する必要性等を踏まえ、その在り方を個別的に検討し、こうした業務が取扱い可能であることを法制上明確に位置付けるべきである。なお、弁護士法第72条については、少なくとも、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保するため、隣接法律専門職種の業務内容との関係も含め、その規制内容を何らかの形で明確化すべきである。
弁護士と隣接法律専門職種その他の専門資格者による協働については、依頼者の利便の向上を図る観点から、ワンストップ・サービス(総合的法律経済関係事務所)を積極的に推進し、その実効を上げるための措置方策を講じるべきである。その際、収支共同型や相互雇用型等の形態などいわゆる異業種間共同事業の容認の可否については、国際的会計事務所との関係の在り方にも留意しつつ、更に検討すべきである。
8. 企業法務等の位置付け
|
隣接法律専門職種の活用等の検討と関連して、企業法務等の位置付け、特任検事(検察庁法第18条第3項に基づき任命された検事)、副検事、簡易裁判所判事の経験者の有する専門性の活用、行政訴訟の指定代理人制度についても更に検討すべきである。少なくとも、司法試験合格後に民間等における一定の実務経験を経た者に対して法曹資格の付与を行うための具体的条件を含めた制度整備や、特任検事へ法曹資格の付与を行うための制度整備を行うべきである。
1. 検察官に求められる資質・能力の向上等
|
検察官は、公益の代表者として、犯罪捜査(事件処理の適正化のための警察等第一次捜査機関に対する指示・指揮を含む。)、公訴の提起(検察官は、公訴提起の権限を有する唯一の国家機関であるとともに、公訴提起・維持に十分な犯罪の嫌疑等がある場合でも、犯罪者の改善更生等の観点から総合的に判断して公訴提起を行わないこともできる。)、公訴の維持・遂行、刑事裁判の執行の監督等の権限を行使することを任務とし、特に刑事に関して極めて重大な職責を負っている。刑罰権の適正な実現や刑事司法に対する国民の信頼を確保するために、検察官は、これらの権限を常に厳正かつ公平に行使することが求められている。
このような検察官の職責の重大性や、刑事司法が、適正な手続の保障の下、事案の真相解明を使命としていることからすれば、検察官は、独善に陥ることなく自己の権限・責任の重みを謙虚に受け止めた上で、人権感覚に富んだ豊かな人間性を持ち合わせ、社会常識はもちろんのこと、人間関係の機微や情に対する深い理解・洞察力を兼ね備え、被疑者や被害者等の関係者の心情や立場に十分な配慮をしながら、警察等の第一次捜査機関との適切な協力・連携の下、事案の適正公平な解決に真摯かつ積極的に取り組む姿勢を常に保持する必要がある。
また、今後の社会構造の変化、科学技術の革新、国際化等に伴って生ずる新しい形態の犯罪(例えばコンピュータ・ネットワーク関連犯罪等)や高度な専門的知見を要する犯罪(例えば企業活動に関連する複雑な経済事犯、医療過誤に起因する業務上過失致死傷事犯等)等に対応しうるよう捜査能力等の向上を図っていくため、国内外を問わず、複雑多様化する政治、経済、社会の動向や先端的分野等に関する知識経験を習得することも必要となる。
さらには、刑事手続へ新たな国民参加の制度が導入されることから、検察官は、刑事手続の重要な担い手として、法律専門家ではない国民がより良く公判審理を理解しうるように、立証活動等の能力の向上や運用上の工夫等を通じて、同制度の実効的実施に積極的な貢献をしていくことが求められる。
そこで、検察の厳正・公平性に対する国民の信頼を確保する観点から、次のような検察官の意識改革のための方策を検討実施すべきである。
2. 検察庁運営への国民参加
検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に対して行う建議・勧告の制度を充実・実質化することを含め、検察庁の運営について、国民の声を聴取し反映させることが可能となるような仕組みを検討導入すべきである。 |
個々の検察官のみならず、検察庁自体も、その組織運営が適正でかつ国民の
理解と信頼を得られるものとなる必要があり、そのため、検察運営に国民の良識を反映させていくことは重要であり、ひいては司法の国民的基盤の強化にもつながるものである。
現行法上、検察審査会が検察事務の改善に関し検事正に建議又は勧告をすることができるとされているが、必ずしも十分機能していない。この制度を充実・実質化(例えば、建議・勧告に対する回答義務の法定、建議・勧告及びこれに対する回答の公表などが考えられる。)することを含め、検察庁の運営について、国民の声を聴取し反映させることが可能となるような仕組みを検討導入すべきである。
