仲裁検討会(第1回)議事概要
(司法制度改革推進本部事務局) ※速報のため、事後修正の可能性あり
- 1 日時
- 平成14年2月5日(火)13:30〜16:30
- 2 場所
- 司法制度改革推進本部事務局第2会議室
- 3 出席者
- (委 員)青山善充、秋吉仁美、櫻井和人、谷口園恵、中野俊一郎、中村達也、本東信、松元俊夫、三木浩一、山本和彦、吉岡桂輔(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、大野恒太郎事務局次長、近藤昌昭参事官
- 4 議題
- (1) 座長の選出について
(2) 議事の公開について
(3) 司法制度改革審議会の検討状況、意見書等の紹介について
(4) 今後の検討スケジュールについて
(5) 仲裁法制に関するアンケート結果について
(6) 総則的事項についての検討項目案について
(7) 仲裁合意についての検討項目案について
- 5 配付資料
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- 6 議事
(1) 事務局長挨拶
- 検討会の開催にあたり、山崎事務局長から挨拶がされた。
- (2) 座長の選出
- 委員の互選により、青山委員が座長に選出された。
青山座長の指名により、三木委員が座長代理に選出された。
- (3) 議事の公開
- 協議の結果、議事の公開について、当面、次の取扱いをすることとなった。
- 毎回の会議の議事概要及び議事録を作成し、公表する(発言者名は記載しない。)。
- 報道機関に会場における議事の傍聴を認める。
- (4) 座長挨拶
- 議事の開始にあたり、青山座長から挨拶がされた。
- (5) 司法制度改革審議会の検討状況、意見書等の紹介について
- 事務局から、参考資料1及び2に基づいて説明がされた。
- (6) 今後の検討スケジュールについて
- 事務局から、今後の検討スケジュールについて説明がされた。
- 検討会資料1記載の予定日時のうち、第6回の日時を6月11日(火)午後1時30分〜と変更し、その他は検討会資料1記載のとおり決定した。
- (7) 仲裁法制に関するアンケート集計結果について
- 事務局から、平成13年11月に司法制度改革推進準備室が有識者等を対象に実施したアンケート(依頼101名、回収78名)の結果について説明がされた(参考資料7)。
- (8) 総則的事項についての検討項目案について
- 事務局から、検討会資料3について説明がされ、これについて次のような意見交換がされた。
- 新しい仲裁法制については、UNCITRAL国際商事仲裁モデル法(模範法。以下、「モデル法」という。)をベースとし、国内・国際、民事・商事の別なく同一法典で規律するのがよい。国内仲裁・国際仲裁の線引きは困難であり、原理原則にも異なる点がない。民事・商事も同様に線引きが困難である。消費者保護等、必要な点は特則を設けることにより対処可能と考えられる。
- 仲裁法は、外国企業から見て理解しやすく、予見性のある法律が必要である。モデル法も制定後十数年経ち、オーバーホールが必要な点もあろうが、まずはモデル法を採用して、国際的スタンダードに乗ることが重要である。
- (9) 仲裁合意についての検討項目案について
- 事務局から、検討会資料4について説明がされ、これについて次のような意見交換及び質疑応答がされた。
- 仲裁適格について
- モデル法のような包括的規定では、仲裁に親しむか否かの判断基準として不明確ではないか。
- 「和解することができる」権利または法律関係に関する紛争について仲裁適格を認める考え方は、その解釈をめぐって無用な争いを引き起こすおそれがある。また、特許、証券取引等に関する紛争に仲裁可能性を認めるかは国家の政策判断で決まる部分も少なからずある。仲裁法としては、仲裁適格を広く認め、政策判断等によって仲裁適格の認められる紛争の範囲についての変更の余地を残すのが妥当。
- 結論的には、仲裁適格を広く認めたい。たしかに、仲裁が当事者の合意に基礎をおくことからすれば、仲裁適格は当事者の合意で解決可能な紛争に限定されるのが原則であろうし、仲裁適格を否定するものは公益に関わるから当事者の合意による処分が許されないとの趣旨によると思われるが、抽象的には公益に関連しても具体的な仲裁判断は公益に関わらないケースがありうる。公益に反する判断は仲裁判断取消しや執行の場面で公序違反の要件でチェックする余地もあり、入口段階で要件を絞る必然性はないとの考えも成り立ちうる。
- 入口を広げて執行手続に乗らないものに仲裁適格を認めるとすると、執行までできるつもりで仲裁手続を利用した当事者の信頼を失うことにもなりかねない。
- 仲裁合意の書面性について
- 書面性の要件については、UNCITRALでもモデル法の改正について検討中である。ニューヨーク条約との整合性の観点から、書面性の要件を撤廃することは困難であるが、限界まで緩和するにはどうしたらよいかとの観点で議論されている。
- 国内仲裁については、仲裁への十分な理解と認識を得た上で仲裁合意を締結しないと争いが生じうる。その点の配慮が必要である。
- 建設工事約款のように別紙の合意書を必要とするのも、消費者意思を確認する一つの有効手段である。
- 妨訴抗弁について
- 妨訴抗弁として仲裁契約の存在が主張された場合に、訴えを却下するものとしてよいか否かは、時効についてどう考えるかに関わる。時効中断効が失われるので、その点についての配慮が必要ではないか。
- 規定を置かずに一般論で対処することも考えられる。
- 仲裁合意の効力の及ぶ人的範囲
- 破産者が締結した仲裁合意に破産管財人が拘束されるかも問題とならないか。
- 包括承継の場合に仲裁合意の効力が及ぶと言い切れるか。裁判を受ける権利が基本的人権とすると、一身専属権とも思える。
- その他(○:委員、●:事務局)
○ADR検討会でも時効や執行力の議論をするようだが、仲裁検討会との役割分担はどうなるのか。
●まだ検討を開始したばかりであり、何とも言えない。具体的な法案の姿が見えてきた段階で、どちらでどう規定すべきかも具体的に見えてくると思う。意見調整は密接にしていきたいと考えている。
○仲裁と裁判との連携はADR基本法に規定するのか。
●現在は問題点を議論していただく段階であり、議論を踏まえて徐々に骨格を明らかにしたい。
- 7 次回の予定等
- 次回(3月11日(月)13:30〜17:00)は、仲裁人及び仲裁廷、仲裁廷の管轄(権限)、仲裁手続の進行について議論することとなった。
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