【佐藤会長】それでは、ただいまより「司法制度改革審議会」第9回会合を開催いたします。
本日は論点整理に関しまして、前回までの御議論を踏まえながら、会長試案を私と会長代理で相談して修正したものを用意いたしました。これをごらんいただきながら、更に意見交換を行いまして、本審議会として正式に決定したいというように考えております。
それから、また来年からの審議の具体的な進め方、あるいは海外調査、それから地方公聴会などにつきましても、御意見を賜りたいと存じます。
更に前回お話ししましたように、会議の傍聴の取り扱いについても、そろそろ一定の結論を得たいと思っておりますので、その点についても御審議いただきたいと思っております。
では、最初に論点整理について御審議いただきたいと思いますけれども、それに先立ちまして、先週の14日、火曜日に衆議院法務委員会の司法制度改革審議会に関する小委員会が開かれまして、審議が行われたということですので、その模様を事務局の方から最初にお話しいただけますか。
【事務局長】去る12月14日、衆議院法務委員会の司法制度改革審議会に関する小委員会が開催されまして、出席要求がございましたので、私が同小委員会に出席し、当審議会のこれまでの審議状況について御報告をしてまいりました。
その際、既に皆様のお手元にお送りさせていただきましたとおり、質疑に立たれた小委員会の4名の委員の方々から、当審議会に関しまして、幾つかの御指摘、御要望をいただきました。
また、審議終了後、笹川堯小委員長からは、小委員会の審議の議事録を当審議会の委員各位にお配りし、その趣旨をよくお伝えするようにとの御指示がありました。ここで改めまして、論点整理に関係する御指摘に限りまして、その内容を御説明申し上げたいと存じます。なお、小委員会の正確な議事録につきましては、作成され次第お手元にお送りしたいと考えております。
まず、最初に質疑に立たれました自由党の安倍基雄議員からは、すべてを訴訟により解決しようとする米国型の司法制度を目指すのか、それともある程度行政による調整を残す欧州型の司法制度を目指すのかは大きな問題であり、何でも訴訟でやるという態勢が果たしていいことなのかについて審議すべきである、裁判のスピードが遅いということが、司法が利用しやすいとか期待に応えることの一番の基本にあるという認識を持ってほしい、さらに、司法書士、保護司、調停委員などに関して、中でも保護司について大きな役割を果たしているのに、ボランティアに頼り過ぎていることは問題であり、論点項目として取り上げて審議してほしいといった趣旨の御指摘がございました。
2番目に質疑に立たれました民主党の福岡宗也議員からは、論点整理に関する会長試案では、どうしても審議しなければならない問題と、それ以外の問題との間のメリハリがないと言った御指摘がありました。
3番目に質疑に立たれました共産党の木島日出夫議員からは、司法制度の使い勝手が悪く、いわゆる司法消極主義であること、行政に追随的な判決が多く違憲立法審査権も弱いこと、社会的弱者救済の機能が弱いことなどについて審議すべきであるといった趣旨の御指摘がございました。
最後に質疑に立たれました社民党の保坂展人議員からは、終身刑については話題になっていないのか、また、裁判官の市民的自由についても審議すべきである、検察の起訴独占、起訴便宜主義などの在り方の見直しについても審議すべきである、行政訴訟において、公平な裁判が行われない原因となるおそれがある判・検交流についても審議すべきであるといった趣旨の御指摘がございました。
衆議院法務委員会の司法制度改革審議会に関する小委員会における委員各位からの論点整理に関係すると思われる御指摘は、大要以上のとおりでございました。
以上でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。そういう審議状況のようでございます。
それでは、論点整理の審議の方に入りたいと思います。前回の御議論を踏まえまして、会長代理とも御相談しながら「会長試案」を修正したものを皆様の方に事前にお送りしてごらんいただきましたけれども、改めて席上に配付しております。
事前にお送りした後にも追加の御意見がございましたので、それもできるだけ取り込みまして、事前にお送りしたものから更に修文いたしました。数か所直したところがありますので、そこだけ申し上げましょうか。
最初に2ページの終わりから4、5行のところでありますが「三條太政大臣より岩倉外務卿への諮問」というのが挿入してあります。
4ページにまいりまして、2行目でありますが、「重い閉塞感でこの国の活力が枯渇する事態になりかねない」というところを御指摘を受けまして、「重い閉塞感の中で」というのを取らせていただきました。