1. 給源の多様化、多元化
裁判所法は、判事補のみではなく、弁護士や検察官など判事の給源の多元性を予定しているが、運用の実際においては、判事補のほとんどがそのまま判事になって判事補が判事の主要な給源となり、しかも、従来、弁護士からの任官が進まないなど、これを是正する有効な方策を見いだすことも困難であった。こうした制度運用の経緯、現状を踏まえ、国民が求める裁判官を安定的に確保していくことを目指し、判事となる者一人ひとりが、それぞれ法律家として多様で豊かな知識、経験等を備えることを制度的に担保する仕組みを整備するほか、弁護士任官の推進、裁判所調査官制度の拡充等の施策を講じるべきである。
|
(1) 判事補制度の改革等
ア 判事補の判事への任命等
(ア) 多様で豊かな知識、経験等を備えた判事を確保するため、原則としてすべての判事補に裁判官としての職務以外の法律専門家としての多様な経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備すべきである。仕組みの整備に当たっては、次の諸点に留意すべきである。
(イ) なお、以上と同様の視点から、弁護士、検察官等から任官しようとする者についても、その前提として、例えば、判事補、調査官等として裁判所内部での職務経験を経ていることは有意義であり、指名に当たってそうした経験が重視されるべきである。
イ 特例判事補制度の解消
特例判事補制度については、裁判官数の不足に対応するための「当分の間」の措置であったことや、十全の権限を行使する判事となるためには10年の法律専門家としての経験を要求している裁判所法の趣旨にかんがみ、計画的かつ段階的に解消すべきである。裁判官の大幅増員の必要性については既に言及したところであるが、特例判事補制度の解消のためにも、判事を大幅に増員すべきであり、後記(2)の措置を講じること等により、判事の大幅増員に対応できるよう、弁護士等からの任官を推進すべきである。
(2) 弁護士任官の推進等
判事の給源の多元性を予定する裁判所法第42条の趣旨の実質化を図るとともに、特例判事補制度の解消等のための判事の大幅増員に対応できるよう、従来から課題とされてきた弁護士任官を強力に推進する必要があり、そのためには、最高裁判所と日本弁護士連合会が恒常的かつ密接な協力体制を整備することが不可欠である。また、そうした協力体制は、弁護士が裁判官に任官することにとどまらず、両者の人材交流のための体制として、前記(1)ア(ア)の仕組みにより弁護士の職に就いた判事補が再び裁判官職に復帰することをより円滑ならしめることにも資する点で重要な意義を有する。最高裁判所と日本弁護士連合会は、以上と同一の認識に基づき、「弁護士任官等に関する協議会設置要綱」(平成13年4月12日付け)を策定するなどして、互いに協力して弁護士任官等を推進することに合意しているところであり(平成13年5月8日付け「弁護士任官を推進するための具体的措置の提案について」参照)、今後、両者が、その趣旨にのっとって、一致協力し、恒常的な体制を整備して協議・連携を進めることにより、弁護士任官等の推進のために継続的に実効性のある措置を講じていくことが強く望まれべきである。
また、給源の多元化を求める裁判所法第42条の趣旨にかんがみれば、判事補、弁護士以外の法律専門職である、検察官、法律学者からの判事への任官も活発に行われていくのが望ましいことは言うまでもない。
(3) 裁判所調査官制度の拡充
現行の裁判所調査官制度については、一部の専門的事件に関し、東京や大阪など一部の地方裁判所、高等裁判所で、法曹資格を有しない調査官が活用されているに過ぎず、法曹資格を有する調査官については、地方裁判所及び高等裁判所を通じて全く置かれていない現状にある。こうした現状を見直し、前記(1)ア(イ)とも関連して、裁判所外の者に裁判所内の経験を積ませるための一方策となりうるとともに、足腰の強い裁判所を作ることにも資するとの視点から、法曹有資格者や学識経験者等の人材が、アメリカにおけるロークラークのごとく、特定の判事を補佐して当該判事の担当する事件全般にわたって審理や裁判を助ける、いわば判事付きの調査官として任用されることも含め(任用形態として、非常勤や期限付き任用も検討に値する。)、調査官制度拡充の方策を検討すべきである。
2. 裁判官の任命手続の見直し
|
