意見書(案)

VI 今般の司法制度改革の推進等

第1 今般の司法制度改革の推進

1 司法制度改革の推進体制の整備

本意見の提言する改革は、司法制度の現状を注視、評価し必要に応じて行われる改革・改善とは性質を異にし、内閣が総力を挙げて取り組むこととしなければ、容易に成し遂げられるものではないことから、内閣に強力な推進体制を整備し、一体的かつ集中的にこれに取り組まれるよう求める。

 本意見は、司法制度の全般にわたり、その根幹にかかわる大幅な改革を提言するものである。その意味で、本意見の提言する改革は、時代を画するほど壮大で、我が国司法制度にとって歴史的意義を有すると言うことのできるものである。したがって今般の改革は、「第2 今後の司法制度の改革・改善」において述べるごとく、司法制度の現状を注視、評価し、必要に応じて行われる改革・改善とは性質を異にし、内閣が総力を挙げて取り組むこととしなければ、容易に成し遂げられるものではない。このため、当審議会としては、今般の改革が決して画餅に帰することなく、確実に、しかも早期に実現されるよう、内閣に強力な推進体制を整備し、一体的かつ集中的にこれに取り組まれるよう求めるものである。

2 今般の司法制度改革の実現に向けた内閣及び関係行政機関の取組等

  • 内閣及び関係行政機関に対して、司法制度改革の推進に関する施策を総合的に策定するとともに、計画的に、かつ、できるだけ早期に、それらの施策を実施するよう能う限りの努力を傾注されることを強く求める。
  • 内閣及び関係行政機関による司法制度改革の推進に関する施策の実施に当たっては、最高裁判所、日本弁護士連合会その他の関係機関による協力と貢献が得られなければ、改革を十全に実現することは困難であるため、それらの関係機関に対して、内閣及び関係行政機関による司法制度改革に関する施策の実施に最大限協力するとともに、これと並行して、自らの職務に係る制度や運営の改革・改善に積極的に 取り組まれることを要望する。
  •  今般、当審議会においては、前述のとおり21世紀の我が国社会の姿と、そこにおいて司法に期待される役割を描き、司法制度が国民の期待に応えてその役割を十二分に果たしうるものとするために、その改革を推進していくに当たっての基本的な理念と方向性を示し、これを内閣に対して意見として提出する。
     当審議会としては、内閣及び関係行政機関(以下、「内閣等」と言う。)に対して、前述のとおり、今般の司法制度改革が、「この国のかたち」の再構築にかかわる一連の諸改革の「最後のかなめ」として位置付けられるべきものであり、21世紀の我が国の国家と社会の在り方をも占う重要な意義を有するものであることを改めて深く認識し、司法制度改革の推進に関する施策を総合的に策定するとともに、計画的に、かつ、できるだけ早期に、それらの施策を実施するよう能う限りの努力を傾注されることを強く求める。
     また、内閣等による司法制度改革の推進に関する施策の実施に当たっては、実際に司法権にかかわる職務を遂行する最高裁判所、日本弁護士連合会その他の関係機関による協力と貢献が得られなければ、改革を十全に実現することは困難であることは言うまでもない。このため、当審議会としては、それらの関係機関に対して、内閣等による司法制度改革に関する施策の実施に最大限協力するとともに、これと並行して、自らの職務に係る制度や運営の改革・改善に積極的に取り組まれることを要望する。

    3 財政上の措置

    裁判所、検察庁等の人的体制の充実を始め、今般の司法制度改革を実現するためには、財政面での十分な手当が不可欠であるため、政府に対して、司法制度改革の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置について、特段の配慮をなされるよう求める。

     裁判所、検察庁等の人的体制の充実を始め、今般の司法制度改革を実現するためには、財政面での十分な手当が不可欠であることは論を待たない。当審議会においては、調査審議を進めながら各界・各層の意見や要望などを幅広く汲み取る過程で、国民各層から、信頼するに足りる力強い大きな司法の実現を求める声に少なからず接してきた。こうしたことからも、当審議会としては、司法関連予算の拡充については、それを求める世論が既に国民的に大きな高まりを持つに至っていることを確信しており、政府に対して、司法制度改革の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置について、特段の配慮をなされるよう求める。

    第2 今後の司法制度の改革・改善の在り方

     当審議会では、昨年秋の中間報告において触れたとおり、今般の改革実現後において、司法制度の現状を常に注視、評価し、必要な改革、改善を恒常的に進めていくための責任ある体制の在り方についても検討を重ねてきた結果、次のような結論に達した。

  • その設置法に基づいて司法制度等の企画・立案を担当すべき法務省の所 掌事務と責務を改めて確認し、同省がその責務を十全に果たすことを前提 として、今後の司法制度の改革・改善は、司法の独立に十分配慮しつつも、 国民に対する責任の所在を明らかにしながら、国民の目に見える分かりや すい形で、今後の司法制度の改革・改善を進められるべきである。
  • 新たな体制の下においても、法務省は、裁判所、検察庁及び弁護士会や法律学者などの実務的・専門的意見を参考とすべきであるが、同時に、司法制度の利用者の意見・意識を十分汲み取り、制度の改革・改善に適切に反映させるべきである。
    同省は、これらのための適切な仕組みを整備するとともに、必要な調査を定期的・継続的に実施すべきである。
  •  法曹三者は、これまで法曹三者を中心に進められてきた我が国の司法制度改革が社会・経済の変化等に柔軟に対応してきたとは言い難いことについて真摯に反省し、
     今後は過去の経緯にとらわれることなく、責任の所在の明確化、社会・経済の状況や国民のニーズへの的確な対応、説明責任や透明性の確保・強化を旨として、司法制度の改革・改善のための新たな体制を整えるべきである。その具体的方向性は、その設置法に基づいて司法制度等の企画・立案を担当すべき法務省の所掌事務と責務を改めて確認し、今後の司法制度の改革・改善は、司法の独立に十分配慮しつつも、国民に対する責任の所在を明らかにしながら、国民の目に見える分かりやすい形で進められるべきということである。
     新たな体制の下においても、法務省は、裁判所、検察庁及び弁護士会や法律学者などの実務的・専門的意見を参考としつつ制度の改革・改善を進める必要があるが、従来の経緯にかんがみ、司法制度の在り方がいやしくも法曹三者の意向のみによって決定されるようなことがあってはならず、また、そうした受け取られ方をされることがないよう十二分な配慮をすべきである。そのためにも、何より重要なことは、司法制度の利用者の意見・意識を十分汲み取り、それを制度の改革・改善に適切に反映させていくことである(当審議会では、前記のとおり、民事司法の現状を把握するため、専門家の協力を得て、民事訴訟の利用者から、利用経験を踏まえた意見について大規模な調査を行った。国民の期待に応える制度等の改革・改善を実現していくためには、同種の調査を行うなどして、今後とも利用者の意見を実証的に検証していくことが重要である。)。
     同省は、以上のことを実現するために適切な仕組みを整備するとともに、必要な調査等を定期的・継続的に実施すべきである。