9ページの4行目でありますが、2段落目の3行目でございますけれども、「これに適切に」とありましたが、「ら」を入れさせていただきました。
12ページの2段落目の下から3行目の最後「裁判官の独立をいかにして保障するか等について」という文章を挿入させていただきました。そこがあらかじめ皆様の方にお送りさせていただいたものと違っている点であります。それ以外は変わっておりません。
いかがでしょうか。何か他にお気づきの点はございますでしょうか。
(特段の発言なし)
委員の皆様の御注文、御意向をすべてということにはできませんでしたけれども、できるだけ取り入れさせていただきまして、こういう結果になったんですけれども、よろしゅうございましょうか。
(「結構です」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。それでは、このとおりに正式に御決定いただいたということにさせていただきたいと思います。本日これを公表するということになります。それでは、2番目の、今後の審議の進め方でございますけれども、ただいま論点項目を決定していただきましたが、今後はこの論点整理に沿って調査審議していくことになります。
年明けの最初の1月18日、火曜日ですが、第10回会議において、今後具体的にどのように、さっき申しましたこの論点整理に沿って調査審議するわけですけれども、具体的にどのように審議していくかについて、御議論いただきたいと思っております。
私自身もいろいろ考えているところもありますけれども、正月をはさんで、じっくりとその辺を考えたいと思っております。委員の皆様にもどういう審議の仕方がいいのかということについてお考えいただければ幸いかと考えております。
正式には1月18日に御相談したいと思っておりますが、今の段階で何かこの点、注意した方がいいんじゃないかというようなことがございましたら、御指摘いただければと思います。
(特段の発言なし)
全体の現状について、私どもの理解、認識を深めるという場面も必要かと思いますし、それから先ほどの国会の小委員会でもちょっとあったように思いますけれども、司法改革の課題はある種の立体構造を成しているところがありまして、その辺の問題も考えながら審議の方法を具体的に考える必要があるかと思います。
それから、時間的な問題もございます。もともと本審議会の任務は、あるべき司法の全体像を描き、それを実現する具体的なプロセスを示すというところにありますので、その辺を考慮しながら、1月18日に、では、こういう形で議論しようということをお決めいただければと思っております。今日の段階ではそんな宿題ということになりますけれども、そんなところでこの問題はよろしゅうございましょうか。それぞれお考えいただいて、18日に正式に御相談申し上げたいと思います。
それでは、3番目の議題の方にまいりまして、海外実情調査と地方公聴会についてお諮りしたいと思います。委員の皆様方には検討案を事務局から事前にお知らせしております。そこで、まず、海外実情調査の視察先の選定でございますが、アメリカ、韓国、ヨーロッパということでございます。
その理由でございますけれども、英米独仏は主要国である。それから、米英は陪審制度、法曹一元を採用している。独仏は参審制度、キャリア・システムを採用しているということてございます。
それから、韓国はアジアの主要国であって、近時、司法制度改革を行っております。実は先ほど韓国の司法改革推進の関係者がお見えになりまして、1時間半ほど、こちらの実情、また、こちらからも向こうの実情をいろいろお尋ねし、会長代理と一緒に意見交換をしたところであります。
それから、相対評価ができるように、複数の地域を視察してはどうかと思います。アメリカでは東西の州制度の比較など、そういうことも勘案しながらこの場所を選ばせていただきました。
現在、予算の関係は微妙な段階にありますけれども、それは事務局の方でいろいろ御尽力いただくこととしまして、本日は日程と視察先については、この案を確定させていただければと考えております。
調査事項などの詳細は、今後更に詰めていかなければなりませんけれども、大体この案でいかがでございましょうか。まず日程でございます。
アメリカ、韓国は4月29日~5月9日、ヨーロッパは4月29日~5月10日。いろいろな関係でこの辺しかないんじゃないかと。大体こんなところでよろしゅうございますか。
(「結構です」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。
それから、委員の人選などについてですが、各委員の御予定などを参考にさせていただきながら、最終的には私と会長代理で相談して決めさせていただければありがたく思いますけれども、その点もいかがでございましょうか。できるだけ御希望に添えるようにしますけれども。