現行制度において、下級裁判所の裁判官については、最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命することとされているが(憲法第80条第1項及び裁判所法第40条第1項。再任の場合を含む。)、最高裁判所による指名過程は必ずしも透明ではなく、そこに国民の意思は及びえないこととなっている。こうした現状を見直し、国民の裁判官に対する信頼感を高める観点から、最高裁判所が下級裁判所の裁判官として任命されるべき者を指名する過程に国民の意思を反映させるため、最高裁判所に、その諮問を受け、指名されるべき適任者を選考し、その結果を意見として述べる機関を設置すべきである。制度の整備に当たっては、次の諸点に留意すべきである。
3. 裁判官の人事制度の見直し(透明性・客観性の確保)
|
現行制度においては、下級裁判所の裁判官の人事評価については、最高裁判所の行う司法行政事務の一環として、同裁判所の裁判官会議の議により決することとされているが、透明性・客観性において必ずしも十分ではないとの指摘もある。こうした現状を見直し、裁判官の独立性に対する国民の信頼感を高める観点から、裁判官の独立(外部的独立及び内部的独立の双方を含む。)の保持にも十分配慮しつつ、裁判官の人事評価について、評価権者及び評価基準を明確化・透明化し、評価のための判断資料を充実・明確化し、評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設けるなど、可能な限り透明性・客観性を確保するための仕組みを整備すべきである。仕組みの整備に当たっては、次の諸点に留意すべきである。
4. 裁判所運営への国民参加
家庭裁判所委員会の充実、地方裁判所での同委員会と同様の機関の新設など、裁判所運営について、広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを |
裁判所運営に国民の健全な常識を反映させていくことは、裁判所に対する国民の理解と信頼を高め、司法の国民的基盤を強化することにつながる。
現在、各家庭裁判所に家庭裁判所委員会(委員は、法曹三者以外に地方公共団体の職員や学識経験者から選任)が設置され、家庭裁判所の運営全般について意見を聴取することとされている。この制度の充実を図ることを含め、地方裁判所においても家庭裁判所委員会と同様の機関を新設することなど、裁判所運営について、広く国民の意見等を反映することが可能となるような仕組みを検討導入すべきである。
5. 最高裁判所裁判官の選任等の在り方について
|
現行制度においては、最高裁判所裁判官の選任に関して、同裁判所長官については内閣の指名に基づき天皇が任命し、同裁判所判事については内閣が任命することとされているが(憲法第6条第2項及び同第79条第1項並びに裁判所法第39条第1項、第2項)、内閣による指名及び任命に係る過程は必ずしも透明ではなく、同裁判所裁判官の出身分野別の人数比率の固定化などの問題点が指摘されている。こうした現状を見直し、同裁判所裁判官に対する国民の信頼感を高める観点から、その地位の重要性に配慮しつつ、その選任過程について透明性・客観性を確保するための適切な措置を検討すべきである(昭和22年当時、裁判所法の規定に基づき設けられていた裁判官任命諮問委員会の制度も参考となる。)。
また、最高裁判所裁判官の国民審査制度については、その形骸化が指摘されている。こうした現状を見直し、最高裁判所裁判官に対する国民の信頼感を高める観点から、最高裁判所裁判官の国民審査制度について、国民による実質的な判断が可能となるよう審査対象裁判官に係る情報開示の充実に努めるなど、制度の実効化を図るための措置を検討すべきである。
多様で豊かな知識、経験等を備えた判事を確保するため、判事補に裁判官としての職務以外の法律専門家としての多様な経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備することを始め、弁護士、検察官及び法律学者から裁判官への任官を推進するための施策や、弁護士や法律学者が検察官に任官することを推進するための施策を講じ、法律専門職間の人材の相互交流を促進する |
現在、法律専門職間の人材の交流は、裁判官が検察官に転官した上、法務省に出向し、法令の立案や訟務事務に従事するなど、いわゆる判検交流によるものが大半であり、判事の給源の多元性を予定している裁判所法の趣旨とは異なり、弁護士や検察官などから裁判官への任官者数は僅少であることを始め、弁護士が検察官に任官する例は皆無に近いなど、人材の相互交流は極めて低調である。
