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ADR検討会(第1回) 議事概要

(司法制度改革推進本部事務局)
※速報のため、事後修正の可能性あり



1 日時
平成14年2月5日(火)10:00~12:00

2 場所

司法制度改革推進本部事務局第2会議室

3 出席者
(委 員)青山善充、安藤敬一、髙木佳子、原早苗、平山善吉、廣田尚久、三木浩一、山本和彦、横尾賢一郎(敬称略)
(事務局)山崎潮事務局長、松川忠晴事務局次長、小林徹参事官

4 議題
  1. 議事運営ルール等
  2. 検討会における討議項目
  3. 自由討議
  4. 今後の進め方

5 配布資料
資料1-1:論点メモ(ADRの拡充・活性化)
資料1-2:説明資料
(1)ADR(Alternative Dispute Resolution):裁判外紛争処理制度
(2)民事訴訟手続とADRとの比較
(3)わが国のADRの分類
(4)主な裁判外紛争処理機関
(5)裁判と主なADRの新受件数の状況(平成12年度)
(6)裁判上の和解(即決和解を除く)の状況(平成12年)
(7)主なADRの新受件数の推移
(8)主なADRの利用状況(諸外国比較)
(9)諸外国における最近のADRを巡る動向(未定稿)
(10)紛争処理の流れ(イメージ)とADRの問題点
(11)時効中断(停止)効の付与
(12)執行力の付与
(13)法律扶助の対象化
(14)ADRと裁判手続との制度的連携
(15)専門家(隣接法律専門職種等)の活用
資料1-3 参考資料
(1)司法制度改革の三つの柱
(2)司法制度改革審議会意見書(抄)(「ADRの拡充・活性化」部分)(略)
(3)「司法制度とADRのあり方に関する勉強会」について(司法制度改革審議会報告用レジュメ)
(4)司法制度改革審議会意見書(抄)(「隣接法律専門職種の活用等」部分)(略)
(5)隣接法律専門職種の活用等(司法制度改革審議会意見のポイント)
(6)アンケート調査用紙
資料1-4:ADR検討会の進め方(案)

6 議事
(1) 事務局長挨拶
検討会の開催に当たり、山崎事務局長から挨拶がなされた。

(2) 座長の選任
 委員の互選により、青山委員が座長に選出された。
 また、座長より山本委員が座長代理に指名された。

(3) 議事運営ルール等
 討議の結果、議事の公開について、当面、次の取扱いとすることとなった。
  • 毎回の会議の議事概要及び議事録を作成し、公表する(議事録には発言者名を記載する)。
  • 検討会で使用した資料については、議事終了後公表する。
  • 傍聴については、 報道機関に限って認める。
  • ただし、公開により公正・円滑な議事運営に支障が生ずるおそれがあると考えられるような場合については、この限りでない。

(4) 座長挨拶
 議事の開始に当たり、青山座長から挨拶がなされた。

(5) 検討会における討議項目
 事務局から、本検討会における主な討議項目について、資料1-1及び資料1-2等により説明がなされた。

(6) 自由討議
 ADRの拡充・活性化に関する論点等について、委員間で次のような意見交換が行われた。
  • ADRが国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるということは、これまで裁判により解決されてきた紛争に新たな解決手段が加わるというだけでなく、裁判での解決がされてこなかった紛争にも解決の道が与えられるという意味を持つ。ADRの拡充・活性化における国の役割としては、ADRの利用を促進するために制度基盤を整備すること、ADRに対する国民の信頼性を高めるために、ADRの適切な発展に国が関与することを正面から認めていくことがある。ただし、多様なADRの自主性を尊重することが重要であり、規制は最低限にとどめ、過度な画一的規制を設けることは避けるべきである。
  • 消費者の立場としては、ADRについては、多様な解決方法の選択肢として、また、紛争当事者が主体的に解決できる手段として、その役割に対する期待が大きい。また、現在活動しているADRが必ずしも十分に機能していない理由についても丁寧に分析しておく必要がある。
  • 今後の検討においては、いかにADRに対する信頼性を確保するかに主眼を置くべき。その際、ADRに対する国民の認知度を上げること、民間のADRの可能性を考慮すること、執行力付与の検討の際には情報開示についても併せて議論すること、訴訟手続とのスムーズな連携を確保すること、インターネットを利用した紛争解決についても取り上げることに留意してもらいたい。
  • ADRは私的自治という側面はあるが、結果からみれば、準司法機関としての性格も強調してし過ぎることはない。ADRの自主性を尊重し、業界ADRの拡充や専門家の関与を進めるあまり、不透明な手続が放置され、さらに大きな紛争が生じてくることにならないかという懸念がある。
  • 国際的な商取引の分野でもADRが注目されていることから、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)におけるモデル調停法の議論なども踏まえつつ、国際的な評価にも耐えうるような議論をしていく必要がある。
  • 現状を前提とした議論ではなく、ADRのあるべき姿を考えることが重要。具体的には、潜在的な需要はあると思われるビジネス型ADRや、知的財産関係のADRについても十分念頭に置いて議論すべきである。司法型ADRについても、裁判所と民間の役割分担を含めた議論が必要である。
  • ADRの自主性を尊重しつつ、それによって問題が生じないようにするのは、非常に難しい課題ではあるが、基礎をしっかり固めることを念頭に置きつつ、一から勉強しながら議論していきたい。
  • ADRには、庶民と裁判をつなぐ役割を期待したい。また、さまざまな分野のADRについて、総合的な相談窓口のような体制を整備することが重要である。
  • ADRという言葉そのものを、多くの国民に知ってもらうことも重要である。また、ADRの担い手に対するサポート体制を作ることも必要である。
  • 国民の信頼を得るような制度基盤の整備が必要である。視野に入れて検討すべきとされている基本法はとかく宣言的になりがちであるが、実効性のあるものにしなければならない。具体的には、裁判との連携について大きな関心がある。また、担い手の育成についても、法曹養成の在り方の議論とも関連しつつ、さらに深く検討する必要がある。
  • 日本でも多くのADRが活動しているのに、利用が少ない理由のひとつは、ADRに関する情報が決定的に不足していることにあり、紛争解決にふさわしい機関を見つけやすくすることが急務である。また、ADRに何らかの法的効果を付与して、利用を促進することも必要である。さらに、法的効果にとどまらず、担い手の育成面での問題を解決することが重要であり、その際には、財政面にも目を向けるべきである。
  • ADRの認知度を高める手段として、ADRという言葉を日本語に置き換えることも考えておくべきではないか。
  • 消費者の立場からADRが利用されない理由を考えてみると、PRが不足していること、事件がたらい回しされてしまうこと、解決に向けた進展がないことが挙げられる。

(7) 今後の進め方
 今後は、基本的に、今後の進め方(案)(資料1-4)のとおり検討を進めていくこととされた。
 これに関して、次のような質疑応答がなされた(○:委員、●:事務局)

 ○今日の議論を踏まえれば、必ずしもスケジュールに示された項目にとらわれず、幅広い検討が必要となるのではないか。
 ●幅広く検討いただけるよう、逐次検討項目を整理しつつ進めていきたい。
 ○国際的な視点に立った議論が必要であり、国連国際商取引法委員会におけるモデル調停法の議論を紹介いただく機会を設けてもらいたい。

今後の検討会は、次の日時に開催することとなった。
第2回 3月18日(月) 10:30~12:30
第3回 4月15日(月) 午後(2時間程度)
第4回 5月13日(月) 午後(2時間程度)

次回は、ADRの現状、ADRに関する基本理念等について、ADR機関からのヒアリング等も交え、議論を行うこととなった。

(以上)