会議経過
①小渕内閣総理大臣からあいさつが、別紙1のとおりあった。
②樋渡事務局長から出席者の紹介が行われた。
③各委員が自己紹介及び抱負を順に述べた。あわせて以下のような意見が述べられた。
- 全体的に教育レベルが低下しており、法曹教育についても従来のシステムのままではよくない。
- 規制緩和が進展し、今以上に自由競争社会となる中で、司法の役割もますます増大する。ユーザーの視点からの改革が必要である。司法のサービス機能の向上をはかる上で、弁護士のあり方やADRについて根本から検討することが必要。
- 法律家以外の視点からの話も聞いて、現実を踏まえながら、しかし発想を柔軟にして検討していく必要があるのではないかと考えている。
- 条文を読んでも難しい。法律そのものをわかりやすくする必要がある。裁判は時間がかかり費用も高く、近寄りがたい印象がある。
- 個人の自律性を尊ぶ社会とそれを援助する社会システム、内閣の機能強化に伴うチェックアンドバランス、グローバル化への対応の必要が司法改革の理由である。中途半端な改革に終わってはならない。
- 法と人間の関係を骨格と肉のそれに例えるならば、かつて足繁く傍聴したある刑事裁判における人物模様は大変興味深く、人間的なものを感じた。法とそれに基づいて裁かれる人間との関係を考えてみたい。
- 多くの国民にとって裁判所は遠い存在であり、法曹三者それぞれが国民に近いという姿勢をとる必要がある。
- 個人の権利や保護されている利益を実質的に保障するという憲法下の司法の役割について、新しい環境下でどのように機能させていくのかが問題である。
- 「二割司法」のため、泣き寝入りや政治決着、暴力、行政指導などにより処理されている問題が数多くある。裁判所をもっと国民に近づけることが必要である。理念からの改革とともに、現場の具体的なことからの改革が必要である。
- 司法制度は各国で様々な形をとっている。文化、歴史、政治と密接につながっている。こうした背景も考慮に入れて、海外の実情も含めて現実に目で見て考えていってはどうかと考えている。
- 国民の立場から見て、司法の実情がどうなのかをよく把握し、真の問題点がどこにあるかを冷静かつ慎重に検証することが重要だ。
- 改革は大胆に取り組む必要があるが、実情を十分把握した上での議論が大事と考えている。昭和37年の臨時司法制度調査会以降の司法制度改革についても勉強させてほしい。
- 今の裁判は時間や費用がどれだけかかるのかわからず、国民にとって身近になっていない。また、弁護士へのアクセスも難しい。裁判で使われる言葉もわかりにくい。国民の中に裁判嫌いという感覚があるのではないか。
- 審議は原則公開とすべき。加えて広報活動も必要だ。
- 国民の意見を聞き、国民の関心と支持を得ることが不可欠だ。
④会長互選について、司法制度改革審議会設置法第5条第1項に基づき委員による互選が行われ、佐藤委員が選出された。これを受けて佐藤会長からあいさつがあった。
⑤佐藤会長より、司法制度改革設審議会設置法第5条第3項に基づき、竹下委員を会長代理に指名したい旨の発言があり、全委員の賛成が得られ、竹下委員もこれを了承した。
⑥「司法制度改革審議会議事規則(案)」(別紙2)について審議が行われ、案のとおり決定された。
⑦議事の公開の取扱いについて、「司法制度改革審議会の議事の公開について(案)」(別紙3)を基に審議が行われた。その結果、とりあえずはこの案でスタートし、公開に関するその他の具体的な方法については、なお考慮すべき点があることから、今後審議をしていく中で様々な工夫を考えていくこととするという点で意見の一致がみられた。その過程で、以下のような意見も述べられた。
- 同案の措置のみでは不十分ではないか。公開するにとどまらず、国民との双方向的な意見交換の場を設けることが必要だ。
- 傍聴の可否についてもはっきりさせるべきだ。原則として認めるべきだ。
- 議事録の公開も会議の公開の一つのあり方であり、傍聴を認めるまでの必要はない。
⑧今後の具体的な審議スケジュールについて、佐藤会長から以下のような提案があり、了承された。
- 臨時司法制度調査会をはじめとする過去の経緯、本審議会設置の背景、司法制度全体の理解、それを支える歴史的・文化的背景、司法制度の現場・現状などについて、まずは勉強することが必要である。
- 具体的には、はじめの数回は有識者等からのヒアリングを行いたい。
- ヒアリング対象者については、希望を出してほしい。
- 第二回会合においてどのようなことを行うかについては、とりあえずは会長、会長代理に任せていただきたい。
⑨今後の審議日程の調整が行われ、本年12月までは以下の日時に決まった。
9月:2日(木)、28日(火)
10月:5日(火)、26日(火)
11月:9日(火)、24日(水)
12月:8日(水)、21日(火)
時間は、すべて14:00から3時間程度。
なお来年度以降は、たとえば開催日につき曜日を固定するといったことを含めて、できる限り多く会議を開催していく方向で検討することとされた。
以上
(文責司法制度改革審議会事務局)
-速報のため、事後修正の可能性あり-