このような現状を踏まえ、判事にふさわしい有能な人材を裁判所内に限らず広く法曹各界から迎えようとする裁判所法の趣旨の実質化を図るための方策として、多様で豊かな知識、経験等を備えた判事を確保するため、判事補に裁判官としての職務以外の法律専門家としての多様な経験を積ませることを制度的に担保する仕組みを整備することを始め、弁護士、検察官及び法律学者から裁判官への任官を推進するための施策や、また、弁護士や法律学者が検察官に任官することを推進するための施策を講じることにより、法律専門職間の人材の相互交流を促進すべきである。また、これと関連して、検事と裁判官の関係の在り方を改善する観点から、法務省・検察庁への出向者が裁判官に偏っている現状を改め、裁判官以外からも広く人材を受け入れるための方策を検討す講じるべきである。さらに、そうした取組を通じて、真に国民の期待と信頼に応えうる司法(法曹)を作り育てていくこととすべきである。
1. 新たな法曹養成制度の整備
|
21世紀の司法を支えるにふさわしい質・量ともに豊かな法曹をどのようにして養成するか。
この課題に関して、まず、現在の法曹養成制度が前記のような要請に十分に応えうるものとなっているかを考えてみると、現行の司法試験は開かれた制度としての長所を持つものの、合格者数が徐々に増加しているにもかかわらず依然として受験競争が厳しい状態にあり、受験者の受験技術優先の傾向が顕著となってきたこと、大幅な合格者数増をその質を維持しつつ図ることには大きな困難が伴うこと等の問題点が認められ、その試験内容や試験方法の改善のみによってそれらの問題点を克服することには限界がある。
一方、これまでの大学における法学教育は、基礎的教養教育の面でも法学専門教育の面でも必ずしも十分なものとは言えなかった上、学部段階では一定の法的素養を持つ者を社会の様々な分野に送り出すことを主たる目的とし、他方、大学院では研究者の養成を主たる目的としてきたこともあり、法律実務との乖離が指摘されるなど、プロフェッションとしての法曹を養成するという役割を適切に果たしてきたとは言い難いところがある。しかも、司法試験における競争の激化により、学生が受験予備校に大幅に依存する傾向が著しくなり、「ダブルスクール化」、「大学離れ」と言われる状況を招いており、法曹となるべき者の資質の確保に重大な影響を及ぼすに至っている。
前者の問題点については、例えば、現行の司法試験による合格者数を端的に大幅に増加させるということも考えられなくはないが、これでは、前記のような現行の法曹養成制度に関する問題点が改善されないまま残るばかりか、むしろ事態はより深刻なものとなることが懸念される。
また、大学における法学部教育を何らかの方法で法曹養成に資するよう抜本的に改善すれば問題は解決されるとの見方もありうるかもしれないが、この考え方は、大学法学部が、法曹となる者の数をはるかに超える数(平成12年度においては4万5千人余り)の入学者を受け入れており、法的素養を備えた多数の人材を社会の多様な分野に送り出すという独自の意義と機能を担っていることを看過するものであり、現実的妥当性に乏しいように思われる。
それらの点をも含めて考えると、前記のような現行制度の問題点を克服し、司法(法曹)が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立するためには、前述のような法曹人口の拡大や弁護士制度の改革など、法曹の在り方に関する基本的な問題との関連に十分に留意しつつ、司法試験という「点」のみによる選抜ではなく、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備することが不可欠である。そして、その中核を成すものとして、大要、以下のような法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールである法科大学院を設けることが必要かつ有効であると考えられる。
法曹人口増加の目標(前記第1「法曹人口の拡大」参照)との関係をも考え、法科大学院は、平成16(2004)年4月からの学生受入れ開始を目指して整備され、司法試験等にも、それに合わせて必要な見直しが行われるべきである。
2. 法科大学院
(1) 目的、理念
ア 目的
法科大学院は、司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立することを目的とし、司法試験、司法修習と連携した基幹的な高度専門教育機関とする。
イ 教育理念
法科大学院における法曹養成教育の在り方は、理論的教育と実務的教育を架橋するものとして、公平性、開放性、多様性を旨としつつ、以下の基本的理念を統合的に実現するものでなければならない。
ウ 制度設計の基本的考え方
法科大学院の制度設計に当たっては、前記のような教育理念の実現を図るとともに、以下の点を基本とすべきである。
