司法制度改革審議会
地方実情視察(浜田)・司法制度に関する意見交換会の概要
日 時:平成12年6月21日(水)9:00~10:45
場 所:浜田ワシントンホテルプラザ(島根県浜田市)2階「ぼたん」
参加委員:佐藤幸治会長、井上正仁委員、中坊公平委員
意見陳述者(発言順・カッコ内は主な発言項目):
- 宇津徹男 浜田市長
- (浜田市の市勢、無料法律相談センターや公設事務所の状況、裁判官・弁護士の増員 等)
- 佐藤夏雄 島根県商工会連合会石見支所長
- (商工会連合会の法律相談関連事業の状況、審議会のわかりやすい情報公開、公設事務所の設置促進 等)
- 井山昌子 島根県高齢者・障害者総合相談センター主幹
- (センターの活動状況、福祉と司法の連携、弁護士・裁判官の人口増と偏在解消 等)
- 石岡 博 島根県総務部総務課法令係長
- (石見法律相談センター事業費補助金の概要、裁判官の増員 等)
- 三浦 明 島根県司法書士会副会長
- (司法書士会の概要、司法書士の活動状況 等)
- 矢冨 實 島根県司法書士会副会長
意見陳述の主な内容:
- 石見地区では、これまでは、弁護士に相談するために広島市や松江市まで出かけなければならなかった。そこで、弁護士会の努力により全国で初めての公設事務所ができた。地元としても大変ありがたく思っている。
- 今後の社会における訴訟増加に対応するため、裁判官や弁護士の増員が必要。
- 地方でも法的需要は潜在的にかなりあるのではないか。一人一人が人権を主張できるようにするためには、司法が開かれたものでなければならず、意識改革が必要。
- 司法改革は、国民生活に大きな影響を与える歴史的重要性を持つものなのだから、議事録等をホームページに掲載し公聴会を開催するだけでなく、改革に向けての思いが伝わるように、わかりやすく徹底した情報公開をお願いしたい。また、地域住民が自由に意見を言える場を設定することが重要だ。
- 中山間地域の社会政策課題の解決に向けて、弁護士がリーダーとなって、隣接法律専門職種と連携しながら地域的な活動に取り組んでほしい。
- 公設法律事務所の全国化、巡回相談の実施が必要。
- 若手裁判官の実習の場として、公設事務所への一定期間の派遣は考えられないか。
- 浜田市を中心とする島根県西部における高齢者・障害者の相談件数は10年間で6倍以上になっており、うち半数近くが法律相談である。相談件数の伸び率は過疎地ほど高い。
- 弁護士数が少ないため、1~2ヶ月前から予約していた相談の担当弁護士が既に相談者の相手方の企業や行政の顧問等となっていることが相談の場で初めて判明し、相談が受けられなくなるといった事態も生じている。
- 法律相談の費用は、利用者や運営者からすれば高く、山間僻地ほど割高になる。
- 成年後見制度や相続・遺言への関心の高まりなどから、公証人役場が島根県内に3ヶ所では少ない。
- 出雲圏域と石見圏域の法律相談の機会均等化を図るため、弁護士の移動コストによる石見圏域での相談センター運営の困難性を考慮し、島根県から年額400万円の石見法律相談センター事業費補助金を支出している。
- 司法書士事務所にも紛争・訟務関係の相談が非常に多い。弁護士のゼロワン地域では司法書士が本人訴訟支援等を通じて法的需要に事実上対応している面がある。
- 利用者には、司法書士は弁護士と違って敷居が低いと感じる向きがあるのではないか。
以 上