司法制度改革審議会

ヒヤリングレジュメ


別紙1

「市民」概念について

司法制度改革審議会(第5回会議)
平成11年10月26日
京都大学大学院人間・環境学研究科教授
佐伯啓思

・戦後日本における市民・市民社会の観念

「私」の権利、「私」の利益を中心にすえる。
国家=権力機構と対立する。国家に対する民主主義という理解 現代日本社会の問題
(1) 自由主義・民主主義の欠如という見解
(2) 自由主義・民主主義の(ある意味での)過剰という見方

(1)から出てくるのは、改革論・西欧主義的近代化論
(2)から出てくるのは、日本的市民社会の変則性、社会のエートスという課題

・西欧市民社会の構造

西欧近代社会を生み出したふたつの源泉がある。 (1) キリスト教的エートス
(2) 古代的な共和主義精神

社会契約的な国家観のベースには、プロテスタント的精神がある。このベースのもとで、個人=「私」と社会=「公」が分離される。
ここに、古代的共和主義の精神(市民精神)が重なる。
西欧の市民精神は、国家の公民から出発する。「公」(レス・プブリカ)   のことがらに関与するのが市民。これはまた身分概念。

私的な権利によって定義される市民概念の背景に、この二つの源泉がある。社会の次元で人間関係を構成するのは、「法的ルール」と「社会的信頼」
前者が明示的な権利義務関係によって定義されるのに対して、後者は、歴史的、潜在的、文脈依存的、道徳価値的であり、それぞれの社会のエートスから切り離せない。


別紙2

市民が司法に期待するもの

1999. 10. 26
仙台市民オンブズマン
事務局長 庫山恆輔

1. 仙台市民オンブズマン誕生の背景
(1) 20人前後のオンブズマンと約300人のタイアップグループ
(2) 眠る議会、死せる監査委員 - チェック機能の喪失
(3) 市民の責任

2. 行政の厚い壁
(1) 公金不正支出の追及と行政システムの改革
(2) 行政の厚い壁を衝く不断の市民の監視と問題提起
(3) 市民の武器 - 司法への問題提起
 ① 情報公開請求
 ② 情報公開訴訟
 ③ 住民監査請求と住民訴訟

3. 司法(裁判所)は市民の期待に応えているか
(1) 判決が行政システムの改革を促した事例 - 食糧費情報公開訴訟
(2) 市民感覚からかけ離れた判断で、市民の訴えを却下した事例 - 仙台市大年寺山住民訴訟
(3) 行政訴訟を市民の利用しやすいものに

4. 裁判所(裁判官)に望むもの
(1) 市民として自立した裁判官であってほしい - キャリアシステムか  法曹一元か
(2) 市民の監視と参加の前提としての情報公開の推進
(3) 市民参加のシステムの整備 - 陪審制・参審制

別紙3

法に頼る社会、人に頼る社会 ― 法文化の比較

1999年10月
藤倉皓一郎
Ⅰ 法に頼る社会
1. その特色
2. なぜそうなるのか
3. その実態
4. その問題点と対応策

Ⅱ 人に頼る社会
5. その特色
6. その問題点

Ⅲ 法に頼り人に頼る社会
7. 司法制度の前提条件
(2) 公正な手続保障と公平な機会
(3) 多様化と専門化

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