(2) 法科大学院制度の要点
ア 法科大学院の学生受入れの時期
|
法科大学院に関しては、平成16(2004)年4月からの学生受入れを目指して、所要の制度的整備を進めるべきである。
(ア)ア 設置形態
|
法科大学院は、法曹養成に特化した実践的な教育を行う学校教育法上の大学院とすべきである。なお、法科大学院の設置は既存の大学を拠点としなければならないわけではなく、例えば、弁護士会や地方自治体など大学以外の主体が学校法人を作り、法科大学院の設置基準を満たせば、法科大学院を設置することができるのは当然である。既存の大学を拠点とする法科大学院と、これらの新しいタイプの法科大学院が競争し、それぞれが理想とする多様な法曹を養成する柔軟なシステムが展開されることが望まれる。
設置形態としては、法学部に基礎を持つ法科大学院のほかに、基礎を持たないもの(独立大学院)や複数の大学が連合して設置するもの(連合大学院)も制度的に認められるべきである。
なお、大学が法科大学院を設置するに当たっては、従来の研究中心の考え方から真の教育重視への転換に向けて相当な自己変革の努力が求められることは言うまでもない。
(イ)イ 標準修業年限
標準修業年限は3年とし、短縮型として2年での修了を認めることとすべきである。 |
標準修業年限は3年とし、併せて、法科大学院において必要とされる法律学の基礎的な学識を有すると法科大学院が認める者(法学既修者。法学部出身者であると否とを問わない。)については、短縮型として2年での修了を認めることとすべきである。
(ウ)ウ 入学者選抜
|
入学者選抜は、公平性、開放性、多様性の確保を旨とし、入学試験のほか、学部における学業成績や学業以外の活動実績、社会人としての活動実績等を総合的に考慮して合否を判定すべきである。もっとも、これらをどのような方法で評価し、また判定に当たってどの程度の比重を与えるかは、各法科大学院の教育理念に応じた自主的判断に委ねられるべきである。
21世紀の法曹には、経済学や理数系、医学系など他の分野を学んだ者を幅広く受け入れていくことが必要である。社会人等としての経験を積んだ者を含め、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるため、法科大学院には学部段階での専門分野を問わず広く受け入れ、また、社会人等にも広く門戸を開放する必要がある。そのため、法学部以外の学部の出身者や社会人等を一定割合以上入学させるなどの措置を講じるべきである。その割合は、入学志願者の動向等を見定めつつ、多様性の拡大を図る方向で随時見直されることが望ましい。
出願資格については、通常の大学院入学資格が適用される。したがって、学部卒業が原則であるが、学部を卒業していない者であっても、各法科大学院が行う資格審査によって出願資格の認定が可能である。
入学試験においては、法学既修者であると否とを問わず、全ての出願者について適性試験(法律学についての知識ではなく、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を試すもの)を行い、法学既修者に対して修業年限の2年への短縮を認める法科大学院にあっては、法学既修者としての入学を希望する者には適性試験に加えて法律科目試験(法科大学院の基礎的な法律科目の履修を省略できる程度の基礎的な学識を備えているかどうかを判定するもの)を行うという方向で、各試験の在り方を検討すべきでる必要がある。その際、適性試験は統一的なものとすることが適切であるが、法律科目試験についても、統一的に実施することが考えられる。適性試験や法律科目試験に加えて小論文や面接等を組み合わせるかどうか、組み合わせる場合の配点比率をどうするか等は、各法科大学院の自主的判断に委ねられるべきである。
(エ)エ 教育内容及び教育方法
|
必置科目や教員配置等についての基準を定めることにより、法曹養成のための教育内容の最低限の統一性と教育水準を確保しつつ、具体的な教科内容等については、各法科大学院の創意工夫による独自性、多様性を尊重することとする。各法科大学院は、互いに競い合うことによりその教育内容を向上させていくことが望まれる。
法科大学院では、実務上生起する問題の合理的解決を念頭に置いた法理論教育を中心としつつ、実務教育の導入部分(例えば、要件事実や事実認定に関する基礎的部分)をも併せて実施することとし、体系的な理論を基調として実務との架橋を強く意識した教育を行うべきである。このような観点から、授業内容・方法、教材の選定・作成等について、研究者教員と実務経験を有する教員(実務家教員)との共同作業等の連携協力が必要である。