それから、当初、視察先の候補としてオランダ、デンマークなども考えていたんですが、日程の都合で難しいということでございます。ただ、幸いと言ったら何ですが、4月中旬ごろ、井上委員がヨーロッパの方に行かれる御予定があり、その機会に両国の調査をお引き受けになられてもよいとのことでございます。
【井上委員】前提としての渡欧はまだ本決まりではありませんので、それが決まったときはということを条件にしていただきたいということと、この審議会を何回か欠席することをお許しいただければと思います。
【佐藤会長】そのコンペンセートみたいなものですね。オランダはキャリア・システムを採用しており、刑事裁判において陪審・参審制を採用していないヨーロッパでは唯一の国だということですし、デンマークはキャリア・システムを採用していて、刑事裁判では陪審制度と参審制度とが併用されているという点で特色があるということで、実際の状況などを調査していただければと思います。ほかの委員の方々も、何かの御都合でこの国へというようなことがありましたら、インフォームしていただければ幸いであります。
こんな形で海外視察の方は進めさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
(「結構です」と声あり)
【佐藤会長】ありがとうございます。
【井上委員】1つだけ希望があるのですけれども、この種の視察団については、えてして儀礼的なことが多くなるきらいがあると思うのです。ある程度やむを得ないと思うのですけれども、できるだけそういう点は簡素にして、実質的に見るべきところを見ることのできるような計画を立てていただければと希望します。
【佐藤会長】その辺も勘案してと言うことですね。何かほかに御質問ございますでしょうか。
【水原委員】日程関係でオランダ、デンマークが外された趣旨はわかりましたけれども、私は7月ごろにこの案をいただいたときに、オランダは刑事裁判で陪・参審制を採用していない国であります。それから、デンマークは2つ併用している。なぜオランダは陪・参審を採用していないのか。それを是非聞きたかったなということと、デンマークでなぜ2つを併用しているのか、その利点はどうなのか。それらを外された理由よりも、ドイツ、イギリスの方がウェートが大きいとお考えになられたんでしょうね。
【佐藤会長】そういうことです。さきほど申し上げたように、井上委員が行かれるということもありますので。
【井上委員】できる限り詳しく見聞きしてきまして、御報告させていただきたいと思います。デンマークにつきましては、付け加えますと、手続が当事者主義的な構造を取っているということも特色のようです。日本的に申しますと起訴状一本主義的な運用をしているということなのですが、その点もドイツやほかの大陸法系諸国と違うところだと、物の本には書いてあります。
【水原委員】井上先生、専門的なお立場から見てきていただきますと、誠にありがたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
【佐藤会長】それでは、海外視察の件はそういう方向で進めさせていただくということにしたいと思います。
次に、地方公聴会の方なんですけれども、これに関して御説明いただけますか。
【事務局長】では、説明させていただきます。
地方公聴会につきましては、既に第1回を3月に大阪で開催することについて御了解をいただいておりますが、本日はその具体的な日程をお決めいただきたいという趣旨でございます。
まず日程についてですが、視察と公聴会を組み合わせるとなると、やはり金曜から土曜に掛けてというのが適当ではないかと思います。そこで、3月2日は審議会がありますので、その翌日からとなる3日、4日は外しまして、候補日としては、10日~11日、17日~18日、24日~25日という3回になります。14日火曜日は審議会があることを考えますと、18日~20日、この3連休でありますけれども、その3連休のうちの初めの17日~18日が第1案になるのではないかというふうに考えた次第であります。
会場につきましては、収容規模や交通などを勘案いたしまして、ホテル等とも探してみたんですけれども、ちょうど季節柄、普通のホテルは満杯の時期のようであります。そこで、法曹三者の施設でありますけれとも、大阪弁護士会館を予定してはどうかと思っております。大阪弁護士会館の方は何とでも協力はいたしますという回答をいただいております。
具体的には改めて御相談しますが、公聴会は来年度に入ってからも何回か開催することになっておりますので、第1回につきましても、御都合のつく委員4~5人程度が参加するという形でよろしいのではないかというふうに思っております。
日程といたしましては、第1日目の金曜日は移動して現地で法曹三者と懇談し、視察を行うということを考えています。
