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国際化検討会(第18回)議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成16年11月5日(金)13:30〜14:55

2 場所
司法制度改革推進本部事務局共用第4会議室

3 出席者
(委員)
柏木昇座長、加藤宣直、久保利英明、孝橋宏、下條正浩、道垣内正人、乗越秀夫、波江野弘(敬称略)
(事務局)
松川忠晴事務局次長、齊藤友嘉参事官、笠井之彦企画官、安東章企画官

4 議題
法令の外国語訳について

5 配布資料
資料18−1 法令外国語訳に関するワーキング・グループ議論の取りまとめ概要
資料18−2 法令外国語訳に関するワーキング・グループ議論の取りまとめ
資料18−3 省庁のホームページ上で公表されている法令等の外国語訳
資料18−4 コンピューターを利用した訳語・訳文生成

6 議事


 柏木座長から、資料18−1及び18−2についての説明がなされた。
 その後、次のような意見交換が行われた(○:委員、□:座長)。

○ 法令の外国語訳の推進という難しい課題についてよくまとめていただいたと思っている。若干指摘しておきたい。第1に、政府として、法令の外国語訳の推進にどう取り組むのかという位置付けの問題、第2に、経済界や実務家など利用者の意見をどのように反映させるかという問題、第3にモニタリングの問題がある。
 第1の問題については、司法制度改革推進本部のあるうちに、政府全体として、法令の外国語訳の推進に優先的に取り組むことを、推進本部の会合などで明確に意思表示すべきだと思う。
 第2の問題について、全省庁が課題に取り組む中で、経済界、実務家などの利用者の意見を聴き、これを尊重するという姿勢が必要だと思う。
 第3の問題については、基盤整備後の外国語訳推進に向けた行動計画を作って、外国語訳の実現につなげるべきであり、行動計画がきちんと実現されているかどうかをモニタリングする組織も必要だと考えている。新聞報道にあるように、推進本部がなくなると司法制度改革を着実に実現できないのではないかという懸念があり、後継組織が必要だという意見がある。法令の外国語訳の推進は、全省庁にまたがる話であり、特にモニタリング組織をきちんとすることが必要である。

□ 政府として法令の外国語訳の推進をどのように位置付けるのかという点については、委員のおっしゃるとおりである。顧問会議にも報告させていただく。利用者の意見を聴くべきという点もご指摘のとおりで、特にニーズの把握などの面では重要だと思っている。モニタリングの点についても同感である。メンテナンスや対訳辞書の改善なども含めて継続的に行うべき作業があると考えている。将来の構想は検討会議の重要な検討事項になると思う。

○ 先ほど委員がおっしゃった方向で進めてほしい。特に、政府としてどういう位置づけで取り組むのかという点について、司法制度改革推進本部で決定すれば内閣レベルの決定という意味を持つ。そういう明確な決定をしていただきたい。
 また、ニーズに関しては、ビジネスの面でも重要かもしれないが、在留外国人にとって、刑法や道路交通法、婚姻に関する法律などの外国語訳が必要かもしれない。そのあたりのニーズも汲み取る方向でお願いしたい。
 新規立法については翻訳をするとしても、既存の法律で基本的な部分が翻訳されていないと意味がない。既存の法律のうち重要なものは、例えば、毎年一定数を翻訳するという形で外国語訳を推進してもらいたい。
 そのためには予算も必要である。予算措置がとられれば、今まで手薄であった法律関係の文献の翻訳者の育成という面でも効果があり、安心して翻訳を任せられるようになる。

□ 法律関係の文献の翻訳をできる人が少ないのは悩みの種である。そういう人は他の仕事で忙しく、翻訳にまで手が回らない。

○ 先ほど来委員がおっしゃるとおりである。強力なリーダーシップの下で、内閣で進めてもらいたい。基本方針を内閣で打ち出して、予算も付けてやってもらいたい。
 なお、民間で行われた翻訳には著作権があるので、それを自由に使えるようにするために、著作権の買い上げ等の方策も考える必要があるだろう。

□ 著作権の問題があることはご指摘のとおりである。既存の法令を翻訳ルールに適合するように見直す際には特に問題になるだろう。

○ 基盤整備後の外国語訳への取組はそれぞれの主体の判断によるということになるのか。

□ そうではない。ただそれぞれの判断に任せるだけでは今までと同じになる。基盤整備後の外国語訳推進体制については検討会議で検討することとしている。

○ 民間でも翻訳を行うことになるとしても、品質について安心できるような仕組みを考えてもらいたい。もともと、利用者側に、正確な翻訳がないという声があったことが出発点だったことは忘れないでもらいたい。また、翻訳ルールや対訳辞書は、利用者の意見を聴いて改善できるようなものにしてもらいたい。実際の翻訳に接して議論が出やすいのは企業法務担当者や実務家などである。

□ 翻訳ルールや対訳辞書は、おっしゃるとおり、利用者のご意見をいただいて改善できるイメージで考えられている。

○ 法令の外国語訳の推進は重要なプロジェクトである。これを実現するためには、府省横断的な体制の下で、高いレベルの人に参加してもらって強力なリーダーシップの下に進めていかないと上手くいかないと思う。また、予算についてもご配慮いただく必要がある。

○ 検討会議の設置はよいことである。外国語訳推進のための基盤整備の後で、枠組みに基づいて外国語訳が推進されるよう、モニタリングする体制が必要である。
 また、同じ法律を複数の主体で同時に翻訳することがないよう、交通整理も必要だと思う。

□ ご指摘いただいた将来の体制の問題も、検討会議で検討される事項となっている。

○ 各委員のご意見に同感である。官がノータッチでは必要な法令の外国語訳が進まないので、ある程度は官で主導してやってもらう必要があると思う。
 各省の判断に任せていたのでは外国語訳は進まない。強力なリーダーシップの下で、予算を取りに行く姿勢で進めてほしい。最初にしっかり取り組めば、委員からご指摘のあったモニタリング体制などもついてくると思う。
 それから、正確性、継続性などにこだわりすぎると最初の1歩を踏み出せない。そのあたりを多少犠牲にしてでも、まず、最初の1歩を踏み出すことが重要である。

□ 法令の外国語訳の推進については、ワーキング・グループの議論の取りまとめが国際化検討会でも承認されたということで、本日、この場でいただいたご意見も含めて、顧問会議に御報告させていただく。

(委員了承)

(以上)