法科大学院における教育方法(授業方式)としては、講義方式や少人数の演習方式、調査・レポート作成・口頭報告、教育補助教員による個別的学習指導等を適宜活用することとする。とりわけ少人数教育を基本とすべきである。
また、法科大学院での授業は一方的なものであってはならず、双方向的・多方向的で密度の濃いものとし、セメスター制(一つの授業を学期ごとに完結させる制度)の採用等によりなるべく集中的に行うこととすべきである。
「点」のみによる選抜ではなく「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備するという趣旨からすれば、法科大学院の学生が在学期間中その課程の履修に専念できるような仕組みとすることが肝要である。このような観点から、法曹となるべき資質・意欲を持つ者が入学し、厳格な成績評価及び修了認定が行われることを不可欠の前提とした上で、法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約7~8割)の者が後述する新司法試験に合格できるよう、充実した教育がを行われる必要がうべきである。厳格な成績評価及び修了認定については、それらの実効性を担保する仕組みを具体的に講じなければならないるべきである。
(オ)オ 教員組織
|
教員組織については、法科大学院は、少人数で密度の濃い教育を行うのにふさわしい数の専任教員等を必要とす確保すべきである。
また、法科大学院は、法曹養成に特化して法学教育を高度化し、理論的教育と実務的教育との架橋を図るものであるから、実務家教員の参加が不可欠である。実務家教員としては、狭義の法曹に限らず、適格を有する人材を幅広く求めるべきで必要がある。
実務家教員の数及び比率については、法科大学院のカリキュラムの内容や新司法試験実施後の司法修習との役割分担等を考慮して、適正な基準を定める必要がべきである。
同時に、実務家教員については、専任教員であっても、その任期や勤務形態について柔軟に基準を運用することを考えるべきで必要がある。さらに、実務家教員の任用を容易にするため、弁護士法や公務員法等に見られる兼職・兼業の制限等について所要の見直し及び整備を行う必要がべきである。
実務家教員の法科大学院への配置については、大学の教員採用の自主性を前提としつつ、所要の人員が継続的に確保されるよう、派遣のための法曹三者との協力体制の整備が不可欠である。
研究者、実務家の別を問わず法科大学院での指導適格教員に関し、法科大学院での教員資格に関する基準は、教育実績や教育能力、実務家としての能力・経験を大幅に加味したものとすべきである。
法科大学院は法曹養成に特化した大学院であり、研究後継者養成型の大学院(法学研究科ないし専攻)と形式的には両立するものであるが、内容的にはこれらと連携して充実した教育研究が行われることが望ましい。また、法科大学院の教員は、将来的に、少なくとも実定法科目の担当者については、法曹資格を持つことが期待される。
教員の採用は各法科大学院が行うこととなるが、教員候補者の教育能力、教育意欲及び教育実績を重視した採用に努めるとともに、教員の流動性及び多様性が高められるよう配慮することが望まれる。
なお、以上のような教員組織に関する基準については、新制度への円滑な移行を可能にするため、柔軟で現実的な運用を適切に考慮するものとする。
(カ)カ 学位
法科大学院独自の学位(専門職学位)の新設を検討すべきである。 |
修了者に付与される学位については、国際的通用性をも勘案しつつ、法科大学院独自の学位(専門職学位)を新設することを検討すべきである。
(3) 公平性、開放性、多様性の確保
|
地域を考慮した全国的な適正配置に配慮するとともに、夜間大学院等の多様な形態により、社会人等が容易に学ぶことができるよう法科大学院の公平性、開放性、多様性の確保に努めるべきである。通信制大学院についても、法科大学院の教育方法との関連で検討すべき課題は残っているが、高度情報通信技術の発展等を視野に入れつつ、積極的に対応する必要がべきである。
資力の十分でない者が経済的理由から法科大学院に入学することが困難となることのないように、奨学金、教育ローン、授業料免除制度等の各種の支援制度がを十分に整備・活用されるすべきである。
法科大学院の人的・物的諸条件の整備など設立・運営に要する費用については、司法の人的基盤を整備する上での重要な一翼を担うという法科大学院の意義や役割に配慮するとともに、現下の厳しい財政事情等にも留意しつつ、適切な評価の結果を踏まえて、適正な公的支援が行われるべきで必要がある。