第2日目の土曜日は、午前中に公聴会、冒頭に委員側から審議状況の報告を踏まえたあいさつをしていただきまして、意見発表をする公述人は6人程度、1人10分以内で意見を発表してもらい、10分程度の委員との質疑応答ということにしてはいかがかと思います。全体として2時間半程度、終了後に記者会見を行ってから解散するという案でございます。
公述人は公募で1,000字程度の小論文を書いてもらい、審査をしたいと思っております。審査はよろしければ会長及び会長代理にお任せいただければというふうに思っております。一般傍聴者は、あらかじめ申し込みいただきまして、申し込み多数の場合は抽選で選びたいと思っております。
ちなみに大阪弁護士会館という場所を選びますと、最大で270~280名くらいが入れるホールだそうでございまして、一般の傍聴は200人~250人、250ではちょっと多いかなと。と言いますのは、報道機関と法曹三者の方も傍聴したいだろうというところから、その辺りで一般傍聴者を中心に、200人以上の一般傍聴者と法曹三者、報道機関というところの傍聴を許してはいかがかと考えております。
以上でございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。今日決めておかないといけないのは、まず日程をいつにするかということです。
日程案として3通りほど考えております。第一の案は、公聴会は18日ですけれども、行事としては17日~18日になります。これは参加者の人選との関係もあるんですよね。私は関西に住んでいることもあり、出席しますけれども、他の方はいかがでしょうか。18日にするとして御参加いただけそうな方はいらっしゃいますか。
【藤田委員】委員4~5人程度が参加するということですが、全体で8回か9回実施するということでしたか。
【佐藤会長】最初の頃一応そういう案を出しましたけれども、それは決めておりません。そのように機械的にやるのではなくて、また後日相談しましょうということになっております。
【事務局長】今日は3月の日程だけでも決めていただきたいという趣旨は、公述人を募集いたしますので、できましたら今日の記者会見で発表させていただいて、公述人の募集に入りたいと。3月ですので、もうそろそろ募集をしないと集まってくれないだろうと考えております。
【藤田委員】今伺いましたのは、各委員がそれぞれ3か所くらい行くんだとすれば、どこの地域の実情を知りたいという選択をして申し込むのかなと思ったものですから。
【佐藤会長】そこはあまりかたく考えなくていいと思います。回数もさっきいったようなことでございますのでね。
【石井委員】ノルマはないと考えてよろしいですか。
【佐藤会長】一応はないとお考えくださって結構です。
【竹下会長代理】私はいずれも都合が悪いのですが。
【佐藤会長】私が出ますので。
【竹下会長代理】お願いいたします。
【中坊委員】私も大阪ですから出られます。
【佐藤会長】他にいかがですが。たまには大阪の方もよろしゅうございますよ。
【中坊委員】委員は大体何人くらい出るんですか。
【佐藤会長】4~5名ということです。
【藤田委員】私は大阪管内で勤務したことはございませんので、勉強する意味で参加させていただきます。
【佐藤会長】ありがとうございます。もう1名くらい。
【石井委員】できれば参加させていただきたいと思いますが、ちょっと日程の方がわかりませんので。
【佐藤会長】では、一応石井委員もということで。
【高木委員】私も行きましょうか。
【水原委員】では、私も。むろん次回に回していただいても結構ですが。
【佐藤会長】ありがとうございます。これ以上立候補いただきますと、次以降が心配になりますね。大阪以外は、どんな場所が考えられるのでしょうか。
【事務局長】事務局として考えているところはいろいろあるんですが、9回では多いという御意見もございましたので、まず皆様で回数だけでも決めていただければ、それに適したところを探します。できるだけ私どもとしましては、大きなところと小さなところと両方行っていただきたいと思っておりますので、できるだけ早く回数だけでも決めていただければ候補地は探します。
【佐藤会長】4月以降のことにつきましては、ちょっと考えさせていただいて、回数なども次回あたりで御相談させていただくことにしましょうか。
【事務局長】公述人の募集もございますので、できれば1月ごろにでも決めていただければと思います。
【佐藤会長】では、それについても、事務局で案を用意しておいてください。
【井上委員】案には、日程も入れておいていただければと思います。我々も、どんどん予定が埋まっていきますので。
【佐藤会長】審議の関係で公聴会が8回、9回となると相当しんどうございますので、機械的にやるというよりも、その辺もちょっと考えた方がいいと思うんです。その辺も考えて1月に御相談させていただきたいと思います。
