法科大学院における教育内容・方法(公法)のあり方について

平成13年10月26日
法科大学院における教育内容・方法に関する研究会

まえがき
   法科大学院の創設を重要な柱とする法曹養成システムの改革は、司法制度改革審議会の結論が本年6月の意見書で示されたことにより、その実現に向けて大きく動き出している。
   法科大学院で行われることとなる教育の内容や方法に関しては、すでに、文部省(当時)に設けられた検討会議の「法科大学院(仮称)構想に関する検討のまとめ」(昨年9月)を経て、各方面でさまざまな取組みが行われてきている。本調査研究は、本年4月に「法科大学院における教育内容・方法(民事法・刑事法)のあり方について」として出された民事法および刑事法のカリキュラムに関する報告書に続き、かつ、上記審議会の結論をふまえて、改革の趣旨に即した法科大学院公法系教育のカリキュラムのあり方を探究すべく、去る7月末から実施された。調査研究に当たったのは、大学の教育研究に携わる個人の立場でこの問題に関心を有する、憲法・行政法分野の数名の者からなるグループである。私たちは、実務関係の方々から御意見を伺い、また、先行する各種取組みの成果をも参照しながら、集中的に討議を重ねた。その際には、特に、上記の民事法・刑事法カリキュラムの報告書が出された時期から比べると、制度設計の諸点について早期の確定に努めるべき段階に入っているとの認識のもとに、特定の大学や特定の専門分野の枠を越えて広く一般の合意形成を促進する方向で考え方を整理するように心掛けた。
   以上のような調査研究の結果を取りまとめたのが、本報告書である。各方面で検討が進められる際の一助となることを願う次第である。
   最後に、この場を借りて、本調査研究に御協力をいただいた関係者の皆様に厚く感謝申し上げる。
  法科大学院における教育内容・方法に関する研究会
      共同研究者(公法系)
        石川敏行 (中央大学法学部)
      小早川光郎 (東京大学大学院法学政治学研究科)
      土井真一 (京都大学大学院法学研究科)
      中川丈久 (神戸大学大学院法学研究科)
      長谷部恭男 (東京大学大学院法学政治学研究科)
     
 
目   次
 
まえがき
   
1 法科大学院の公法系教育についての基本的考え方
  1−1 公法系教育の意義とカリキュラムの基本的考え方
  1−2 新司法試験との関係
   
2 公法系カリキュラムのモデル
  2−1 カリキュラムの全体像
  2−2 公法基礎科目
  (1) 「人権の基礎理論」
  (2) 「統治の基本構造」
  (3) 「行政活動と訴訟」
  2−3 公法基幹科目・憲法
  (1) 編成の考え方
  (2) 「憲法演習 I ・憲法訴訟論」
  (3) 「憲法演習 II ・人権保障論」
  2−4 公法基幹科目・行政法
  (1) 編成の考え方
  (2) 「行政法演習 I ・違法判断」
  (3) 「行政法演習 II ・訴訟方法」
  2−5 公法展開科目の例——「情報法」

-- 登録:平成21年以前 --