司法の国際化への対応や諸外国の法整備支援を通じた国際貢献の一環として、留学生の積極的受入れには十分な配慮が望まれる。
(4) 設立手続及び第三者評価(適格認定)
|
法科大学院の設置は、関係者の自発的創意を基本としつつ、設置基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。ただし、その基準は、法曹養成の中核的機関としての使命にふさわしいものでなければならない。
また、法科大学院における入学者選抜の公平性、開放性、多様性や法曹養成機関としての教育水準、成績評価・修了認定の厳格性を確保するため、適切な機構を設けて、第三者評価(適格認定)を継続的に実施すべきである。
法科大学院の第三者評価(適格認定)の仕組みは、新たな法曹養成制度の中核的機関としての水準の維持、向上を図るためのものであって、大学院としての設置認可や司法試験の受験資格の付与とは、密接に関連しつつも、独立した意義と機能を有するものであり、評価(適格認定)基準の策定や運用等に当たっては、それぞれの意義と機能を踏まえつつ、相互に有機的な連携を確保する必要がべきである。
第三者評価を実施する機関の構成については、法曹関係者や大学関係者等のほかに外部有識者の参加によって客観性・公平性・透明性を確保することが必要べきである。
(5) 法学部教育の将来像
|
現在、全国で93大学に置かれている法学部では、1学年約4万5千人が学んでおり、法曹以外にも社会の様々な分野に人材を輩出しており、その機能は法科大学院導入後も基本的に変わりはない。法科大学院導入後の法学部教育については、法科大学院との役割分担を工夫するものや、法学基礎教育をベースとしつつ、例えば「副専攻制」の採用等により幅広い教育を目指すものなど、それぞれの大学が特色を発揮し、独自性を競い合う中で、全体としての活性化が図られるべきであ期待される。
さらに、学部段階における履修期間については、優れた成績を収めた者には早期修了を認める仕組み(いわゆる飛び級)を適宜活用することも望まれる。
(6) 関係者の責任
法科大学院は、21世紀の司法を担う質の高い法曹を養成するという重大な役目を担うものであって、その実りある実現のためには、教員、教育内容や方法その他の人的・物的な面で、相当の労力、時間及び資金を投入しなければならない。大学関係者と法曹関係者の責任は極めて重く、それを十分自覚しつつ法科大学院の設置及び運営に当たることが切に求められる。
3. 司法試験
|
(1) 基本的性格
「点」のみによる選抜から「プロセス」としての新たな法曹養成制度に転換するとの観点から、その中核としての法科大学院制度の導入に伴って、司法試験も、法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものに切り替えるべきである。
(2) 試験の方式及び内容
法科大学院において充実した教育が行われ、かつ厳格な成績評価や修了認定が行われることを前提として、新司法試験は、法科大学院の教育内容を踏まえたものとし、かつ、十分にその教育内容を修得した法科大学院の修了者に新司法試験実施後の司法修習を施せば、法曹としての活動を始めることが許される程度の知識、思考力、分析力、表現力等を備えているかどうかを判定することを目的とすべきである。
新司法試験は、例えば、長時間をかけて、これまでの科目割りに必ずしもとらわれずに、多種多様で複合的な事実関係による設例をもとに、問題解決・紛争予防の在り方、企画立案の在り方等を論述させることなどにより、事例解析能力、論理的思考力、法解釈・適用能力等を十分に見る試験を中心とすることが考えられる。
新司法試験と法科大学院での教育内容との関連を確保するため、例えば、司法試験管理委員会に法科大学院関係者や外部有識者の意見を反映させるなど適切な仕組みを設ける必要がべきである。
(3) 受験資格
法科大学院制度の導入に伴い、適切な第三者評価の制度が整備されることを踏まえ、それによる適格認定を受けた法科大学院の修了者には、司法試験管理委員会により新司法試験の受験資格を有すが認められることとすべきである。
また、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途がを確保されることが必要すべきである。このため、後述の移行措置の終了後において、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度の趣旨を損ねることのないよう配慮しつつ、例えば、幅広い法分野について基礎的な知識・理解を問うような予備的な試験に合格すれば新司法試験の受験資格を認めるなどの方策を講じることが考えられる(この場合には、実社会での経験等により、法科大学院における教育に対置しうる資質・能力が備わっているかを適切に審査するような機会を設けることも考慮に値する。)。