【吉岡委員】回数をやればいいというものではないんですけれども、一般からの意見をできるだけ生で聞くという機会が広くあった方がいいと思うんです。ですから、その辺のところを配慮しながら、過疎と思われるようなところを入れながらということをお考えいただきたいと思います。
【佐藤会長】なるほど。御指摘の点を踏まえながら、回数を決めるときに場所の選定について少し考えさせていただくということにしたいと思います。
【曽野委員】弁護士さんの数が極度に少ない県も1つくらい入れた方がいいと思います。
【藤田委員】現地で公述人から伺った方がいいんだろうとは思うんですけれども、東京へ来ていただいて聞くということもできないんでしょうか。と申しますのは、現地へ行って聞くということになると、どうしても公述人は本庁所在地へ来ていただくことになりましょうかね。そうすると、実情を見るのに、時間的な制約があって、本庁に近いところしか行けないということになります。幾つかのパターンで見るにしても、交通の便の悪い僻地と言われるところも見た方がいいと思うんですけれども、そこら辺をちょっと御検討いただければと思います。
【佐藤会長】では、今の点も含めて事務局で少し案を考えてください。
【石井委員】委員からの質疑というのが2日目のところに書いてありますけれども、これは公述人に対して1人当たり10分くらい、委員がいろいろ質問するという意味なんですか。
【佐藤会長】そういうことだと思います。先ほど御説明があったように、公述人の選定はこういう形で行いまして、最終的には私と会長代理で選定させていただくということでやらしていただければと思います。どうもありがとうございました。
では、3月18日に行うということで。御出席いただく予定の委員の方々は、中坊委員、藤田委員、石井委員、高木委員、水原委員、そして私ということでお決めいただいたということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
この公述人の募集告知も今日、終了後、論点整理と一緒に公表されますね。
【事務局長】今日の記者会見で発表していただきたいと思っております。
【佐藤会長】では、この件はそういうように進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
次に、規制改革委員会との関係について、これまでの動きを御報告させていただきたいと思います。
規制改革委員会は、御承知のように、行政改革推進本部に設けられております。そこでこの14日に規制改革についての第2次見解というものが発表されたわけであります。後ほど詳しくお読みいただきたいのですが、法曹人口の大幅増大とか、弁護士と隣接法律専門職種との関係、特に司法書士、弁理士、税理士等への訴訟代理権等の付与などが盛り込まれております。こういう事柄は私どもの審議会でも、審議の対象となり得るというか、必ずなると言ってもいいものでありまして、私どもの審議会との関係が問題になります。
第1点は、法曹人口の大幅増員についてでございますけれども、規制改革委員会の14日の見解では、こういうようになっております。前の方を含めてちょっと読ませていただきます。12ページの中ほどでございます。
「規制緩和が進む中で自己責任の原則が強く求められており、その際の社会的インフラとしての司法の重要性が増している。訴訟のより一層の迅速化を図るためには、欧米諸国と比較しても極端に少ない法曹人口を大幅に増員することは不可欠である。このため、司法試験合格者の1,500人程度への増加については、既往の閣議決定に従い、その着実な推進を図るべきである。なお、法曹人口の大幅増員については、現在、司法制度改革審議会において検討が進められおり、その検討結果をも踏まえて、適切かつ迅速に実現を図る必要があり、同審議会において、前向きの改革案を可能な限り早期に取りまとめられることを強く期待する」という表現になっております。
もう一点、司法書士、弁理士、税理士の訴訟代理等についでございますが、これは16ページから17ページに掛けて記してある事柄であります。長いので読みませんけれども、特に、中ほどで「なお、現在、司法制度改革審議会設置法に基づき内閣に置かれた司法制度改革審議会において、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について国民的見地に立った調査審議が行われているものと承知しており、以下で提起した問題も、同審議会において、弁護士と隣接法律関係専門職種との関係ないし役割分担の在り方といった広い視点から、適切に判断されるべき事項であり、当委員会の見解を踏まえ検討し早期に適切な結論が示されることを期待する」という表現ぶりになっております。
こういう状況でありますが、こういった表現ぶりであれば、この審議会の審議に支障を来すということにはならないのではないかと考えているところであります。
会長代理、何かほかに御指摘いただくべきことがありましょうか。
【竹下会長代理】特にございません。今、会長から御説明がありましたように、2か所とも一応こちらの審議を待って最終的な結論を出すようにというニュアンスが出ていると思います。
【佐藤会長】こういった状況であるということを御報告させていただきます。
【藤田委員】これは来年の3月か4月に閣議決定になるんでしょうか。
【佐藤会長】その予定だというように聞いております。
【藤田委員】今言われたような趣旨は閣議決定にも盛り込まれることになるんでしょうか。
【佐藤会長】そうなんでしょうね。そもそも閣議決定とは何かという難しい問題もありますので、その点はお含み置きいただければと思います。
それでは、以上でこの件は終わらせていただきまして、次に会議の傍聴の取扱いについてお諮りしたいと存じます。
この点についてのいろいろな経緯は御承知のとおりでありまして、私どもとして相互に信頼しながら議論したいということでこれまでやってきたわけでありますけれども、そろそろこの傍聴の問題について私どもの考え方を示すべき時期に来たんではないかということで、会長代理ともいろいろ御相談いたしまして、そこで得た案を事前にお届けさせていただきました。いろいろなお考えがあろうかと思いますけれども、結論は、報道機関に対して別室で映像、音声により傍聴を認めてはどうかということでございます。報道機関は、法曹記者クラブ所属の方々と考えておりまして、論説委員、記者の別を問わない。そして、事前に各社3名程度以内で登録した者に限るということにしてはどうかという結論に至った次第であります。
いろいろなことを考えたんですけれども、ぎりぎりのと言いますか、接点はこの辺りなのかと思いまして、こういう形でお諮りする次第です。いかがでございましょうか。難しく考えるとものすごく難しくなってしまうんですけれども。
【井上委員】具体的には、審議室のどこかに固定的なカメラを置き、報道関係者には別室でモニターで見ていただくということですか。
【佐藤会長】そういうことです。
【曽野委員】どう詰めてもこの部屋は入らないんですね。
【事務局長】全く一人もということはないんですが。
【曽野委員】だったら、お入れになった方が感じがいいんじゃないですか。どっちみち外でごらんになるんだったら。
【事務局長】それも含めて御審議いただければと思います。
【曽野委員】ぎりぎり入るだけ。
【佐藤会長】入らない人は依然として別室でということも考えれば考えられますね。例えば、あくまで1つの考え方ですが、論説委員クラスの人たちは中に入ってもらい、それ以外の記者の方は別室でモニターで見ていただくということも、1つの案としてはあり得るかも知れません。皆さんがその方がいいんじゃないかということになれば、そういう方法も考えられますが。
【井上委員】私はむしろ原案の方がいいという感じがします。この部屋に余りたくさん人が入って来られて息苦しくなるのもどうかと思いますし、公開という点からせっかく機械を入れるのですから、申し訳ないですけれども、別室でごらんになってくださいとお願いする方がいいかなという感じがするのです。
【藤田委員】以前行われた各社の論説委員との懇談会のときに、東京新聞の飯室さんが、このごろは機器も発達しているんだから、テレビ・カメラも提供できるし、そういう形でもやってもらえないかということを言われていましたから、試案のような形でいけばよろしいんじゃないでしょうか。
【佐藤会長】登録された方が見えて、別室に入るときには記帳してもらうんでしょうね。
【事務局長】そうさせる方がいいということであれば、そうしていただきます。
【佐藤会長】では、この原案のような形でやらしていただいてよろしゅうございますか。
【井上委員】1点よろしいですか。私も、この形で基本的には結構だと思うのですが、要望として、ある特定の委員の言葉の断片だけをとらえて報道するということは避けていただきたい。前から何度か申し上げているように、我々の考え方も変わっていきますし、審議の流れの中での思いつきの発言というものも結構あると思うのです。そういうことがないと建設的な議論はできないと思いますので、議論の全体を見て、その全体を的確に反映するような報道にしていただきたいと希望します。これがないと認めないということではもちろんなく、一つの要望としてお伝えいただければと思います。