いずれにしても、21世紀の司法を支えるにふさわしい資質・能力を備えた人材を「プロセス」により養成することが今般の法曹養成制度改革の基本的視点であり、多様な人材が個々人の事情に応じて支障なく法科大学院で学ぶことのできる環境の整備にこそ力が注がれるべきであることは、改めて言うまでもない。
第三者評価による適格認定を受けた法科大学院の修了者の新司法試験の受験については、上記のような法科大学院制度及び新司法試験制度の趣旨から、3回程度の受験回数制限を課すべきである。ただし、回数制限内に合格できなかった者が法科大学院の課程を再履修することを妨げるものではない。
なお、上記のように第三者評価機構による適格認定を受けたに基づいて司法試験管理委員会が法科大学院の修了者をに新司法試験の受験資格付与の前提とすを認める場合には、適格と認定されていた法科大学院について、その認定が第三者評価を実施する機関によって取り消されることとなったときに、新司法試験の受験資格におついて、当該法科大学院の在学生に不測の不利益を与えないよう適切な配慮が必要である。
(4) 移行措置
新司法試験は、平成17(2005)年度に予想される法科大学院の初めての修了者向けのを対象とする試験から実施することとすべきである。新制度への完全な切替えに至る移行措置として、現行司法試験の受験生に不当な不利益を与えないよう、新司法試験実施後も5年間程度は、これと併行して現行司法試験を引き続き実施すべきである。
なお、現行司法試験におけるいわゆる合格枠制(丙案)については、現行試験合格者数が1,500人に達することが見込まれる平成16(2004)年度から廃止すべきである。
4. 司法修習
|
(1) 修習の内容
新司法試験実施後の司法修習は、修習生の増加(前記第1「法曹人口の拡大」参照)に実効的に対応するとともに、法科大学院での教育内容をも踏まえ、実務修習を中核として位置付けつつ、修習内容を適切に工夫して実施すべきである。
なお、新司法試験実施後の司法修習のうちの集合修習(前期)と法科大学院における教育との役割分担の在り方については、今後、法科大学院の制度が整備され定着するのに応じ、随時見直していくことが望ましい。
(2) 給費制の在り方
修習生に対する給与の支給(給費制)については、将来的には貸与制への切替えや廃止をすべきではないかとの指摘もあり、新たな法曹養成制度全体の中での司法修習の位置付けを考慮しつつ、その在り方を検討すべきである。
(3) 司法研修所
司法研修所の管理・運営については、法曹三者の協働関係を一層強化するとともに、法科大学院関係者や外部の有識者の声をも適切に反映させる仕組みを設けるべきである。
5. 継続教育
継続教育を、法曹養成の総合的・体系的な構想の一環として位置付け、整備 |
21世紀の司法を支えるにふさわしい資質と能力(倫理面も含む)を備えた法曹を養成・確保する上では、法曹の継続教育についても、総合的・体系的な構想の一環として位置付け、そのための整備を図ることが重要すべきである。
この点で、現に実務に携わる法曹も、法科大学院において、科目履修等の適宜の方法により、先端的・現代的分野や国際関連、学際的分野等を学ぶことは、最適な法的サービスを提供する上で必要な法知識を更新するとともに、視野や活動の範囲を広げるために意義のあることだと考えられ、関係者の自発的、積極的な取組が求められる。
6. 新たな法曹養成制度の円滑な実施に向けて
|
以上のような内容を骨格とする新たな法曹養成制度を円滑に実施に移すことのできるよう、法科大学院の設置認可や第三者評価(適格認定)の基準の策定、新司法試験及び新司法試験実施後の司法修習の具体的な設計等を含む所要の措置について、関係機関において適切な連携を図りつつ、速やかにかつ着実に検討を進めることが必要べきである。その際、当審議会が文部省(現文部科学省)に対して、大学関係者及び法曹三者の参画の下に、当審議会が提示した基本的考え方に留意しつつ、専門的技術的見地から具体案を検討することを依頼したことに応えた報告書(「法科大学院(仮称)構想に関する検討のまとめ-法科大学院(仮称)の制度設計に関する基本的事項-」)の内容をも参考とすべきでる必要がある。特に、設置認可及び第三者評価(適格認定)のための基準については、法科大学院を設置しようとする大学等が公平な条件の下に十分な準備ができるよう、可能な限り早期にその内容を公表し、周知を図るべきである。