【佐藤会長】その辺に関しては、考え方が変わったら、”変節”だとかいうように安易に批判されると困るから配慮してほしい、という趣旨の私の発言は議事録に残っています。この間報道関係者の方とお会いしたときも、その趣旨のことを申し上げました。意見は変わり得るんだと。そのために審議するのでありますから。一言半句取り上げてということは困るという趣旨のことは既に申し上げておりますので、改めて文書で申し入れというのもいかがかと思います。口頭にとどめたいと思っております。
【井上委員】リマインドしていただくだけでけっこうです。
【佐藤会長】今日、記者会見のときにその趣旨のことは申し上げた方がいいと思っています。
【水原委員】それについては私も全く同意見でございまして、マスコミによっては、最初に自分のところで結論ありきで、それに反する意見を述べた者については、全部徹底的にたたく、あるいはネグル、そういうふうな傾向なきにしもあらずという気がいたします。そうなりますと、公平に意見が国民に伝わらない。それでは審議を一般に公開する意味がございませんので、公平に正しく報道していただくということを是非お願いしていただきたいと思います。
【佐藤会長】では、今日の記者会見で、自由な議論ということが非常に大事なので、その点は是非配慮してほしいという趣旨のことは、申し上げておきたいと思います。
【吉岡委員】配慮してほしいというのはいいんですけれども、余り言い過ぎますと、言論の自由とか報道の自由の問題もあると思いますので、御配慮くださいというぐらいがいいと思います。
【佐藤会長】承知しました。私もそれ以上のことを言うのは適切でないと思います。
【吉岡委員】やはりどう報道するかというところまで立ち入るのは問題があると思います。
【佐藤会長】基本的には報道関係者の判断ですけれども、審議会は自由な議論をする場ですから、その点は当然記者の諸君も配慮してくれることと思っています。念のためにそのことを一言申し上げるという程度です。
それでは、この件はそのように扱わさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
次は配付資料の説明をお願いします。
【事務局長】お手元の配付資料一覧表の3番目は、先ほど会長のお話がありました12月14日の規制改革委員会から発表されました「規制改革に関する第2次見解」でございます。4番目の「各界要望書等」ですが、本日配付分のほか、民主党などから寄せられた論点整理に関する要望書がありますが、それらは既にお送りしているところであります。
6番目は、第7回会議の議事録でございます。その他の資料は毎回お配りしているものでありまして、特に説明することはございません。
以上のとおりでございます。
【佐藤会長】どうもありがとうございました。先ほどの傍聴のことでちょっと申し忘れましたけれども、いつからやるかということなんですが、準備が整い次第、このような形で進めさせていただきたいということであります。準備が整い次第というのは何のことかと思われるかもしれませんが、場合によってはここでない場所でやるということもあり得るということです。具体的に言いますと、官邸でやるということもあり得ないわけではない。節目節目などであり得ないわけではありませんので、次回がどうなるかがわかりませんけれども、そういう趣旨であります。それが準備が整い次第という意味でありまして、全然他意はありませんので、そういうことで御理解いただければと思います。
【事務局長】先ほど御審議いただいた論点整理の最終版として、本日、取りまとまったものを、今から再度お配りいたします。これが今日発表する文書になります。
【佐藤会長】配付資料については御質問ございませんね。
それでは、次回の日程の確認なんでございますけれども、年明けの初回は、先ほど申しましたように1月18日、午後2時からということを予定しております。具体的な論点についての審議を開始する節目ということで、先ほどもちょっと申しましたけれども、現在、総理官邸で開催するということも考慮に入れております。
いずれにしましても、この日の会議では自由討議として、全般的な問題意識の交換と言いますか、審議の順序の設定など、進め方について御相談申し上げるということになるかと思います。
なお、先ほど申し上げたように、総理官邸で会議を行う場合には、報道機関の傍聴はその次からになります。官邸ではそういうことになっていませんので、その次からにならざるを得ないことをあらかじめ御了承いただければと思います。この辺はややペンディングではございますが。
この後、いつもどおり記者会見を予定しております。それでは、今日はこれで終わりにいたします。ありがとうございました。
以上
(別添)
平成11年12月21日
以上
(別紙)
平成11年7月27日
司法制度改革審議会の議事は、可能な限り国民にその内容を示し、その透明性を確保することとし、以下の措置をとる。
(備考)上記に伴い、議事概要等の資料については、コンピュータネットワークにより広く国民の方々の入手を可能とする。